「エリナ様! 大変です!」
「…何?」
「実は、先程、任務を遂行中に、ある村を発見しまして……」
「それがどうか?」
「はい。その村なのですが、どう見ても人が住んでいないような場所でして……」
「つまり…」
「はい。恐らくは廃村だろうと思います」
「後は?」
「いえ。それだけなら問題はなかったのですが、その村に見慣れない服を着た少女が居て……」
「少女?」
「はい。年齢は10歳前後だと思うのですが、とても綺麗な子で……髪も銀色でサラサラしていて綺麗でしたし……」
「どうやら記憶喪失のようでして……」
「記憶喪失?」
「はい。自分の名前とか家族のこととか何も覚えていないようでして……」
「かなり深刻ですね…」
「はい。なので、私はその少女を保護しようと思いまして」
「待って。得体の知れない人間、記憶喪失なら尚更危険では?」
「しかし、このまま放っておくわけにも行きませんし……それに見たところ害はないと思いますよ?」
「…分かりました。その少女が安全であることが確認されてから、ここまで連れてきて下さい」
「ありがとうございます!」
〜数日後〜
「失礼します」
「どうしました?」
「あの……例の少女なのですが……」
「実は、その村に行ってきたのですが、そこに居たはずの少女の姿は無くなっていて……」
「…どういうこと?」
「はい。近隣の方に聞いても、誰も見た人はいないと……」
「少女はどこへ?」
「それが分からないのです」
「……承知しました。引き続き調査を頼みます」
「はっ!」
「にしても、あの少女はなんなのだろう…?」
そんな独り言を呟き、今日の出来事を報告書に記した。