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祐希さんの結婚報道は暫く続いた‥。
もちろん、俺のところにも記者が押しかけ、コメントを求められる‥。
当たり障りのないコメントを返すので精一杯だった‥。
俺はうまく笑えていただろうか。
祝福出来ていただろうか。
‥何も分からない‥‥
電撃結婚から、半年が過ぎた‥。
また代表の合宿が始まる。
そう‥‥‥‥‥‥
祐希さんと会わなければいけない。
会うのは‥別れてから‥‥‥‥
祐希さんの結婚式に呼ばれて会った以来だった‥。
今でも覚えている。
祐希さんが選んだのはどんな人なんだろう‥そればっかりが気になって、他の事にはうわの空だった‥。
結論から言うと‥
綺麗な人だった。モデルのようにスラッとしていて、笑顔の素敵な女性。
祐希さんの隣に並んでる姿を見ると、
まさに美男美女‥。
とてもよくお似合いだった‥‥‥‥‥。
そんな中‥同じ席に座っていた小川さんと智さんが、俺を気にして何度となく声をかけてくれる。
それと、太志さんも‥‥。
「藍‥無理してないか?」
優しい言葉に泣きそうになったが、気丈に振る舞うことにした‥
皆に迷惑はかけられない‥
俺は大丈夫だよと思ってもらいたかった‥。
だから、無理に笑った、
「こんな素敵な人早く紹介してくださいよ」
なんて‥‥。
集合写真の時に祐希さんに茶化しながら話しかけて‥
その隣で花嫁は笑っていた。祐希さんの方を見ながらとても幸せそうに‥
わかっていた。
祐希さんの隣に並ぶのは俺じゃない。
そんな事は付き合っていた時からわかっていた‥
泣くな‥
泣くもんか‥
せめて式のこの間だけは‥‥‥‥‥
誰よりも笑っていたい
泣くのは帰ってからだ‥。
最後にもう一度だけ祐希さんを見た。皆から祝福されて幸せそうな祐希さんを焼き付けるために‥
さようなら‥‥‥大好きだったよ‥‥。
「藍?めし行こうぜ!」
‥合宿の練習も終わり、今回は一人部屋で、荷物を片付けている最中に‥小川さんが俺の部屋に呼びに来てくれた。
早くしろよな‥と相変わらずの言い方だが‥きっと俺の事を思って来てくれているんだろう。
その優しさに救われる。
‥食堂にはもうほとんどの選手が集まっていた。
探しているわけでもないのに、真っ先に祐希さんの姿が目に飛び込む‥
関田さんと太志さんの横で楽しげに会話をしている。
「あっ、藍ちゃーん!」
祐希さんの前に座っていた西君に呼ばれ、手招きされる‥
‥一瞬迷った俺を見て‥引き止めようとした小川さんの肩をポンっと叩き‥大丈夫だよと伝える。
これぐらいで動揺していたら、試合もままならないに決まっている‥。
ニコニコと笑う西君の隣に座ることにした。
どうなるかと思ったが、西君がとにかく明るく話してくれるから‥場は和みいい雰囲気だった。
祐希さんも嬉しそうに相槌を打っている‥。
こうやって皆といると昔みたいだ‥。
もう‥忘れよう。
付き合っていた事を忘れてしまえば‥
俺はまた祐希さんとバレーが出来る。
そうしよう‥‥‥‥。
夕食後、シャワーから出ると‥小川さんが部屋を訪ねてきた‥そして1人でゲームをしている‥
部屋でも出来るやんとおもったが‥俺の為に居てくれてるんやろな‥
寂しくならんように‥。
そんな小川さんをいつものように茶化していたら、安心したのか‥帰るわ!と自分の部屋に戻って行った。
‥俺は恵まれてるなぁ‥
明日からも練習頑張ろう!‥自分に気合いを入れて‥いつものようにストレッチを始める‥
コンコンコン‥‥。
ドアをノックする音‥
誰やろ?‥あっ、小川さん!ゲーム忘れてるやん!!
机の上にゲーム機が無造作に置かれていたので、それを持って扉まで向かう。
ガチャッ。
「小川さーん、大事なゲーム機やのに‥‥‥‥‥‥」
そこまでしか言えなかった‥‥。
小川さんだろうと思い、勢い良く開けた扉の向こうには‥‥‥‥‥‥‥
祐希さんがいた‥‥‥‥‥‥‥‥‥。