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#極道
鷹槻れん

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#シングルマザー
水羽凛
183
月詠 涼
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鷹槻れん

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「なぁ、コト、ちょっとピッチ早くねぇか? ホントに平気か?」
ヒロが、私が作ったものを食べながらお酒を飲んでくれていると思うと、何だかすっごく嬉しくて。
ついついペースが早くなってしまっていたみたい。
「大丈夫!」
そういえば、そのさんとヒロと私の3人で、居酒屋で少し飲んでいたのを忘れていました。
缶チューハイ3缶なんて、いつもなら全然問題ない量なのに、最後の1缶――桃の酎ハイ――を開けて数口で、何だかめちゃくちゃ楽しくなってきて、「あ、これ酔ってるな」って自覚する。
「ごめん。ちょっぴり酔ってるみらい」
言ったら、「だな」ってヒロが私の手からグラスを取って、テーブルに置いた。
対するヒロはまだ1杯目のロック――氷が溶けてだいぶ薄まってる?――をちびりちびりと飲んでいるところ。
「ヒロは全然減ってにゃいね」
言ったら、「俺まで酔ったらコトを介抱するやつがいなくなんだろ」って。
「わ〜、出ましたね。安定のお兄しゃん気質」
へらりと笑ったら、「お前相手に兄貴でいてやれると本気で思ってんの?」って問いかけられて。
「へ?」
ヒロの、思いのほか低く甘えた声音にキョトンとしたら、そのまま手首をグイッと引かれて唇を塞がれた。
ちゅく、っと口の中をヒロの熱い舌でかき回されて。
「ふ、ぁっ」
途端、身体から力が抜けて倒れそうになった私は、思わず彼にギュッと縋り付いて甘えたような声を漏らす。
「桃の香り強えーな」
唇をチュッと吸い上げるようにして口付けをほどくなり、ヒロがそう言ってククッと笑った。
その言葉に、にわかに照れ臭くなった私は、酔いが一気に吹き飛んでいくのを感じて。
「桃の……飲んでた、からっ」
ヒロの視線から逃れるみたいに、机上に置かれたグラスに目をそらしたら、「うん、分かってる」ってそっと頬に手を当てられて、顔ごと眼差しを軌道修正される。
そうしてそのまま瞳を覗き込まれるように見つめられて、
「コト、このまま続けて……いい?」
真剣な表情で問いかけられた私は、ヒロが告げた「このまま続ける」が何を意味しているのかを悟って真っ赤になった。
自分でも分かるぐらい心臓がバクバク言っているのが分かる。
――どうしよう、どうしよう、どうしようっ!
「あ、あのねっ、わ、私っ。その……こ、う言うこと……初めて、なん、です……が……それでもよろしいです、か?」
しどろもどろになりながらヒロを見上げたら、ギュッと抱きしめられて「誘っといてごめん。実は俺も……なんだけど……」って耳元で小さく落とされた。
一瞬「うそ」って思ったけれど、考えてみたらヒロはほんの少し前まで幼なじみちゃん一筋だったのだ。
その子とそう言う雰囲気になったことがないならば、経験がないのも当然な気がして。
そういうところが、一途で真っ直ぐなヒロらしいなって思ったら、そんな不器用な彼のことが無性に愛しくて堪らなくなった。
「う、まく……できるか分からない、けど……私、ヒロとしたい、な?」
初めて同士で、ちゃんと最後まで出来るか心配じゃないか?って聞かれたら物凄くドキドキなんだけど。
それでももしも許されるなら、私はヒロとひとつになりたい。
「もちろん俺も……なんだけど……。鳴宮言凛さんは……経験値ゼロの俺が初めての相手でも……ホントに構いませんか?」
いつもとは少し違う口調で問いかけてくるヒロの声はすごく不安そうで。
初めてで、どうしたらいいか分からなくて混乱しているのは私だけじゃないんだ、って思い知らされた気がした。
「当たり前、だよ? ――私ね、初めても、その先も、ずっとずっと……ヒロが相手じゃないと、嫌、だな? だから……えっと、もしも今日無理だったとしても……また次がある、って思えば……少しは気が楽になったり……しません、か?」
私たちの関係は……つい数時間前に始まったばかりなんだもの。
そうして、これから先もずっと……。
「末長く……一緒にいてくれるん、でしょ? ――柳川寛道……さん」
言って、ほんの少しヒロの腕の中で身じろいで距離をあけると、私は彼の頬を両手でギュッと挟んで、初めて自分からヒロの唇を奪った。
ヒロがしてくれるみたいに、舌を絡めるような大人のキスは無理だけれど、この唇は私だけのものだよって言うマーキングくらいは出来たかな?
