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「すみませんが、本日をもって退職とさせてください。ご迷惑をお掛けしますが、何卒…お世話になりました。また手続き等は後日いたします。はい。失礼致します。」
倒れたことで私のプロジェクトは他の人に代わり、退職の話も引き止められることなくすんなりと進んだ。個室の病院は、広過ぎて声が響いてしまった。その分、私はもうこの会社を辞めたということを実感できて楽になった。
「もも!よく言ったよ。頑張ったね!ところでお願いがあるんだけど、昼間は俺の家で看病できない?昼だけでいいからさ…」
…?看病?来都くんの?頭が真っ白になった。これはファンとしてどうするべきなのかを深く考えないといけないと思った。
もし家を出入りしているのがバレてしまったら…私は、ファンとアイドルの関係を絶対に壊したくなかった。私は断ることにした。
「ごめんね…それはできないの。私も仕事、探さなきゃだしさ。」
この一言を言うのにどれだけの悔しさがあっただろう。チャンスを逃すというのがどれだけ悔しいものか、私は1番わかるはずなのに。
ベッドから降りて、帰ろうと思った。彼のことを見ずに、そのまま病室を抜けた。