テラーノベル
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いつもの騒がしくて楽しい楽屋で俺がちらり、と目をやると鏡越しに、ふっかが笑ってる。
何気ない会話の中で、いつもみたいに誰かをいじって、みんなが笑う。
その中心に、ふっかがいる。
そしてその隣に、気づけば自分もいる。
当たり前の毎日。
けどそのことがとっても幸せで。
「さく、今日テンション高くね?」
「え、そう?いつもどおりでしょ〜!」
そう返しながら、笑う。
本当は、テンションなんかじゃなくて、ただふっかが隣にいるから。
それだけで、少しだけ世界が明るく見える。
何気ない日常がキラキラして見える。
ステージに立つとき、照明が強すぎて顔が見えない時もある。
その眩しさに圧倒されそうな時も。
でも、ふっかの声だけは、すぐにわかる。
「さく、次こっち!」
ほんの一言で、心臓が跳ねる。
――ああ、やっぱり好きなんだ。
いつからだった?
どこからだった?
たくさんのドキドキと胸の高鳴りを覚えてカッコいいとこっそり見るようになって、夢にまで出てきちゃうようになって。
え、好き?
まさか。
けどやっぱり?
これは···恋、だよなぁ···?
勘違い?
けど今日もカッコいい。
何度も気づいて、何度も誤魔化して。
メンバーだから。仲間だから。
だからこそ、越えちゃいけない線を知ってる。
ライブが終わって、楽屋に戻る。
汗だくのまま、ふっかが笑って言う。
「さく、今日さ、めっちゃ楽しそうだったな」
「うん!楽しかったよ!」
その笑顔を見ながら、胸の奥がきゅっと痛む。
“楽しかった”のは、みんなとじゃなくて――
ふっかがいたからだ。
でも、それは言えない。
言ったら、何かが壊れそうだから。
キラキラした世界がそんなもの無かったんだよって真っ暗になりそうだから。
「ふっかってさ」
「ん?」
「…なんでもない」
「なんだよ〜気になるじゃん」
「いや、ほんとになんでもない!」
笑いながらごまかす。
きっとこの“なんでもない”の中に、
言えない気持ちが全部詰まってる。
――それでもいい。
隣にいられるなら、それでいい。
独り占め出来なくても、例えもし、ふっかに好きな人が出来ても···隣に居られるだけで、きっと俺は幸せだから。
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