そう思って間近でヒロを見つめたら、「コト、初心者相手に煽りすぎ」って吐息混じりに苦笑された。
「あ、煽っ……!?」
もちろんそんなつもりは微塵もなくて。
ヒロが物凄く照れた顔で私を見つめてくるから、急に恥ずかしくなってドギマギしてしまった。
「えっと……とりあえずベッド、行く?」
ヒロに真剣な顔で見つめられた私は、小さな声で「はい」って応えてうなずいた。
***
ヒロに手を引かれてベッドに移動してみたものの、そこからどう次の動作に繋げたらいいのか分からなくて、2人で横並びにマットレスに腰掛けたまま。
ヒロも私もめちゃくちゃ緊張していて何にも言わないものだから、壁掛け時計の秒針が時を刻むチッチッという幽けき音さえもやけに大きく聞こえて。
そこに私たちの押し殺したみたいな息遣いが重なって、それだけが今この部屋にある音の全てみたいになっていた。
このままでいたら、自分の心臓の音までもが段々大音量で聞こえてくるような錯覚に襲われる。
「あ、あの、さっ、コト。その、……キス、して……いい?」
ややして、沈黙に耐えきれなくなったみたいにヒロがそう口火を切ってくれて、彼が私の方へ身体を向けたらしい衣ずれの音が鼓膜を震わせた。
私はそのことにホッとしたのと同時、「いよいよなんだ」って思いで緊張がピークに達して。
「……は、ぃ」
やっとのことでヒロの言葉にそう返したけれど、喉がカラカラに干からびたみたいになって、しゃがれた声しか出せなかった。
でも、ヒロは私の言葉をちゃんと聞き取ってくれて、「ねぇコト。――お願い、こっち向いて?」って私の耳にそっと触れてくる。
ヒロの指先がほんの少し耳朶を掠めただけなのに、ビクッと身体が跳ねて恥ずかしさにぶわりと身体が熱くなった。
ヒロに促されるまま、気持ち身体ごと彼の方を向くと、腫れ物に触るみたいにそっと耳に触れていた手が顔の輪郭をなぞって頬に添えられた。
その感触にそっと目を閉じると、唇に柔らかなものが押し当てられる。
ヒロの唇は、緊張からかいつもよりちょっぴり冷たく思えて。
でも、まるで口を開けて?と請うみたいに唇の隙間にやんわりと這わされた舌先は、それと反比例したみたいに今までで1番熱く感じられた。
求められるままに薄く唇の合わせをほどくと、するりと伸ばされたヒロの舌に、口の中を探られる。
「ん、っ」
そういえば、ヒロ、キスはしたことあるのかな?
初めての時から彼のキスは凄くうまくて気になってしまう。
――誰としたの?
そんなことをぼんやり考えていたら、ブラウスの上から、大きな手のひら全体でそっと包み込むみたいに胸にやんわり触れられて、驚きで思わず身体に力が入った。
ヒロとその先に進むと言うことは、そう言うところも彼に触れられるんだと頭では分かっているつもりだったのに、いざそこに手を伸ばされた途端、緊張で身体が硬くなっちゃうとか。
「ごめん、コト。……嫌、だった?」
私がギュッと身体を強張らせたのを敏感に察知したヒロが、口付けを解くと申し訳なさそうにそう問いかけてきて。
私は、慌てて首を横に振った。
コメント
2件
ドキドキしちゃう!
ふわぁ……もう、ドキドキが止まらないんですけど!(笑)お酒の勢いで始まったキスが、どんどん深くなっていく感じが映像のように浮かんできました。特に「俺まで酔ったらコトを介抱するやつがいなくなんだろ」ってヒロが言うところ、しっかり者な一面が出ててグッときました。それでいて実はお互い初めてっていうギャップがまた…! 初心者同士のぎこちない空気感、すごく丁寧に描かれていて、読んでてこっちまで照れちゃいました(///)続きが気になります!