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続き↓
「約束と未来」
――オフの日 / 強制イベント発生
「……で?」
烏が腕を組む。
「このまま帰すん?」
全員の視線が、乙夜と潔に向く。
「は?」
乙夜が眉をひそめる。
「いや、だってさ」
千切がさらっと言う。
「再会したばっかなんでしょ?」
「もっと喋る時間必要じゃない?」
「それはそうだけど——」
乙夜が言いかける。
「じゃあ決まりね」
玲王がパンッと手を叩く。
「二人でどっか行ってきなよ」
「は???」
乙夜、即拒否。
「なんでだよ」
「邪魔だから」
凪が即答。
「ストレートすぎるだろ」
「だってさ」
蜂楽がにこにこする。
「今この人数で動くより」
ちらっと二人を見る。
「二人の方が絶対楽しいでしょ?」
潔が少し困った顔で笑う。
「いや、でもみんなで来てるし」
「いいのいいの」
千切が手を振る。
「こっちはこっちで遊ぶから」
「完全に切り離しに来てるじゃん」
雪宮が小声で言う。
「作戦だからね」
玲王も小声で返す。
「聞こえてるぞ」
乙夜。
「で、どうすんの?」
烏がニヤニヤしながら聞く。
逃げ場、なし。
乙夜が舌打ちしそうな顔をして、
「……お前は?」
潔に振る。
「え?」
「行くか、行かねぇか」
潔は少しだけ考えて——
「行く」
即答。
「え」
乙夜が一瞬固まる。
「いいの?」
「うん」
潔が頷く。
「せっかくだし」
少しだけ笑う。
「ちゃんと話したい」
その一言。
乙夜、何も言えなくなる。
後ろで、
「はい決定〜」
玲王。
「いってらっしゃい」
千切。
「報告待ってる」
烏。
「何のだよ!!」
「進捗?」
蜂楽。
「うるせぇ!!」
背中を押される。
物理的に。
「ほら行けって」
國神が軽く押す。
「雑!!!」
そのまま、
二人だけで歩き出す形になる。
少し距離ができる。
後ろの騒がしさが遠くなる。
「……強引すぎだろ」
乙夜がため息。
「面白い人たちだね」
潔が笑う。
「他人事かよ」
でも、どこか少しだけ——
空気は柔らかい。
数歩、無言で歩く。
「……で」
乙夜が口を開く。
「どこ行く?」
「え、決めてないの?」
「決めてねぇよ」
「じゃあ——」
潔が周りを見て、
「あそこ行かない?」
小さな公園。
人も少ない。
少し静かな場所。
「……いいんじゃね」
向かう。
自然と、並んで。
ベンチに座る。
少しだけ間を空けて。
数秒。
静けさ。
「……なんか」
潔がぽつり。
「やっと落ち着いた」
「だな」
乙夜も頷く。
「さっきまでうるさすぎ」
「うん」
少し笑う。
また、少し沈黙。
でも今度は、嫌な感じじゃない。
「……なあ」
乙夜が言う。
「さっきのさ」
「約束の話?」
潔がすぐ拾う。
「……ああ」
少しだけ視線を逸らす。
「お前、ほんとに覚えてんのな」
「だから言ったじゃん」
潔が軽く笑う。
「忘れないって」
その言葉が、
やけにまっすぐ刺さる。
「……そっかよ」
それ以上、言葉が続かない。
その空気を、潔が少しだけ崩す。
「で?」
「ん?」
「いつ迎えに来るの?」
冗談っぽいのに、
目はちゃんと見てる。
乙夜、少しだけ息を吐いて——
「……もうちょい先」
正直に言う。
「でも」
少しだけ、前を向く。
「絶対行く」
はっきり。
潔は、それを聞いて——
「うん」
ただ頷く。
それだけで、
十分だった。
少し離れた場所。
「……静かだな」
烏。
「うまくいってる?」
蜂楽。
「いってるでしょ」
千切。
「あの空気はもう」
玲王が笑う。
「時間の問題だね」
全員が、同じことを思っていた。
“押して正解だったな”って。
オフの日は、まだ続く。
でも——
もう、ただの再会じゃない。
周りに押された一歩が、
確実に“未来”を動かし始めていた。