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「そ、そうゆう話じゃなくて」と、ごにょごにょ返してる間にも体温が上がっていくのを感じた。
適温だと感じていたエアコンの風が暑く感じるくらいに。
頬をペチペチと触って、赤くなってるかもしれない顔を誤魔化していると。
思い出したように坪井が言った。
「あ、てか小野原さんのことは何とかなるし、何とかするから今は一旦終わらせていい?」
とりあえず引き伸ばしてどうなるものでもなし、真衣香が頷くと。
「ありがと。 ね、立花」
改めて名前を呼ばれた。
「はい」と、思わず姿勢を正す。
坪井は「俺、どうしても知りたいことがあってさ」と付け加え、真衣香の首にゆるりと腕を回した。
「何も連絡くれなかったの、どうしてかなーって」
「え?」
そのままコロコロと椅子ごと引かれ、坪井の両足の間に真衣香の膝が入り込み挟まれる形で身体を固定された。
「つ、坪井くん、また、ちか、近い……」
うろたえる真衣香を見据えて、わざとだよと言わんばかりに坪井は自らの唇を舐めながら笑った。
「な、俺すっげぇ気になってんだけど教えてくれる?」
優しい口調なのに、声なのに。
問い詰められているような気持ちになるのは、どうしてだろうか?
その疑問に頭を使う暇さえ与えてくれない、目の前の整った顔。
いっそ全てを染められてしまいそうなほどに、自由が奪われていく。
口をパクつかせるだけで声が返せないでいる真衣香に詰め寄るようにして坪井は言った。
待ったなしの空気で。
「俺連絡してって言ったよね? 何かあったらすぐに言ってって」
「それは……」と口ごもる真衣香との距離をさらに詰め、もう目の前。
吐息を感じる距離。
「それは? 何?」
真衣香の唇に、坪井が自らの耳を当てた。
サイドの髪が頰に触れてくすぐったい。
まるで坪井の耳にキスをしているかのような体勢。
真衣香の心臓は、おかしくなってしまいそうなほどにドクドクと脈を打っている。
「ほら、早く言って、立花」
低く、吐息まじりの声が真衣香の緊張で強張る身体を刺激した。
背中がビクビクと震えてる間に、坪井がやっと正面に向き直してくれたのでホッとしたのも束の間。
クイっと上を向かされて、真衣香は物理的にも気持ち的にも逃げ場を失った。