「本命と浮気と」
含みの感じられない、でも私にとっては胸をざわつかせるには充分な声だった。
言われた瞬間、心の中で「えっ」と声があがり、次に激しい動悸が襲う。
汗が背中を流れ、全身が心臓になったみたいに、脈が波打っていた。
「……なんで?」
「千尋(ちひろ)は俺の友達と会ったことあるけど、俺はなかったじゃん。そんなに仲良しなら、俺も会っときたいよ。そうだなー、夏だし、俺の友達も呼んでバーベキューとかどう?それなら堅苦しくならないし」
名案だとばかりに笑う 日比野(ひびの)とは対照的に、自分が表情を失くしていくのがわかる。
「あ、バーベキューは微妙?それなら普通の店でもいいし。ビアガーデンぽいのもいいかもよ」
私の反応に気づいているのかいないのか、日比野は明るい笑みを崩さない。
なにか反応しようにも、日比野の本心がわからず、下手に言えば墓穴を掘りそうで、口を開けなかった*****************
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