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宝条さんは黙って、あてもなく遠くを見るように瞳を動かしていた。
その間に食器が下げられ、ただ私たちは向かい合って座っているだけ。
どこからともなく聞こえるBGMのクラシック音楽。
さっきまでは食事と会話と楽しんでいたために、流れていることにすら気づかなかった。
「親父は、いつもあんなんだ。仕事人間で家庭を顧みない。昔は、寂しいと感じることもあったが、母と祖父がいたからな」
「お父様……というか会長は、多くの人の生活も背負っていますもんね」
「ああ。今となっては、それを理解できているから責めるつもりもない。だが……」
宝条さんは珍しく俯く。
どんな言葉をかけたらいいのだろう。
でも、何も言わないことこそが正解なような気もしてしまい、言葉に迷っていると、先に声を発せられてしまう。
「母親には二度と会えないからな。いつまでも落ち込んでいられない。天国に********************
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