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ふと、サロンの壁にかけられた大きな鏡が目に入った。
豪華な宝石を纏わされ、国王の腕の中で顔を真っ赤に染めている私。
その背後で、勝利した獣のような瞳で私を食い入るように見つめるフィンセント。
夜更けの密やかな衣擦れの音と、静寂を破る接吻の水音。
フィンセントの唇が私の首筋を執拗に這うたび、背筋を電流のような感覚が駆け抜けていく。
「っ……フィンセント、待っ……」
「もう充分待ったよ。もっともっと、君の中に僕を刻み込まないと」
そのとき
遠くでフィンセントを呼ぶメイドの声が聞こえた気がした。
しかし、彼は顔を上げることもなく、氷のように冷たい声で、扉越しに告げた。
「すまないけど、今は妻と取り込み中なんだ。……後にしてくれるかい?」
「し、失礼しましたっ!」
慌てて踵を返すメイドの足音。
邪魔者が去った途端、再び激しい口付けによって、私の意識は強引に奪われる。
「……邪魔が入るのはこれで終わりだよ」
その言葉と同時だった。
唇に覆いかぶさる圧倒的な熱。
啄むような優しい愛撫は一瞬で姿を消し、舌先が私の歯列を力任せに割って侵入してきた。
「っ……んん……ッ!?」
抵抗しようと伸ばした手は、すぐに頭の後ろに添えられた大きな手によって封じられる。
フィンセントの舌が、私の舌を根元から絡めとり、吸い上げるように弄ぶ。
粘膜と粘膜が直接触れ合う、あまりにも生々しい感触。
喉の奥まで突き込まれるような感覚に、全身の毛が逆立つ。
(こんなの……知らない…っ)
荒々しく求める彼の熱に、抗う力さえ奪われていく。
呼吸すらままならないほど深く、執拗な口づけ。
フィンセントの左手が、背中から腰
そしてその先へと滑り落ちていくのが分かった。
服の上からでもはっきりと伝わる、獲物を品定めするような指先の動き。
「んん……ッ……はぁ……っ!」
苦しいのに、身体の奥底から甘い痺れが湧き上がってくる。
視界が涙で滲み、意識が揺れる。
ようやく解放された時には、私はひどい酸欠状態で
彼の腕の中でがっくりと項垂れていた。
フィンセントは、濡れた自分の唇をゆっくりと親指で拭いながら、妖艶に微笑む。
「……やっぱり可愛いね、セシリー。もっと、聴かせて?」
彼の琥珀色の瞳が、隠しようのない情欲に濡れている。
それに気づいた瞬間、背筋に冷たい戦慄が走った。
「だ、ダメ…!もう、これ以上は……っ」