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江戸は小さくて可愛い。

和装は少しぶかっとしているように見えるから、俺からすると小さな子が大人を真似ているように感じるのだ。

そりゃあ刀を持って殺意に溢れた江戸は怖いさ、可愛いとか言っていられない。

だがそんな強い江戸も、普段は美味しいもん食って俺と話して、楽しそうにしてる。

愛嬌があるっていうのかな、ついつい子供に甘くなるあの感じ。

ポルトガルから掠め取ってきたカステラとか、金平糖とか、俺のとこの本とか、色々なものを与えてしまう。

だから、俺が江戸を見かけるたびに頭を撫で回してしまうのも仕方がないことであって…



「いや、そんな言い訳は通用しないが」

「いやいや本当に仕方ないの!サイズ感が丁度良いから撫でちゃうの!」

「このデカブツめ…わしのこと舐めてるんじゃないのか?お前はクソ宗教を持ち込まないだけマシだが…やはり西洋のやつは信用に値せん!」

そう、やりすぎたんだ、俺は。

我ながらうざいくらいに江戸のことを撫でていたから、怒らせてしまった。

ちょうど手を伸ばしやすい位置に頭があるんだ…猫って撫でたくなるだろう?あれと同じだよ。

低身長なことを気にしている本人からすれば、かなり腹の立つことなのだろうけどさ。

生憎と俺にはわからない。

「そんなぁ…いっつも俺の本読んでるくせに…」

「あ、あれは勉学のためだ!お前に興味があるとか、そんなことでは決して…」

「でも俺の顔好きじゃん」

「うるさい!」

俺を正座させるに飽き足らず、珍しくローアングルだった江戸がそっぽを向いてしまった。

この座り方ものすごくきついんだけど。

痛いの我慢してるのに、江戸の可愛い顔すら見れないのか。

メンタル的には拷問並みにきついぞ。

「ね〜許してよ江戸、仕方のないことだって受け入れてくれよ〜」

「絶対に嫌だ!そのまま反省していろ!」

「ちょ、それは俺の足が駄目になるっ!!」

「いい機会じゃないか、縮め!」

「も〜…そんなことを言う江戸はこうだー!!」

「ぎゃぁぁぁ何をする!このデカブツめがぁああ!!!」





国2人だけがいる静かな居間で、オランダは江戸の頭をこれでもかと撫で回していた。

「んふふふ」

「…………」

その長い足と腕で江戸の身体をガッチリと固定し、不満そうな顔をした江戸に頰を擦り付けながら、よしよしよしよし撫で続ける。

江戸には猫耳も尻尾も生えていた。

オランダは出して出してとおねだりし、力比べに負けた江戸は大人しく曝け出したのだ。

するとどうしたことだろう、それを見たオランダは江戸を捕獲し、今に至る。

したーんしたーんと不機嫌そうに尻尾が床に叩きつけられ、というかオランダの太ももを直撃しているが気にも止めず、かわいいかわいいとふわふわの猫耳を撫で続けた。

ちょっとゴロゴロ言っているから、ただのツンデレだということはわかっている。

「あ〜かんわいい!江戸は長毛なんだな、すごくふかふかしてて可愛いぞ!」

「うるさい、耳元で騒ぐな!このあこぎが!」

「きゃんきゃん吠えてるのもか〜わいい〜」

「わしは猫だ!呆助!」

江戸は最大限の悪口を言いながら反抗しているが、なにしろ体格差がありすぎた。

江戸の背はオランダの肩あたり、猫耳で盛っても足りないのだ。

一度物理的に丸め込まれてしまえば、最早抵抗も意味をなさない。

オランダも海を統べる1人であるため、尚更のことだ。

「…スゥゥゥゥゥ」

「んぎゃっ!?な、なにを…」

「いい匂いする…ちょ、これやばい中毒になる」

「えぇ…ちょっと気持ち悪いな、お前…」

「スゥゥゥゥゥ」

「ゾワゾワする…」

更には猫吸いならぬ江戸吸いを始め、その後は2、3時間くらい弄ばれることになるのであった。







数週間後、 なんとか撫で撫でする権利を勝ち取ったオランダは、ことあるごとに江戸を撫でている。

