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8月4日
アイスクリームが30秒も固体を保てないであろう暑さの中、耳の聞こえない少年は空を見上げていた。母が作ってくれる好物のカレーライスが脳裏に浮かぶ。音を知らない少年にとって視覚と味覚は世界そのものだった。やがて空が暗くなり少年は帰宅を始めた。そこで1人の男とすれ違った。ザッという音が聞こえ振り返ると、耳のない男は既に離れた場所にいた。その日の夕飯はカレーライスだった。少年は特に喜びはしなかった。