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「なんで生きてんだよっ!」
あの日から少し検査のために入院していた俺だが
隣の部屋からこんな声が聞こえてきて
慌てて向かうと命の恩人が家族に囲われていた
ごめんね
許してなんかくれなくていいから
そんな言葉に彼女は怖いのかそれとも怒っているのか震えていた
その姿が今にも消えちゃいそうで
助けたい
って思った
沈黙を破ったのは他でもない彼女だった
「結局……くせに…」
他の人には聞こえなかったのか
首をかしげている
俺には聞こえた
あぁ俺が助けなきゃ
なんでかわからないけどそう思えた
「ついてきて」
手をさしだすとためらいながらも手を握ってくれた
16日目・1月14日
命の恩人が目を覚ました
ごめんね
と謝る家族に彼女は
「結局私が死にかけないと私なんか見てくれなかったくせに…」
と小さな声で言ったのだ
どうしても助けたい
こんな感情は初めてだった
その後病院の人気の少ないところに二人で行った
なんて自分は愚かだったのだろうか
君の思いを知るまでそんなこと知らなかった
誰も見てくれない苦しみ
信じていた人から裏切られる苦しみ
誰からも必要とされない苦しみ
それでも生きないといけない苦しみ
死ねない苦しみ
その人の苦しみを知りもしないで
生を手放すぐらいなら俺にくれ
とよく言えたものだ
昔の自分をぶん殴りたくなった
それから俺のことも話した
すると少し距離が縮まった、ような気がした