清掃員のおじいさんは、ゆっくりとエレベーター前のベンチに腰掛けた。
「二人の仲が芳しくないのは、ずっと前からだったような気がするの」
「お二人のこと、詳しいんですか?」
「お前さんよりはね」
私は立ったまま耳を傾ける。
「同じ宝条グループを背負う者以前に、家族である。だが、家族である以前に、宝条グループを背負う者であるということが、大きな壁になっているのだなあ」
「どういうことですか?」
「そのままの意味だよ。どんな貧乏人であっても幸福になろうとすればなれるように、どんなに金を持っていたとしても不幸な者は不幸であるもんだ」
おじいさんは、自分に言い聞かせているように言った。
「幸福か不幸かは本人が決めるものだが、その根っこの部分は生まれてから身の回りにあったものだからの。根っこが腐っていれば咲いた花は汚く、すぐに散るだろうよ」
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