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Chapter30.暴走・・・?


「……侵入者、再確認。 排除、継続。」

うるみやが一歩前に出る。

「しゃるろ。 君の剣は、僕が教えたものだ。 なら、僕が止める。」

しゃるろの剣が、 ピタリと止まる。

「……うるみや……?」

一方、みつきは、 鎖に繋がれたまま、 低く唸っていた。

「……ミナ…… 近づくな……オレ…… もう、わかんねぇ……!」

目は赤く染まり、 牙が剥き出し。 でも、 その声には、まだ“自我”の響きがあった。


ナは、 ゆっくりとみつきに近づく。

「みつきくん。 僕だよ。ミナだよ。」

みつきの鎖が軋む。

「……ミナ…… オレ……止められねぇ……!」

「うん、知ってる。 だから——」

ミナは、 拳を握りしめて、 一歩踏み出す。

「ごめん、ちょっとだけ痛いよ。」

ミナの拳が、 みつきの頬を打つ。

——バシンッ!!

鎖が揺れ、 みつきの頭がぐらりと揺れる。

「……っ……ぐ……」

「戻ってきて、みつきくん。 君は、そんなところで終わる人じゃない。」


みつきの赤い目が、 ゆっくりと色を取り戻していく。

「……ミナ……? オレ……何して……」

ミナは、 にっこり笑って手を差し出す。

「おかえり。 みつきくん。」





背後では、 うるみやがしゃるろの剣を受け止めていた。

「……もういい。 君は、誰かの影じゃない。 君は“しゃるろ”だ。」

しゃるろの剣が震え、 その目に、 かすかな涙が浮かぶ。

「……うる……みや……?」


ミナたちが合流し、 次の気配を探していたそのとき——

「み、ミナーーー!! 動物が!動物が暴れてるーーー!!」

ミナが顔を上げる。

「……初兎くんだね。」

ないこが剣を構えながら言う。

「あれ、動物ってレベルじゃねぇぞ!? なんかもう、って感じのオーラ出てたぞ!?」


ミナたちが駆けつけた先にいたのは、 玉座のような岩に座る、初兎。

その目は真紅に染まり、 口元には笑み。 だが、それは彼のものではなかった。

「……来たね、ミナ。 ずっと待ってたよ。」

「……君は、初兎くんじゃない。 その中にいる彼を、返してもらうよ。」


「彼はもういないよ。 彼の“心”は、僕のものだ。 ずっと、誰かに認められたくて、 必死だったんだ。 だから、僕が与えてあげたんだよ。 “王”としての力を。」

初兎が立ち上がる。

その背後に、 巨大な黒兎の影が現れる。

「……そうか。 じゃあ、逆らわないとね。」

セラが震えながら言う。

「ミナ……本当にやるの……?」

「うん。初兎くんが“心まで奪われた”なら、 僕が取り返すしかない。」

ないこが剣を構える。

「じゃあ、オレは援護する。 でも、トドメはお前がやれよ。 あいつ、ミナのこと……」

ミナは静かに頷く。

初兎が、 黒いオーラをまといながら突進してくる。

その動きは、 かつての彼の俊敏さを遥かに超えていた。

ミナは剣で受け止めるが、 衝撃で吹き飛ばされる。

「みんな、援護して! 僕が近づいて、 “光”を直接届ける!」

セラが結界を張り、 ないこが突進を止める。

うるみやが、 冷静に動きを読み、隙を作る。 初兎の胸に手を当てる。

「……初兎くん。 君は、そんな風に笑う人じゃない。 君の“本当の声”を、 僕は知ってる。」

白金色の光が、 初兎の胸に流れ込む。

ミナは、 初兎の心の中に入り込む。

そこには、 誰もいない王座に、 ひとりで座る初兎がいた。

「……ここが、 一番楽だったんだ。 誰にも否定されないし、 誰にも期待されない。」

君は“ひとりで笑う”人じゃない。 僕たちと一緒に、 笑ってよ。」

現実の初兎の身体から、 黒いオーラが抜けていく。

彼の目が、 ゆっくりと元の色に戻る。

「……ミナ……? オレ……また、やっちゃった……?」

「ううん。 よく戻ってきてくれたね、初兎くん。」

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