テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
カイガ
1,432
#魔道具職人
こはる
135
コメント
1件
うわ、今回もすごかった……「♡♡♡にくる気じゃん」ってタイトル、まんまその通りの展開だったね。シュートの圧がヤバすぎて、半グレたちが完全に“狩られる側”になってるのがゾクゾクした。拳で顔面陥没させる描写、読んでて一瞬息止まったよ……。スキルなしでも強くなってるってのがまた怖い。でも「♡♡♡はしない」って線引きはちゃんとしてるのが、この作品の好きなとこ。次も読みたいです🥀
「な、何しやがった!?どういう手品を使いやがった!?景色が突然ガラッと変わりやがった……!」
半グレの一人が異空間を見回して戸惑いの声を上げる。ここがコンビニ前の場所であり、景色だけが突然変わったのだと思い込んでいる。
「何だぁ?こんな手品で、舎弟どもを惑わせた隙に全員ボコって勝ったってのか?確かに驚きはしたけど、そんなもんで俺らはビビりはしねぇぞ!なぁ!?」
「もちろんだ。とりあえず俺から行かせてもらうからな」
グループのリーダーであるぼさぼさ髪の顎鬚男の呼びかけに、ツーブロックの男は余裕そうに応じながらシュートを睨む。拳を鳴らして構えを取る彼は高校時代ではボクシングで県大会上位入賞した実績がある。素手だけの喧嘩なら彼がグループ内で一・二を争うレベルにある。素人相手はもちろん、格闘経験がある男との喧嘩でも負けたことがない。
(こんな奴、顔面に一発入れればすぐ決まる。まずは一発入れてふらつかせて、そっから全員でリンチして終わりだ……!)
ただし、その喧嘩の相手はどれも普通という枠内の人間に過ぎない。普通の人間が相手だったらこの男が今日も素手の喧嘩で勝ちを取っていたことだろう。
「オラ、ふらつきやがれぇええええ」
ブン―――(スキル“剛体”)ゴッ、グチャ……ッ
「ぇえええ……!?あ、あぐわあぁあああ!?」
鋼と同等の硬さとなったシュートの顔に拳を思い切りぶつけた結果、ツーブロック男が振るった拳が砕けてしまう。男は驚愕と激痛に対する苦悶が混じった表情で後ずさる。
「今の動き、ボクシングでもやってた?じゃあ俺もちょっとやってみようかな」
そう呟きながらシュートはツーブロック男の目の前でジャブを繰り出してみせる。
「~~~っ!?」
「どう?俺の拳、見えてた?」
シュートが質問してもツーブロック男は答える余裕すらなかった。彼の目はシュートの動き・拳を全く捉えられていなかった。
「所詮はアマチュアレベルのボクサーだったか。じゃあもういいよ」
ニィと笑いながらシュートは拳の照準をツーブロック男の顔に定める。
「ま、待っ―――(グシャ!)――でげ……っ」
ただのジャブの一撃だが、それでもツーブロック男は地面に倒れてノックダウンする。その有様を目にした半グレたちは戸惑ったり「何をやってる!?」と野次を飛ばしたりしている。
「ボクシングじゃなくて空手になるんだけど、空手の技でやってみたいのがあるんだよね―――《《顔面への下段突き》》ってやつ」
ジャブをくらって地面に仰向けに倒れたまま動けないでいるツーブロック男の顔に、再び拳の照準を定めるシュートの構えは、瓦を粉砕する時などに見られる下段突きを打つ姿勢となっている。
「試してみたいんだよね~、顔面に下段突きがモロに入ったら、顔がどうなっちゃうのか」
「ひ、ひっ……!?お、おい……止せ!シャレにならねぇ………っ」
格闘技経験があるツーブロック男は知識でだけなら分かっていた……一流レベルの空手家による下段突きは、殺人級に値する、と。目の前にいるシュートから同じレベルを予感したツーブロック男は顔を真っ青にして制止を呼び掛けるが、空しくも無視される。
「 せりゃ 」
ブン―――メキャッッッ
発声、次いで拳を振り落とす音。そして、肉をぐちゃりと穿つ音…。
その音は半グレたち全員の耳にも届いており、背筋が凍りつくような感覚を味わっていた。
彼らは知っていた、鈍器で人の頭を殴った時にどういう音が出るのかを。人を殴殺した瞬間に出る音がどういうものだったのかを。
ここにいる半グレたちが今し方耳にした音は、そんな聞いたことがある音とほとんど同じものだった。
「……………」
ぐぼっと引き抜いたシュート拳の先には、拳型に陥没して変形したツーブロック男の顔があった。鼻は潰れて、両目はめり込んで潰れかけており、地面には出所が不明の血が溜まりはじめている。体は小刻みに痙攣していた。
(((((死……!?!?)))))