挨拶の時に、褒める時に、話している時に、寝ている時に、何もなくても撫でまくっていた。

最初は嫌がっていた江戸も、段々撫で方が上達していくオランダに絆され、今となってはゴロゴロと喉を鳴らして撫でられている。

警戒心もすっかり解けきったのか、むしろ撫でろ!と言わんばかりにオランダの周りをうろちょろしていた。

横になれば手の位置に頭を押し付けてくるし、猫耳まで見せて撫でることを強要してくる。

だが、本人としては直接口にしないため、オランダが意図を汲み取って撫で回していた。


そして今日もまた、オランダは江戸の部屋でくつろいでいる。

「日本の本も面白いな。翻訳は難しいが、俺の知らないことばかり書いてある」

「そうだろう?西洋…特に、あの英吉利とかいうやつはわしらのことを見下してくるが、東洋だって負けておらん。ま、関わる気ははこれっぽちもないがな」

「ははっ、言うねえ。イギリスはショック受けてたんだぜ?まさかこの私が〜とかなんとか言って、俺に嫉妬してんだ」

「ざまぁない。クソ宗教を持ってきやがったあの二国はどうだ?今どうしてる」

「同じようなもんだよ。布教できなくて悔しがってる。お前の技術も得られないって、ギャーギャーと文句ばっかりだ」

オランダは本を読みながら、江戸は金平糖をちまちま一粒ずつ食べながら会話しており、距離感はかなり近づいていた。

「江戸、一個ちょーだい」

ふと、金平糖が食べたいと思い、オランダは江戸の方へ手を伸ばす。

だが、手に触れたのはもふもふした何かだ。

「…?」

よそ見をしていたから気が付かなかったが、もしや別の方向に手を?と思い、手を伸ばしたそちらへ向くオランダ。

なんとそこには、自ら撫でられに行っている江戸がいた。

「全く、本を読んでいる最中もわしを撫でたいとはな。お前、わしのこと好きだな! 」

むふー、と満足そうにしているところ悪いが、オランダはただ甘いものが食べたかっただけである。

というか、きちんと声をかけた上で手を伸べたのだ。

完全な江戸の勘違いなのだが、嬉しそうなので黙って撫でることに…




するわけがない。

「江戸、俺金平糖ちょーだいって思っただけだよ」

「…!?!?//////」

オランダは元来悪戯っ子気質なのだ。

「え、俺手を伸ばしただけだよ?撫でられると思っちゃった?撫でてあげようか。ほら、よーしよーし」

「な…な…/////」

「もう、江戸ってば本当に俺のこと好きなんだから〜」

優しく撫でた後、ちゅっと額にキスを落とす。

江戸はみるみるうちに顔を真っ赤にして、

「んにゃあああああ!!!!///////」

と叫んで逃げてしまった。

金平糖があたりに散らばり、残されたのはオランダ1人。

「ありゃ、逃げちゃった。からかいすぎたかな」

本に栞を挟んで机に置き、オランダは両の手を頰に当てがう。

「ちょっと、可愛すぎでしょ…///」

涼しかったはずの部屋が、やけに暑く感じた。

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コメント

11

ユーザー

江戸さあああああん!!!!!! いや、猫耳生えた江戸さんとかえろすぎて無理 絶対可愛い もうねキスは最高よもっとやっれそのまま押し倒せ

ユーザー

てん……し…? 猫耳生えてるの癖すぎますしドヤ顔してる江戸さんが音声付きで脳内に来ました、やばい脳みそ溶けちゃいます。正直カンヒュの中で江戸さんが最推しなので興奮が収まるところを知りません助けて下さいありがとうございます。絵文字使う余裕すら無いんですけど、にぱにぱしてる江戸さん可愛すぎますオランダさんとの身長差萌えです最高です。金平糖ちまちま食べてるの可愛すぎるよ!!!!!

ユーザー

誕生日イラスト描き終わった直後にこれはあかんて、、、尊い、わしも江戸撫でたい。 可愛い、蘭江戸が尊すぎて私のオキシトシンがぁあああああ!!!

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