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食器をシンクに運ぶと、そそくさと部屋を出ていこうとする。
「じゃお風呂入ってくるねー!」
「全く!ゲームをする時だけは行動が早いんだから!」
自分も食べ終わると食器を洗い、お皿を拭いているとカズヤがお風呂から上がってきた。
「頭よく拭いてね」
「うん!」
カズヤの様子を見ると苦笑して自分もゆっくりとするかと食後のコーヒーを入れる事にした。
カズヤはゲームを持つと二階に駆け上がる、どうやら今からユウジとゲームを始めるみたいだ。
お湯を沸かして、カップを出していると…
ガダーン!!
何か重いものが落ちる音がした。
「ぎゃー!カズヤー!!」
ユウジがカズヤを呼ぶ声が二階から聞こえた。
「な、何? カズヤー、なんなの?」
二階に向かって声をかけるがいつもならすぐくる返事が返ってこない。
嫌な予感になぜが手足が震えて上手く階段を登れなかった。
「カズヤ、なんなの? 何か落としたの?」
先程よりも大きな声で震えながら声をかけて階段を一段づつ上がっていく。
早く返事を返して!
「ごめんなさい。ゲーム機落としちゃった!」
そんな答えを望んで一段一段と階段を上るとカズヤの部屋に向かってもう一度声をかけた。
「カズヤー、返事は?カズヤ!?」
やっとの事で部屋にたどり着くとドアノブを握りしめて覚悟を決めてドアを開ける。
まず見えたのはユウジだった、窓から飛び出しそうに身を乗り出してそれをユウジのパパとママが必死に押さえ込んでいる。
「カズヤ…?」
声をかけるがカズヤが居ない。
カズヤの部屋なのにカズヤが居ない…
ユウジが何かずっと下に向かって叫んでいるが耳には入ってこない。
世界がどんどんと無音になっていく。
ユウジが口をパクパクと動かしている様子が見えた。
あの口は…カズヤを呼んでるの?なんで下に向かって呼んでるんだろ…?
フラフラと窓の側に行くとユウジが手を伸ばしている地面を見下ろした。
そこには先程美味しそうにご飯を食べていたカズヤが血を流して目を見開いたまま冷たい地面に横たわっていた。
「カ…ズヤ?」
えっ?さっきまで元気にお風呂に入ってたよね?
「カズヤ…なんで外で寝てるのよ…」
ハッハッ…乾いた笑いかおきる。
「ユ、ユウちゃん…」
窓の向こうからユウジママの泣きそうな声が聞こえてきた。
「俺が行く!」
するとユウジパパがママにユウジを任せると下にかけ下りた。
「ユウちゃんしっかりして! きっとまだ間に合うから救急車呼ぶよ!」
その声に覚醒する。
「ハッ」と気が付き、急いで階段をかけ下りると靴も履かずに外に出た!
「カズヤ!カズヤ!」
ユウジの家とカズヤの家の少しあるの敷地に行くとそこには上から見た通りのカズヤが倒れ込んでいた。
「カズヤー!」
だき抱えるとぐったりとして力が全然入っていない、まるで壊れた人形の様に動かなかった。
頭からは赤い血が流れカズヤの顔を赤く染めていた。
「ユウちゃん! 今救急車呼んだから!」
ユウジママが携帯片手に上から声をかける。
「ユウコさん、カズヤくんをあまり動かさない方がいい」
「高橋…さん…でも、カズヤが」
ユウジパパが痛々しそうに顔を歪めて私達を見下ろした。
するともユウジママも下に駆けつけてきた。
「ナッちゃん…なんで? なんでなの? カズヤが動かないの、カズヤ!カズヤ返事をして!」
「ユウちゃん…」
二人の声が全然知らない人のように聞こえた。