テラーノベル
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生徒会の重い扉を閉めて、誰もいない廊下を歩く。
窓から差し込む西日が、私の影を長く、長く伸ばしていた。
さっきまであんなに息苦しかったはずの校舎が、今はなんだか、ただの古い箱にしか見えない。
立ち止まって、スマホを開く。
画面に躍る、数字。
見ず知らずの誰かが、私の吐き出した泥のような感情に、そっと指先を触れてくれた証拠。
「……ふふっ」
曝け出した「恥」も、叩きつけた「怒り」も。
全部、この数字の中に溶けて、温かい光に変わっていく。
私を否定する奴らもいるけれど、それ以上に、私の色を「綺麗だ」と言ってくれる人がこんなにいる。
「……あーあ。最悪な一日だったはずなのに」
私は、紅鬱金(べにうこん)に染まる空を見上げた。
切なくて、痛くて、でもどこか優しい。
この、ぐちゃぐちゃで、色彩に溢れた不確かな場所。
「……私、このセカイが……ほんのちょっとだけ、好きになっちゃったかも」
涙が出そうなのを堪えて、私は一歩、また一歩と、明日の物語へとログインしていく。
消えそうな輪郭を、このセカイに繋ぎ止めに行くんだ。
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紅鬱金ってなに!?