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店長もきっと……
いつかはトラウマを克服して、新しい恋ができると信じたい。
「じゃあ、私、行くわね。向こうのテーブルに彼氏待たせてるから」
「そうだったんですか! すみません、私、いろいろ聞いてしまって……彼氏さん大丈夫ですか?」
「いいの、いいの、気にしないで。琴音ちゃん、旦那様とお幸せにね。鳳条グループの嫁なんて大変だろうけど、無理しないで。じゃあ! 会えて嬉しかったわ」
「私もです、ありがとうございました」
莉奈さんに会えて、思いがけず話ができて良かった。
1人になって、ミルクティーに口をつける。
ふと目をやると、窓の外には綺麗な空が広がっていた。
「みんな、元気でいてくれたらいいな……」
そうつぶやきながら、私は改めて今までのことを思い返していた。
龍聖君と偶然に出会い、私の人生は大きく変わった。まさかの契約結婚で、両親の工場が救われて。
龍聖君が事故に合った時は死ぬほど不安になったけれど、碧と綾井店長のおかげで、私は龍聖君を信じようと思えた。
長い長いすれ違いの末、素敵なプロポーズがあって、私達はようやく本当の意味で夫婦になった――
思いがけず、桜木家も1歩前進することができて、碧も絵麻ちゃんと幸せで、綾井店長も社長として頑張っている。
そして……
涼香姉さんも、今、両親の工場のすぐ近くのオシャレで高級なマンションに住んでいる。
内科のお医者さんと……2人で。
そう、姉さんも結婚した。
相手の人は、お父さんの知り合いのお医者さんの息子さんで、病院を経営してるお父様と2人、患者さんからとても慕われているらしい。
きっと素晴らしい先生なんだろう。
涼香姉さんは、その人に一目惚れされたらしい。
猛アピールの末に結ばれ、結婚式はしてないけれど、家族写真が私にも送られてきた。
彫りの深いイケメンさんと、とても綺麗な涼香姉さん――本当にすごくお似合いで。
結婚したと聞いた時、私はとても嬉しくて、1人でいっぱい泣いた。
いろいろあった娘2人が、こんなにも幸せになって、お父さんお母さんも喜んでくれているはず。
少しは……親孝行できたと思う。
家族旅行にはまだ行けていないけれど、必ず実現させたい。
私はロイヤルミルクティーを飲み干し、ホッとひと息ついた。
自然と笑顔になっている自分に気づく。
きっと今、みんな……ちゃんと幸せなんだよね。
だったら……本当に嬉しい。
窓から優しく差し込む陽の光が、私達の未来を照らしてくれているようで……私の頬にそっと、涙がひとすじこぼれ落ちた。
それから私は、少しの間1人で買い物を楽しんで、そして、ゆっくりと家路についた。