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そうして、アメリカ合衆国による世界恐慌が始まり、ついに、第二次世界大戦が始まりました。
 その大戦では、多くの人が苦しみ、嘆き、悲しみ、世界中の何処でもそのマイナスの感情が感じ取れました。
 それは勿論、私の住んでいる中立国のスイス連邦でさえも暗雲に包まれるような物でした。
 そんな時代の中、私の能力は発動してしまいました。
 公園の噴水近くにいると、悲しい、辛い、怖い、そんな感情が私の中に入り込み、噴水に大きな枝垂れ桜の木を生やし、満開にさせました。
 周囲の人々はその桜にうっとりとし、あれ程苦しんでいた心が嘘のように晴れ渡った表情で、自宅へと帰って行きました。
 私もそんな枝垂れ桜に見惚れていました。数分が経つと、何事も無かったかのように枝垂れ桜は消えてゆきました。
 「っ!」
 その瞬間、酷い痛みと苦しみが私の体と心を這うように伝わってきました。
 気持ち悪さで、あまりの苦しさで体ご言うことを聞かないほどの物でした。
 「連華!!」
 そこに、血相を変えた炎端さんが走って来ました。いつもは見せないような焦った表情でした。
 「ハァ、ハァ、ぇ、えん、た」
 「話さなくて良い!」
 私が炎端さんの名前を言って、状況を説明しようとすると、怒られてしまいました。
 「僕の能力だと、この後直ぐに駄目になっちゃう。なら、なら、」
 右手で頭を抱えて炎端さんは何か独り言をブツブツと言っていました。
 「ひとっぱりしして、あっちで僕が能力を使ったら良い!」
 何か覚悟が決まったのか、頭を抱えていた手を退けて、私をおんぶしました。
 そうして炎端さんは猛スピードで走り出し、日本国の大阪の山の中に入って行きました。