帰り道、すぐにタクシーに乗るのが惜しくて少し歩いた。
🖤「皆になんて言おう、それとも黙っておく?」
俺が言うと、阿部ちゃんに変な間が生まれる。
🖤「どうした?」
💚「言いづらいんだけど、もう皆知ってる」
🖤「えっ!?」
帰国後の収録で集まった時、俺も阿部ちゃんもお互いをやたらずっと見るし、目が合うと照れてるし、何か話したそうにして挙動不審だったからみんな気付いたらしい。
🖤「そんなつもり全然なかった……」
💚「俺も」
そして俺が席を外してる間に、みんなから問い詰められた阿部ちゃんは逃げ切れずに経緯を話し
『それもう好きじゃん!早くめめに好きって言いなよ』
と散々言われたそうだ。
今日スタジオで話せなかったのも、康二とふっかさんが『ここで告白なんてムードがない』と言い出して、俺たちを追い出すために残ったと。
知らない間に、みんなにお膳立てされた恋になっていた。
🖤「まあいいか、堂々としていられるし」
💚「俺めっちゃ恥ずかしかったけど、みんなが応援してくれてるんだって思ったら嬉しかった」
🖤「そうだね」
次の約束は、康二に分けてもらったコーヒーを俺が買ったペアマグで飲むお家デートに決まった。
阿部ちゃんはマグの存在に目を輝かせて喜び、CMをしている洋菓子店でおやつを買ってくるとはしゃいでいる。
どちらからともなく繋いだ手がまるで最初からこうなるのが決まっていたかのようにあたたかく溶け合って、更に離れるのを惜しくさせていた。
終
コメント
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これは今まで書いてたのとは別の二人?特に気にせず各作品独立してるんですか?