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当たり前だけど、来都くんとは会えなくなった。
来都くんの友達に連絡することも失礼だし、今は1人で休養してほしい気持ちでいっぱいだった。テレビでも見られない、現実にも会えない日々はひどく憂鬱だった。
それにしても今日はとてつもなく彼に会いたい。彼のことがとても恋しくなった。でもふと一瞬、公園に行ったら会える気がしてすっぴんでパジャマのまま家を飛び出した。
絶対いるはず。この勘は当たった。いつものベンチに、来都くんが座っている。無言で彼の前に立ち止まった。何秒か見つめ合い、何もない時間だけが過ぎていった。
何か言いたい、でも何も言えない。そんなもどかしい気持ちで来都くんの前に立ち止まった。何分か無言が続いた後、彼は突然、何も言わずに私を抱きしめた。
「やっぱお前じゃないとダメなんだよ」
ぼろぼろと泣きながら、キツく抱きしめて離さなかった。嬉しさ、恥ずかしさ、苦しさ…いろんな感情が来都くんの身体に染み込んで行った。
「ずっと探してた。心配もしてた。今何してるだろう、大丈夫かな。俺の頭はお前でいっぱいなんだよ」
何かが噴火したかのように珍しく感情的になる来都くんを、私は初めて目の当たりにした。でも私は受け止めきれなかった。冷静に、頭をなでなでして、優しくそっと離した。
「誰かに見られたらまずいでしょ!」
暗く落ち込んでいる来都くんを少しでも励ましたかった。きっと、私に縋るのは今の現状に不安だから。彼は私のことが好き、そんな感情ではないと言い聞かせた。もしそれがそうとして、それがわかった瞬間にこの関係は終わってしまう。それだけは避けたかった。
「私、何が似合うかな。身体動かす仕事がしたいんだよね。来都くんみたいに、踊ったり?」
無理に笑いながら、話を盛り上げた。なんか変な自分…でも、来都くんの話を逸らさないと…私はやっていけない。そう思ったから。すると来都くんも何か言葉を出そうと頑張っていた。
「ヨガ…ヨガ!ヨガのインストラクターがももには似合う!!」
ヨガなんてやったことがなかった。でも、それっぽいポーズをとって来都くんに見せた。
「こうかな…こうかな。」
今日初めての笑顔で、来都くんも私の真似をした。
「このポーズ意外と難しいね!!腹筋つりそうだよ!」
いつもの和やかな雰囲気が戻ってきて安心した。きっと口から出まかせでヨガが思いついたんだろうけど、なんか楽しそう。このできごとが大きなチャンスだと思って、ヨガのインストラクターになることに決めた。