テラーノベル
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付け焼き刃ではあるが妖精族のみんなに剣と弓の扱いを教えて三日ほど経った。未だに奴隷商人と思わしき奴が現れる気配はない。俺達が誤情報を流してしまったかもしれないと焦っていたが、ルナベルはそんなことは無いと力強く否定し敵に備えていた。
マリンちゃんはアリサにミクナ、エメルにラルドと仲良くなって遊んでいるみたいだ。エメルに関してはかなり大人びた考えを持ってる人物だとこの三日で感じたがやはりまだ子供なんだと遊ぶ姿を見てそう思う。
俺は大妖精様のところで例の魔法について色々話を聞いていた。使いどころが難しすぎて正直これを使う場面が想像つかないし何よりこれ使う時点でほぼほぼ詰みの状況下に追いやられているっていうわけだから、授けてもらっといてアレだけど恐らくきっとこれは使うことはないですねなんて話していたりした。
そんな話をしてまた今日も終わるのかなとか思っていた矢先外で遊んでいたエメルの元に一羽の小鳥が飛んできて彼女の肩で羽を休める。はたかれ見ればそういう光景だが彼女本人からすればそんなメルヘンな話ではない。楽しそうな顔から一変深刻そうな顔をして近くにいたエメルやアリサにも声をかける。その後エメルがすぐに大妖精の元に行き事情を説明。里全体にラルドが得た情報が共有された。『奴隷商人の手の者と思われる人物が森を侵攻中』と。
それを聞いた里の住民はすぐに動き出し各々が決められた定位置にと急ぐ。ルナベルは里内で総指揮官としての役割を担いラルドは森の動物と協力し情報を集める諜報員のような役に付く。エメルは先陣に行き付け焼刃で教えた武器の使い方を実践を交えた形で教えつつ戦闘をこなす兵士兼部隊長としての役割を持つ。俺とマリンは遊撃隊として森の中を移動しラルドから得た情報を元にマリンの罠魔法で一人ずつ確実に仕留めていく。その取りこぼした分を俺がサポートして弓で射貫く。そういう形で妖精の里防衛戦が突然始まったのだ。
妖精の住む森~北~
「たくさん人が来てる!それにこの人たち大妖精様が森全体に掛けていた幻覚魔法が効いてないみたい…。まっすぐ確実に里の方角に進行してきてるみたい。」
近況報告を魔法を使い全体に連絡するラルド。それにいち早く反応したのはルナベルだった。
「恐らく相手に魔法を打ち消すことができる魔法を唱えてるものがいるはず。仮にそういった人物がいなくても何かしら武器とは違う道具を持ってる人がいたら教えて。その人が魔法を打ち消す魔法『アンチ魔法』を使ってる人物だから。」
「わかりました!」
「くれぐれも無茶はしちゃだめよ。あなたのその力は唯一無二のものだからあなたがやられたら里のみんなもやられると思ってちょうだい。責任が重くのしかかるけど……。」
「大丈夫です!私も里を守りたいっていう気持ちは一緒なのでこれくらいどうってことないです!」
「そう…。何かあればミナルやマリンちゃんを呼んで。彼らが一番自由に動ける部隊だから。」
「わかりました!」
そういい全体連絡用の回線を切り再び辺りの状況把握に専念する。
「人数を見た感じそこまで多くはないけどそれでも里を落とすには十分な戦力はあると素人の私から見てもわかるくらいには人がいる気がする。それに……。」
そう言いかけ空を飛ぶ鳥と意識をリンクさせ鳥の視点で森を眺める。
「明らかに人間以外の種族も混ざっている。ルナベルさんの話だと外ではギルドがあり数多の種族がそこに属していると聞いてたからもしかするとこの侵攻にも混ざっている可能性があるって聞いてたけどそれでも人間以外の人たちはみんなどこか悲しいような表情をしてる。この人たちはいったい……。」
妖精の住む森~南~
「侵攻してくる方角が全方位からだと!?それほどの数をどうやって奴隷商人というやつは用意できたんだ!?」
「わからないけど、外の世界ではあんたら妖精族はかなり希少価値が高い存在だからそういう奴隷商人の目的と合致した人間が手を組んでいてもおかしくない。」
「付け焼刃の武器じゃあさすがに全員をやることは出来ねぇぞ?」
「恐らくこちらの魔法も使えなくなってるか時期に使えなくなるでしょうね。」
「そうなると言いたくはないが里が陥落するのも時間の問題か。」
「ただ可能性として『アンチ魔法』というものはかなり高等な技術だからそれが使える人物が戦場のしかも前線に出てるとは思えない。」
「ということはどっかにそいつらが隠れてる可能性があるわけだな?」
「もしくは術師ではなく魔道具として持ち込まれている可能性もある。なんにせよ森全体にその効果を巡らせるということは数も必要なはずだ。全方角からくるとすると最低でも四人はそういう人物がいると思う。」
「どっちみちそれをどうにかしないとこちらに勝機はないってことか。」
「一応場所さえわかればマリンちゃんやミナルに行かせるつもりだから。」
「距離が開きすぎてる。南側は私が行こう。ラルドに今の情報を伝えてアンチ魔法を使ってるやつを探させて。」
「わかった。」
妖精族は魔法が一番の武器だけどそれを封じてくるとは……。確かにそうやって聞いてはいたけどいざ直面するといかに私が魔法に頼って生きてきたのかと痛感するわ……。
妖精の住む森~東~
「こっちも人がいっぱいいるね!」
「なんかなぁ……。そうまでして妖精族を手に入れようとする理由が俺にはわっかんねぇんだよなぁ。」
「奴隷っていうこと自体よくないことだしそのためにこうやって侵略行為するのも結構なことだよね!」
「妖精族の力が欲しいなら普通に交渉して妖精族の鎖国を解除してしまえばそれでいいのにな?」
「奴隷っていう商売はそういうところで見てないんだよ。名前の通りひどい扱いをしてもいいそういうことをしたい人たちが欲しがるから健全な方法以外で手に入れたくなるんだと思うの。」
「まぁ…そうじゃなきゃこんなくそみたいな商売が世の中に蔓延るわけないもんな。悲しいけど需要と供給が一定数存在するっていうことだし……。」
「そういうのを減らすために私らが頑張らなくちゃ!せめてこの里だけでも守らないと!!」
「だな!」
とはいっても俺何もできないから結局マリンちゃんの罠魔法だよりになるんだけどねぇ……。不甲斐ないねぇ俺。
その時全体連絡でラルドの声が聞こえる
「皆さんに伝達です!相手がアンチ魔法を唱え始めました!ルナベルさんの予想では書く方角に一人ずつその術師がいるかアンチ魔法を使える道具を持ってる人物がいるかもしれないとのことです!現在それらしき人物の影を発見できたのは森の東側で一名フードを被りなにか光る石を持っていました!近くにいる方は至急その人物の対処に当たってください!」
一通り伝え終えると通信魔法は途絶えてしまった。
「魔法が使えなくる、か。」
「確かに少し魔法が唱えにくくなってる感じはあるよ。」
「これはまずいな……。」
「一応罠魔法は設置してしまえば唱えるわけではないのでアンチ魔法の対象外になるみたい。大妖精様がそうやって教えてくれたの!」
「それじゃあ今のうちに罠を張り巡らせてその術師の元に向かうぞ。東側は今俺らがいるところだからな!」
「うん!すぐに向かう!!」
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