テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
あ
16
823
「関係ねぇわけねぇだろ……ッ!」
なつの怒号が旧校舎の壁に木霊した。
次の瞬間、なつは猛然と階段を駆け上がり、俺の肩を抱いていた拓海を力任せに突き飛ばした。そして、一軍のリーダーである蓮の胸ぐらを、殺気立った目でがっしりと掴み上げる。
「なつ、やめろ……っ!」
俺は悲鳴のような声を上げた。ダメだ、蓮に手を出したら、本当に取り返しのつかないことになる。
「あ? なんだよ、手ぇ出してくんじゃねぇよ陰キャが」
陸が舌打ちをしてなつを殴りつけようとするが、なつはそれを鋭い眼光で威嚇し、蓮をガタガタと激しく揺さぶった。
「テメェら、いるまに何言った。退学だの何だの、さっきから聞いてりゃ調子に乗りやがって。……いるまのこの顔見て、ただのじゃれ合いで済むと思ってんのかよ!?」
胸ぐらを掴まれ、壁に背中を打ち付けられた蓮は、一瞬だけ驚いたように目を見開いた。けれど、すぐにクスクスと、なつをあざ笑うような歪んだ笑みを浮かべる。
「へえ、威勢がいいね、暇72。……でもさ、熱くなっちゃって馬鹿みたい。俺の親父が理事長とズブズブなこと、お前だって知ってるだろ?」
蓮はなつの腕を冷酷に振り払おうとしながら、すぐ隣でガタガタと震えている俺に視線を向けた。
「おい、いるま。お前の大好きな仲間が、俺に暴力を振るったよ。……どうする? これ、今すぐ親父に連絡したら、こいつ今日で一発退学。ついでに、あとのシクフォニの奴らも全員、明日には学校にいられなくなるように仕向けてやるけど」
「……っ!!」
頭の中が一瞬で真っ白になった。
なつが、みんなが、俺のせいで学校を追い出される。彼らの未来を、俺がここで終わらせてしまう。
「なつ、離せ……! 頼むから離してくれ!」
俺は涙を流しながら、なつの頑丈な腕にしがみつき、必死に蓮から引き離そうとした。
「いるま! お前なんでこいつら庇うんだよ! 脅されてんだろ!?」
なつが悔しそうに叫ぶ。
「違う、違ぇんだよ……っ! 俺がこいつらと一緒にいたいだけなんだ! お前なんか、もう話しかけてくんな! 邪魔なんだよ!」
心にもない最低な罵声を、俺は命綱だったはずのなつに向けて叫んだ。
なつの動きが、ショックで一瞬ピタリと止まる。
その隙を突いて、蓮がなつの手を冷酷に弾き飛ばし、俺の腰をグイッと自分の方へ引き寄せた。
「ほら、いるまもこう言ってることだしさ。……行くぞ、いるま。お仕置きの続き、もっとたっぷりしてやんねーとな」
蓮、拓海、大和、陸の4人は、呆然と立ち尽くすなつを嘲笑うように見下ろしながら、俺を連れて再び歩き出した。
俺はなつの方を振り返ることもできず、ただ、自分のせいでなつを巻き込んでしまった絶望感と、これから待っている4人からの容赦ないお仕置きへの恐怖で、ボロボロと涙をこぼし続けるしかなかった。
コメント
1件
わあ……第16話、すごく胸が締め付けられました。なつがいるまを守るために怒鳴り込むシーン、本当に熱かったです。でも、いるまが「邪魔なんだよ」って叫ぶところ、あれは心にもない言葉だと分かっているからこそ、読んでいて切なくなりました。自分のせいで仲間を巻き込みたくない、でももう戻れない……その絶望感がひしひしと伝わってきて、涙が止まらなかったです。続きがすごく気になります。ゆいさん、本当に感情を揺さぶるお話をありがとうございます🌷