その凄惨な光景を目にした半グレたちは皆、仲間の死を連想させた。
「へー?スキル使わずにやっても、こんなになるんだ?何気に強くなってるんだな俺って。えーと……取りあえず死んではないけど、これ以上痛めつけたら死んじゃいそうだから、こいつはもういいか」
スキル無しの自分の今の腕力を確認しながら、壊れたツーブロック男を半グレたちのところへ蹴飛ばす。陥没して変形した顔を見た彼らは、シュートがただのガキではないことをようやく察する。
「素手の喧嘩なら負け無しだったタクが……こんな………っ」
「何だよこれ、人間業じゃねぇ……っ」
「あのガキ、マジでやべーんじゃねぇか!?」
半グレを名乗る大の男たちが次々とうろたえていくのを、ぼさぼさ髪顎鬚のリーダーが皆に喝を入れる。
「ビビり過ぎだ!確かに素手だとヤバいガキだが、凶器を使えばどうってことないはずだ!あいつを囲って、ぶっ刺して終わらせるぞ!人目はついてねぇから遠慮は要らねぇ、殺しちまうぞ!」
リーダーの言葉で恐怖が解けた半グレたちは皆、様々な種類のナイフ・刃物を取り出して武装する。
(へぇ?以前の不良高校生どもと違って、こいつらマジで俺のこと殺しにくる気じゃん)
異世界の盗賊たちと同じくらいの殺気を感じたシュートは意外に思いつつ感心もしていた。現代の日本でこんなにも分かりやすく殺しにかかる人間がいるということに。
「そういうことならお前らも殺される覚悟があるってことで、良いんだよな―――」
シュートはここでスキル「威嚇」を発動する。直後半グレたちはシュートから放たれるプレッシャーに圧し潰されるような感覚を味わって、次々と怯んでいく。
(ほ、本当に何なんだこのガキは……!?)
リーダーですらもシュートの得体の知れない存在感・力・狂気に萎縮していた。
「囲ってぶっ刺して殺すとか言ってなかったっけ?いつまで全員同じところで固まってんだよ?馬鹿なの?」
シュートが近づきながら煽り、半グレたちはそれに切れた様子で体を無理矢理動かしてシュートに襲い掛かろうとする。
ガッ 「ぐぅお……!?」
シュートは一人の半グレの首根っこを後ろから掴んで持ち上げる。男は苦しそうにじたばたと藻掻く。
「おい、手に持っている刃物、しっかり握っとけよ」
一言そう言ってから、シュートは男を近くにいたスキンヘッドの男へ思い切りぶん投げた。
「う、うわあああああ――――」
「お、おい馬鹿!?それ早く捨て――――」
グサ……ッ
二人が激突した音と、鋭利な物が肉を刺す音が響く。スキンヘッド男の腹部には、投げ飛ばされた男が手にしていた刃物が深く刺さっていた。
「あ……あ”………ッ」
「う、あああああ!?す、すまねぇ!?」
血を吐いて倒れるスキンヘッド男に、誤って刺してしまった男は激しく動揺してしまう。
「あーあ、結構深めに刺さってねーか?お前仲間を刺し殺したとかで逮捕されそうだな」
「~~~!?ふざ、けるな……お前が投げたせいだろうがぁ!?」
男は半ば錯乱した様子で怒鳴り返す。他の半グレたちは今の同士討ちを見たことで、刃物を使った突撃を躊躇ってしまう。
半グレたちの力量・程度を把握したシュートは待ちの態勢に飽きて、自分から一方的に潰す方針に変える。
「あーもう飽きた。こっからは俺の、お前らへの制裁だけにしてやるから。一応殺しはしないけど、今回はお前ら殺す気で俺につっかかってきたし、何よりも、俺に散々暴言吐いて侮辱しやがったことの、報いを受けてもらうから――」
それから、半グレグループ全員が地獄を味わう時間が訪れる。