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警視庁・第4機動捜査隊。
新しく入った私は、まだ肩身が狭い。いろんな部署をたらい回しにされ、最後に桔梗隊長が「うちで預かる」と言ってくれた。そんな私の最初のバディは志摩一未。だけど、彼は元々伊吹藍とコンビだ。だから、異例の3人組で現場に出ることになった。
最初の事件。通報を受け、私たちは車で現場へ向かう。すぐに犯人らしき男を発見したが、そいつは逃げ出した。
「志摩!俺が行く!」
伊吹が車を飛び出す。
「伊吹行け!っておい!○○さん?!」
志摩の声を背中に受けながら、私も気づけば走り出していた。
「ってえぇ?!走れんの?!速くね?!」
隣で走っていた伊吹が振り向き、驚いたように笑う。私は必死に前を見据える。
「伊吹さん!そっち!!」
路地へ逃げ込もうとする犯人に声を張り上げる。二人で左右から挟み込み、タイミングを合わせて飛びかかる。
ガチャン、と手錠がはまる音。男が抵抗をやめ、私と伊吹は目を合わせた。
「よっしゃ!ほら、ハイターッチ!」
「っはぁ、っ…はぁ、…ハイタッチ!」
勢いのまま手のひらを叩き合う。胸がまだドクドクしていた。
そこに車で追いついた志摩が降りてきて、呆れたように私たちを見る。
「…お前、…伊吹と走る速度一緒なのか…、………ヒールで?!」
ぼそりと呟く声に、私は肩で息をしながら振り向く。
「管理する野犬が2人に増えたな…」
「…野犬??」
聞き返すと、志摩は顔をしかめて首を振った。
「ははっ、いいじゃん!2匹ならもっと強いだろ?」と伊吹は得意げだ。
志摩は深いため息をつき、仕方なく手を上げた。
「ん、ハイタッチな。」
伊吹が「お、志摩も!」と笑いながら手を重ねてきて、3人で妙に不格好なハイタッチが完成した。
新しい相棒関係は、どうやら賑やかすぎるくらいがちょうどいいらしい。