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【出会い】
私はドイツの西ぐらいの小さな街で産まれた。
お父さんはいない。産まれる前に亡くなった。だからまともな身寄りがいないお母さんは女手一つで私と妹のアリスを育てた。
私はお母さんが大好きだったし、とても優しいお母さんだった。
アリスは我儘を言わない子でとっても無邪気で可愛い子だった。
裕福ではないけれど私とアリスが暮らすには困らないくらいのお金はあったし、お母さんは一生懸命働いてくれた。
だから私達の生活に不自由はなかったし、幸せだった。
そう。この、『3人』だった頃の生活は幸せだったんだ
「きゃっ…」
小さくカットされたオレンジがフォークからすり抜ける。ポトンとオレンジが机に転がり落ちてしまった。
するとアリスはそれを手で掴み、パクッと食べてしまう。「あっ…アリス…!」
私が注意しようとするとアリスは「シーッ…しーだよ、お姉ちゃん」と私にだけ聞こえる声で言った。
「もーしょうがないなー……。次からは気をつけてね」
私はアリスの頭を撫でながら言う。
するとお母さんが台所から出てきてベリーのジュースを机に置いて「ごめんねー!ー!遅くなっちゃってー!」
お母さんはそう言うと私とアリスにジュースを出す。
「ちょっとアルバム見つけてさー!
懐かしくなっちゃって」と言いながらお母さんは、あははーと笑った。
「ママ、いつも言ってるけどあんまり無理しないでね?」
私はお母さんに言った。するとお母さんは笑顔でこう言う。
「別に無理してないよ?ほら、こんなに元気!」
お母さんは腕で力こぶを作るポーズをしてみせる。それを見て私とアリスは微笑む。
「見て―、このアルバム、お母さんが子供の頃の写真」
お母さんはアルバムをペラペラめくる。私とアリスはそのアルバムを覗き込んだ。
「あっ、これ私だ!」
私は指をさす。そこには私がいた。そして隣には……お父さんがいた。「お父さんはカッコよかったなぁ……。」
お母さんは遠い目をして言う。
「写真で見ると、こんなにカッコよかったんだね」と。
そのアルバムには沢山の、私とアリスの写真があった。でもそこにお父さんはいなかった。
少ししんみりシていると
ピンポーン、呼び鈴が鳴る。「誰かな?はーい!」そう返事してお母さんは玄関に行く。
そして3分後くらいに戻ってきて手にはダンボールを1箱持っていた。
「なに?それ」と私が聞くと「おじいちゃんから色々だよ!ほら、」
そしてワクワクしながら箱を開ける。
すると「お!ジャムだ!」とアリスは目を輝かせて言った。
「おばあちゃんおじいちゃんが私達3人にって」
お母さんはニコッ笑いながら言う。
箱の中には3人分のクッキーとジャムが入っていた。「わぁ!美味しそう!」とアリスは喜ぶ。
お母さんは何かに気づいたのか箱の奥をゴソゴソと漁った。「あ、布だ。そこに布が…」と布をめくる。
そしてタイマー式の何かの機械がでてきた。そしてそのタイマーは残り2秒だった。
私とママは何の理解も出来なかった。そう、それは私達に牙を剥いた。瞬間だった。
目を瞑る程の強烈な閃光と大音量の警報音が部屋中を包み込む。「きゃああああ!」とアリスは叫んだ。私は慌ててアリスを抱きしめる。
そして爆発音が鳴り響き、ダンボールの中のお菓子とジャムが空に飛び散った。
私は何かに身体をぶつけたのか気を失った。