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#溺愛
桜咲かな
174
18
#先生
なべたろう
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#7..不安
あの騒動から一夜明けた午前9時
まだ誰もいない静かな教室で居眠り
「はあぁぁ…、」
「なんであんな問い詰めちゃったんだろ…」
昨日のことで一人頭を抱える
机に突っ伏し、反省会
今日の夜なんて話を繰り出そうか悩みどころだ
ただ、何か事情があるかもしれないと、朝になって冷静に考えた
きちんと蒼音の話を聞かなくてはいけないと思いながらも、感情が先に進んでしまわないか心配だ
続々と生徒が教室に入ってきて、騒がしくなる中
私の周りだけが静かに時を刻んだ
早帰りの月曜日
夕日が背中へと差しかかり、暖かい
まるで背中を押してくれているかのように、私を後押しする
そんな光に連れられて家へと帰宅
父がいる今日はご飯が早く、いい匂いが部屋中を漂う
{あ、お姉ちゃんおかえり}
「ただいまぁぁ、」
と、秋に抱きつく
{ちょっ、なに}
少し引き気味で言ってくる
「嫌そうにしないで~、」
今日の妹も通常運転だ
いつもと変わらない現実に少し安堵する
ブーと、スマホが振動
〔昨日はごめんなさい〕
始まった
ここからは冷静になれるように、慎重に話さなければいけないと思う
だが、私はそんなに簡単な奴じゃなかった
【謝らないで、悪いことしてないじゃん】
【私はただ嘘をつれたことが悲しかっただけ】
〔でも、結局俺が悪いじゃん、〕
また自己否定して、自分を下げて
違うって言ってるのに
【違うってば、】
【話聞いてよ】
少し強く言い過ぎたかもしれない
ちゃんと向き合うって決めたのに
よくわからない感情が入り混じって、本音が表に出せない
言いたいことも、伝えたいことも考えていたはずなのに
言葉にならない
言葉に出せない
書いては消しての繰り返し
この気持ちをなんて言えばいいのか、なんと言えば伝わるのか、わからないから
【だから、今回のことあんまり重く考えないで?】
【私は大丈夫だから】
大丈夫
最強の言葉だと思う
そして自分を隠すための防御の言葉でもある
今はただこの言葉に身を委ねてしまいたい
〔ほんとに、?〕
あーもう、ほっといて
口から出そうになった言葉を飲み込む
今だけは、信じてよ
この嘘の言葉を
#8..音
あの日から、私たちの距離は少しだけ開いてしまった
端から見たら何も変わらないように見えるんだろう
だが確かに変わっていた
見えない壁が薄く薄く、私たちの間を隔てるように立っている
この壁がこれから大きな亀裂を生むことになるとは知らずに佇んでいる
気がつけば駅についた電車は、ホームのアナウンスだけが聞こえるような静かな空間になっていた
足早に駅を出て、学校へ向かう
耳から流れてくる音楽はどれもネガティブな曲ばかり
いつからこんなセレクトになってしまったんだろう
毎日毎日この日々の繰り返し
既にうんざりしている
6階までの長い階段を息切れしながら登り、教室の扉を開ける
学校に着いてからは、何もすることがないのでただぼーっと時間がすぎるのを待つだけ
デジタル漫画を読んでみたり、お気に入りのアプリの別垢で会話をしたりした
特に、別垢は私の素が出せている気がして気が楽だった
現実では明るく振る舞ってはいるが、本当は全て嘘
声のトーンは低く、塩対応
これが素だ
だからなのか、ネットの中だけでは真逆の性格で貫き通せた
だがやはり演技というものは疲れてしまう
だから、たまに別垢で素を曝け出していた
よく蒼音に言われる言葉
“無自覚たらし”
本当にそうだ
私は無自覚だ
なにせ素で話しているのだから
人たらしなどと言われることをしていることすらわからない
素で話して何が悪い
そう思ってはいるのだが、どうしても明るく気丈に振る舞ってしまうのが私の嫌なところである
そうこうしている内に、最後の授業が終わった
やはり一日は早い
もう15時半を過ぎ、電車が発車する
なんともない一日
されど刺激的な一日
矛盾が入り混じる中、1人帰りの静かな電車内で怒りが込み上がる
アプリの蒼音の名前が変わっていた
私にも付けてくれた、お揃いの名前が
少し前にお揃いの名前を選んでくれて嬉しいと、2人で言い合った名前が
怒りは一瞬、悲しみのほうが強かった
もう気にしないと思っていたのに、これでは気にしてくれと言っているようなものだ
もうあの頃のことなど覚えていないのだろうか
そんな嫌な考えが頭を過った
ふと、目を瞑った
真っ黒な世界には明かりなどなく、ただ虚しいだけの世界が広がっていた
冷静になって、蒼音ではなくなった君に話しかける
会話文は覚えていない
それほど悲しかったのかもしれない
今ではどうってことはないが、あの頃の私には衝撃が強かったのかもしれない
その後からだった
私が転生をして、喧嘩が勃発するようになったのは
次回➸#9
コメント
23件
やばい 、謝罪の言葉がでそう
もうね、読んでて胸がぎゅーってなったよ…💦 「大丈夫」って言葉が自分を守るための嘘になってるの、すごくリアルで切なかった…。 それに、お揃いの名前を変えられちゃったシーン、あれは本当に悲しいよね…。 主人公の「無自覚たらし」って自分を分析してるところも、なんか妙に納得しちゃった。 次でどうなるのか、気になって仕方ないよ〜!次回も楽しみにしてるね🌸