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男女の間に生じる感情の機微や複雑さなど知りもしないコユキであっても口白が何やら誤魔化そうとしている事位は分かる。

大体、二人きりとか嘘つく気満々以外無い言葉だもんね。

単純なコユキの中では既に口白イコール悪、そんな認識が出来上がってしまったのである。


その時、


「おお、アルテミス復活したのでござるなぁ、奇麗でござる! こりゃ口白自慢の奥さんなのでござろうなぁ」


帰って来た善悪が大きな声で言いながら本堂に上がるのであった。


「善悪様これからお世話になります、只主人が私の事をどう思っているかは甚(はなは)だ疑問ですけれど……」


「うんうん、ご夫婦だもんね、色々あるのでござろう、さもあらん、うんうん」


坊主っぽく適当な感じで聞き流した善悪にコユキが聞く。


「お隣さんの音成(オトナリ)さんの用件は終わったのん? 一体子犬を見せて何だって言ってたの?」


善悪がやや面倒そうな表情に変わって答える。


「あー、所謂(いわゆる)父親捜しってヤツでござるよー、三匹の子犬ちゃん達のお父さんは誰だっ! って奴でござる」


コユキは何となく話の展開が見えてしまった気がしていた。

でも一応確認の声を上げた、慎重派だ。


「んで、何だって言うの? 音成さん」


善悪は剃り上げた頭をポリポリ掻きながら答えた。


「うん、三匹の子犬の毛の色がね、ペスとは似ても似つかなくてさー、黒と白と茶色の――――」


「口白っ! アンタいい加減にしなさいよっ! 恐妻家はいいわよ、まあ良くは無いかもだけどさっ! んでも、やって良い事と悪い事があるでしょうがぁっ! アンタ今回は完全にアウトよ、アウトッ! 全世界の女の敵だわよ、もう、信じられない! 不潔よ不潔! キイィィー!」


口白は慌てて弁解めいた事を言った、コユキでは無く妻アルテミスに対してである。


「いやいやいや、違うぞ! ほら俺の毛色だったら昔と同じ灰色だろう? 黒とか白とか茶色とかじゃないだろ? そもそも神狼と普通の犬との間に子供なんか殆(ほとん)ど授からない、いやいやいや出来ないってか確率的にはほぼほぼゼロだからさ! 神狼の仔じゃないと思うぜ、うん! 思うぞ、な?」


「……思う、って何?」


「いやだから俺じゃなくて他の神狼の場合でもって事だよ! やだなぁ、他にもいるじゃんかぁ、神狼とかってさぁ! うじゃうじゃいるよ? 知らなかったのかオマエ? ドジっ子だなぁ、もう! な? 判るだろう?」


コユキは怒り心頭の様子である。


「かぁーっ、往生際が悪いわねぇ口白ぉー! アンタが三体に分離した時の色と全く同じじゃないのよっ! それにアンタ以外の神狼がウジャウジャですってぇ? 見た事無いわよ! もう認めちゃって楽になんなさいよぉ! 男らしく無いなぁ! ガッカリよ、ガッカリィーッ! キイィーッ!」


「アナタ……」


「違うぞ違う! 落ち着けってアルテミス、取り敢えずっ! 弓は降ろそうか、なっ? 弓は危ないじゃんっ! それ男に当たったら確実に死ぬんだからさっ、ね? 取り敢えず降ろそう、降ろしてください」


「降ろしちゃダメよ、こういう口車で泣くのはいつも女なんだからね!(テレビの知識) とことんやるのよっ! アルテミスちゃん、裏切りには死を以て償(つぐな)わせるのよぉ! 贖(あがな)うのよおぅっ!」


「そうよね…… 死を以って…… か」


「ちょっとコユキ様、関係無いんだから黙っていて下さいよ! 無関係なんだからさっ!」


「無関係? ふざけんじゃないわよっ! アンタみたいな屑男(くずおとこ)に泣かされている全女性の代弁者よ、アタシは! 全然関係者なのよぉ! 超関係あるのよおぉうぅ!」

堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

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