第二章・変わり果てた日々
あれから一週間がたった。あの日から机の中が荒らされてたり、机の上に花瓶が置かれていたりした。だけど今日は朝から何も起きていない。逆に教室に入った瞬間皆が普通に〝おはよう〟と言ってくれた。それが不思議で仕方がなかった。すると果南・グラウンが教室に入ってきた。その瞬間皆サッと黙った。これはきっと〝無視〟だ。いつの間にか私から果南・グラウンに標的が変わっていた。すると果南・グラウンは一瞬悲しそうな顔をしたが、その後すぐ自分の席へ座り準備し始めた。
「あの、梅崎さん。少しいい?」
そう私を呼んだのは学級委員長で学年代表も務める能代朱鷺さんだった。私は大人しく呼ばれた方に行く。
「どうしたんですか?」
そう聞くと能代さんは、さっきまでこわばっていた顔が急に緩んで笑顔を作っていた。そして
「良かった。普通に喋れそうな人で…」
そう言われた私はどういう事か分からず、首を傾げた。
「あ、急に言われてもそうなるよね…。ごめん唐突で。ずっと近寄りがたい雰囲気だったから。」
そう言われてふとこのクラスになってからの行動を思い出してみる。よくよく考えてみると挨拶もせず、人とは関わらない、休み時間は本を読んでいる。そりゃあそんなイメージになる。
「言われてみればそうかもしれません。」
そう答えると能代さんは苦笑した。
「素直だね。敬語外していいよ。私喋りにくいし。」
そう言われ一瞬どうしようか迷うが敬語を外す事にした。
「わかった。そういえば能代さん、何か私に用事があるの?」
そう聞くと能代さんは〝あのね〟と話しだした。
「まずはごめんなさい。ずっと無視をし続けて。許してとは言わない。」
そう言われ私は戸惑った。何て言えばいいか分からなかった。そう黙り込んでると能代さんが不安そうな顔でうつむく
「いいよ。許す。」
そう無意識に口に出していた。無視する人の気持ちは何となくわかるから。すると能代さんは
「ありがとう。ありがとう。」
と、繰り返しお礼を言ってくれた。その後私と能代さんは一緒にいることが多くなった。 私はいじめられなくなった。
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