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最終章 「約束の光」
戦いが終わったあと、
街にはようやく静けさが戻っていた。
焦げた大地の上で、哀はゆっくりと目を開ける。
哀:「……生きてる。」
その声に応えるように、
柔らかな風が頬を撫でた。
――そして、その風の中から、彼の声が聞こえた。
ダビ:「お前、ほんとに無茶するよな。」
哀:「ダビ……!」
振り向いた先。
傷だらけの姿で、それでも彼は立っていた。
青い炎ではなく、あたたかな橙の光をまとって。
哀:「生きてたんだね……!」
ダビ:「お前が呼んだからな。
あのとき、炎の中で“まだ一緒にいたい”って声がした。」
哀:「……私も、あなたを感じてた。」
二人は静かに歩み寄る。
戦いの跡を踏みしめながら、
まるで一歩ごとに過去を超えていくように。
ダビ:「俺さ、もう誰も燃やしたくねぇ。
でも、お前といると……生きたいって思う。」
哀:「それでいいよ。
あなたが生きたいって思ってくれるなら、
それが、私の幸せだから。」
ダビの手が、そっと哀の頬を包む。
炎の跡が、やさしい手のひらの温もりに変わっていた。
ダビ:「……俺みたいな奴でも、幸せになっていいのかな。」
哀:「当たり前でしょ。
私がその証明になる。」
彼は小さく息を吐いて、笑った。
その笑顔は、もう“ダビ”でも“荼毘”でもない。
――ただの、「ひとりの青年」だった。
ダビ:「……じゃあ、約束な。
これから先、何があっても、お前を笑わせる。」
哀:「うん。私も、あなたを照らし続ける。」
二人は互いの指を絡めた。
炎と光が混ざり合い、やさしく世界を包み込む。
空には、朝日が昇っていた。
焼け焦げた街にも、花が咲き始める。
ナレーション:
「絶望の中に芽吹いたひとつの愛は、
やがて世界を照らす希望の光になった。」
⸻
――数年後、雄英高校の庭にて。
花壇の前で、哀が笑っていた。
隣には、黒いコートを羽織った青年。
彼の目には、もう痛みも怒りもなかった。
哀:「ねぇ、ダビ。」
ダビ:「ん?」
哀:「今日も、ちゃんと生きてるね。」
ダビ:「お前が隣にいるからな。」
二人の指が、また絡む。
その手の中に、小さな炎が灯った。
――壊すためではなく、
“未来を温めるため”の光として。
ダビ:「愛してるよ、哀。」
哀:「私も。ずっとね。」
⸻
🌸 完 ― 「炎と嘘のない恋」 🌸
嘘も、罪も、過去も燃やし尽くして。
残ったのは、ただ一つの“真実の愛”。