元貴side
あれから僕は教室に戻り、普通に授業を受けた。
若井とはあれからまだ一回も話していない。
話したいけどなかなか勇気が出ない。
そのまま一日が過ぎようとしていた帰りの時間。
僕はいつも一人で帰るか、涼ちゃんと帰るか
だった。でも今日は涼ちゃんは生徒会の仕事が
あるので、一緒に帰ることができない。
一人で帰るか…
そう思って僕はカバンを肩にかける。
すると若井が僕に話しかけてきた。
滉斗『元貴帰っちゃう?』
元貴『え…うん…』
僕がそう言うと若井は僕に大きく手を
振りながら笑った。
滉斗『じゃあね!』
元貴『またね〜』
僕も若井に小さく手を振りながら言った。
一緒に帰りたかった気持ちもあるけれど、
若井には友達がたくさんいるから
しょうがないかと思いながら廊下を歩く。
僕が一人で廊下を歩いている時、
後ろから走ってくる音が聞こえた。
滉斗『わ!』
元貴『ぅがっ…』
若井が良い勢いで僕の肩にしがみついて、
若干転びそうになるが膝を曲げただけですんだ。
滉斗『今一人?』
元貴『うん…』
滉斗『一緒に帰ろ!』
にこっと笑いながら誘ってくれて、
心の底から込み上げてくるものがあった。
思わず笑みが溢れる。
滉斗『んはっ笑 顔がぱぁってなってるよ笑』
元貴『顔に出てた?!///』
僕が驚いた様に目を丸くしながら言うと、
若井はにかっと笑いながら言った。
滉斗『かわいっ笑 行こ!笑』
そう言って若井は僕の手を取って歩いた。
若井にいきなり手を握られて思わず笑みが
溢れ、ドキドキしてしまう。
滉斗『っ…!///』
一瞬若井がこっちを向いた気がして、
僕はハッと若井の方を向く。
目の前には耳を赤く染めた若井の背中があった。
元貴『…滉斗、///』
僕は小さな声で若井の名前を呼んだ。
若井の顔が見たい、若井の声が聞きたい、
滉斗『今、滉斗って…///』
元貴『っ…岩井、///』
滉斗『誰が岩井だ…///』
恥ずかしさと照れてるのを隠すために、
わざと若井じゃなくて岩井と呼ぶ。
繋いだ若井の手は温かくて、心地が良かった。
僕は若井の隣を歩きながらふと横を見る。
若井はいつも僕と一緒に帰る時に、
僕の家まで送ってくれる。
若井の家はどこなのだろうか…
遠かったら申し訳ない。
元貴『若井って家どこ?』
滉斗『ん?元貴の家から2分ぐらいで着くよ』
結構距離が近いことに嬉しさが溢れる。
元貴『あっ…若井、』
滉斗『どした?』
元貴『連絡先…交換したい、です、//』
たかが同性の友達と連絡先を交換する
だけなのに、緊張して声が震えてしまう。
滉斗『いいよ』
元貴『ありがと…///』
僕は若井と連絡先を交換し、いつでも
連絡が取り合える状況にまで進んだ。
これは良い収穫なのではっ…?
若井と連絡先を交換できた事についつい
笑みが溢れる。その様子を見て若井は
にこっと笑いながら言った。
滉斗『家着いたよ笑』
元貴『あっほんとだ…』
明日まで若井と話せない事に少し寂しさが
芽生える。別に話したい訳じゃないし…
ただなんか分かんないけど寂しいだけだから。
僕が寂しそうに下を向くと、
若井が僕の頭を撫でながら言った。
滉斗『今日電話していいよ笑
てかいつでも電車してきていいよ笑』
元貴『えっ…いいの、?///』
滉斗『うん いいよ笑
んじゃっ また後でね!』
そう言って若井は僕に手を振ってから
僕に背を向けて歩いて行った。
やばい…電話する口実ができちゃった…!
僕は早足で家に入った。
コメント
7件
待って最後の方にある若井さんのセリフが電車になってる…😭笑 ごめんなさい!電話です!笑
もぉ何だこれ尊すぎるだろ 誰かちょっとシェフ呼んできて〜〜!!
結論︙二人とも可愛い 元貴 いつもどうり可愛い 滉斗 ツンデレ可愛い