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―――ここは、どこだろう? 暗闇に包まれた視界。
光はなく、ただ深い闇が広がっている。
そこに自分が存在していること以外、自分がどのような状況に置かれているのかを知る術はない。
自分の身体を確認することもできないほどの濃密な闇の中、ふと声が聞こえてきた。
それは男の声だった。
『―――では、まずお前の願いを教えてくれ』
願う? 何を言っているのだ? そもそも私は一体………………いつの間にここにいた?……なぜこんなところにいる? ここはどこなんだ? あれは何だ? どうしてあんなところに扉なんかあるんだ? あの奥では何が行われている?……どうなっているんだ? 誰も答えてくれないじゃないか! ああ、まただ……
また始まったよ……
あいつらはいつもそうだ……
自分だけのためにつくられた場所なら、 こんなにも空っぽじゃないはずだ……。
この鳥籠の中には、 何か大切なモノがあったんじゃないだろうか。
誰も訪れることがなく、 誰にも知られることなく、朽ち果ててしまった……。
それでも、ここにはまだ残っているものがある。
それは、この結晶に残る微かな想いか……。
はっとするほど鮮やかな色彩を帯びた記憶の断片。
だが、そこから先は、もはや読めなかった。
そもそも、ここにあるものが真実だとすれば、 それはもう終わってしまったことなのだ。……結局、私は、何もわからなかったのだな。
だが、それでもいいと思う。
所詮、ただの夢物語に過ぎないのだから。……それにしても、 ここにあったはずのものは、どこに行ってしまったんだろうか。……そうだな。あれだけのものが、 こんな簡単になくなってしまうとは思えないし……。
誰かが持っていったと考える方が自然かな。
あるいは、すでに消されてしまったか。……わからないけどね。
しかし、ここまで来ておいてなんだが、 正直あまり期待していなかったんだよ。
これに関しては、特に根拠はないんだけどさ。
本当に、なんとなく……
そういう予感があっただけで。
でも、だからこそ逆に安心してもいた。
これでよかったんじゃないかって思うよ。
やっぱり、こういうのはよくないもんな。……うん。このあたりにしておこうかな……。
これ以上覗いても、どうせ無駄だしね……