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その夜。ベッドに入っても、心はざわざわと波立っていた。
誠也の喉に残る傷跡。
私の中にぼんやりと浮かんだ、あの“最期の光景”。
眠気に引き込まれながら、ふと気づく。
まるで夢じゃないような“夢”が始まっていた。
海辺。
白い波が静かに寄せては返す。
夕焼けに染まった空の下、二人で立っていた。
私は泣いていた。
必死に何かを伝えようとしていた。
「ねぇ……やめて。行かないで……!1人で全部抱えないで……」
その声を、あの人……
“瑛士”が聞いていた。
血のにじむ喉を押さえながら、それでも笑っていた。
『大丈夫や、光……来世でまた会える。せやから……』
『……だから、約束しよな。次に会えたら、絶対に幸せになろな』
その言葉を、確かに聞いた。
そこで目が覚めた。
涙が頬を濡らしていた。
全て思い出した、“瑛士”は仕事であったパワハラから逃れる為に自ら自分の首を刺したんだ
隣を見ると、誠也くんも同じように目を開けていた。
『見たんやろ、夢……。』
誠也くんはそう言って、私の手をそっと取った。
『俺も見た。同じ場所で、同じ言葉を交わした、あの最後の夕焼けを。』
運命って、本当にあるのかもしれない。
過去に果たせなかった約束を、今世で叶えるために……
私たちは再び出会った。
『なあ。今度こそ、守らせて。俺はもう、逃げへん。』
「私も、離れないよ。何があっても、最後まで一緒にいる」
二人で小さく、指切りをした。
過去に交わした約束が、今……現実になっていく。