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「ん……あれ…此処…は…?」と一人の少女は目を覚ました。目を覚ました先は…あまり見覚えの治り場所…此処は一体…?
と、その前に本編スタートする前に幾つかの注意事項を言っておこう。※これはガーテンオブバンバンの二次創作ファンメイド夢小説です。また、この作品には作者オリジナルのファンメイドキャラクターも多数登場しますが、メインは基本的にはガーテンオブバンバンの現時点の全チャプターに出てきたキャラクター達で主に作者が最推しのビターギグルが出番多めになります、また、この作品はガーテンオブバンバン本家をリスペクトして製作しているのでチャプター形式を採用。この作品を通して、少しでもガーテンオブバンバンというマスコットホラーゲームの事を知って貰えたり、興味が湧いて下されば幸いです。
前置きが長くなりましたが、本編どうぞ。
チャプターI バンバン幼稚園
「此処って‥もしかして…あの幼稚園‥?」と少女は辺りを見渡しながら、そうぼやいた。そう、彼女が目を覚まして居た先は…幼稚 園児達に大人気な幼稚園、バンバン幼稚園だった。でも、何で彼女がこんな幼稚園へ…?彼女は何も分からないまま、此処に居る為に全てが何もかも訳がわからない。と、此処でひとまずは彼女の紹介をしよう。彼女はレイラ・ベルーシャ。十一歳の少女で、元気で明るく、何に対しても好奇心旺盛で知りたがり屋な性格だ。「とりあえず、近くを歩いて回ったりしていれば此処があの幼稚園なのか確かめられるだろうし、歩いてみようっと」彼女はそう言って此処が一体どこなのかの真意を確かめる為に、暫く散歩をしていると【バンバン幼稚園】と書かれた看板が。どうやら、此処はバンバン幼稚園で間違いないらしい。「此処って…本当に…あの幼稚園…なんだ」看板文字を眺めていると、後ろから見知らぬ声が聞こえてきた、「そうだよ、此処はあの人気幼稚園…まあちょっと改装した部分もあるけど…あの一件以来、君のような子供を招くのは随分久方振りだね」と。「え…?」彼女が振り向くと、そこに立っていたのは白衣を着た研究員のような…この幼稚園の職員と思わしき人物が近寄ってきた、「やあ、君が目覚めるのを待っていたよ、レイラちゃん」とその職員は彼女の名を呼び、その上仕込んでいたかのように待っていたとまでいきなり彼女に告げた、これは一体どういう意味なのだろうか…?。
「あの…一体どういう事なの…?待っていたって…?」終始ポカンっとした様子の彼女。突然眠らされて、次に目を覚ましたらこの幼稚園に居たというある意味不可思議な状況下の上、意味深な言葉までかけられ、もはや不安な気持ちを隠せないレイラ。「まあ、そう怖がる必要はない。君にはやってほしい事があるんだ、それは此処に住んでいる沢山のとある者達の管理と世話だ、幼い子供の君には…触れ合い、と言った方がやるべき事が伝わるかな?どうだい、やってみないかい?最初は怖く恐ろしく感じると思うけど、慣れれば可愛い子達だよ」職員らしきその人物はそうレイラに突然そう言い出した。明らかに何か裏がありそうな怪しい提案、それに更に意味深で妙な事を彼女は言われた…「それの今日から此処が、君の家で居場所だ」と。
「どういう事…意味分からないよ、もうずっとママには会えなくなるって事‥?」レイラは不安な顔して職員らしき人物を見つめる。
突然連れて来られた、招待された訳ではなく強引に此処へ来た挙げ句‥もう此処からはもう出られない。突然でもうとにかく訳が分からない。これは明らかに裏があるんじゃないか、そう言いたいが、でもそんな事幼い子供である彼女が大人に逆らえるような度胸まではない。
「まあ、楽しい時を君には永遠と過ごして貰うだけさ、此処は退屈なんてしないし君は友達がいないみたいだし、だからこそ、そんな君には楽しめるお友達が必要だろう?どのみち、此処に居てもらう前提で君を此処に連れてきたからね」レイラの意見や声を無視して話だけが進み行く、「えっ‥と、えっ」と動揺する彼女。
動揺する彼女には目もくれず、目の前にいる研究員は話を進め、「心配はない、君の味方になってくれる者達がきっと沢山、此処で待っている‥じゃあそういう訳だから。ああ、それと君の部屋は勿論用意してあるからそこに案内しよう、それからは自由にして良い、でもあまり迷子にならないようにね、此処は知っての通り広大で此処に慣れてないと迷子になるのは明白だ」と職員はそう言って、彼女専用の部屋だという場所に、案内し‥暫く歩き、「着いた、此処が今日から君が過ごす部屋だ」レイラが案内されたのは大きな重々しい緑のドアで、そこは閉ざされていた。「此処が私の部屋‥?でも、何だか閉まってるみたいだよ?どうやって開けるの…?」とレイラが言っていると、「心配ない、この幼稚園のセキュリティは全てこのカードキーで解除も施錠も出来る、この色分かるかい?此処の色が同じ色のカードキーを使えば、このドアは簡単に開けられる」と職員は緑のカードキーを使用し、ドアに認証させて解除を行なった。
すると、ドアが開く。重々しいドアがゆっくり開き、そこに足を踏み入れる。「此処が‥私の‥部屋‥?」「ああ、そうだ、此処に全て生活用の道具は揃っている、それとこの施設の事についての案内書も幾つか置いてあるから、見てみると良い。それとさっきこれは言ったと思うが散策派自由にやって良い、此処が君の住処になったんだからね」職員らしき人物派そう言ってこの部屋から退出して何処かへ向かっていった。何かやる事でもあるのだろうか。
とりあえず、急過ぎるこの事態に気持ちの整理が巧く付かずにいる彼女は横になって部屋の天井をじっーと眺め、考え事‥。明らかな隠し事が窺えたあの研究員の事も、そもそも何で此処に突然連れて来られたのか‥全ての事が気にかかる。
と、気分転換に此処の事についての案内書と思われる書類に目を通していく訳だが、でもまだ幼い子供の彼女にとっては難解な事ばかりで、理解が中々出来ない‥と、彼女はいくつかの書類を読んでいて特に目を止めたのが、【ジバニウム】、【ケースレポート】、【ゲノムドナー】など、普段なら絶対に耳にする事のない言葉の羅列‥しかもジバニウム‥?これに至っては全く知らないもの‥。
でも、間違いない事を挙げるとするなら、どれをとっても幼稚園に存在するような言葉ではない事は確かな事。
やはり、此処はおかしい‥それにやたらこの複数の書類の数々の文面の中で度々目にするこの【ジバニウム】とは一体何なのか、それを先ずは知りたいところ。でも、それとは逆にこの未知の存在とされる‥この幼稚園に存在する何かについての好奇心と恐怖心が混ざり合って居る今の複雑な感情。「さっきの人が言ってた【お友達】って‥まさか此処に書いてある子達の事……じゃないよね‥」レイラはやっぱり恐怖心を隠せない。だって、資料を見る限りでは此処に居るであろう怪物達は‥きっと普通の人間じゃない、それどころか‥明らかに人間ではない、これが、本当にあの研究員が言っていた、レイラにとっての【お友達】なのか‥?。と、バンバン幼稚園の案内書をある程度読み終わり、部屋でのんびりし休憩したところで、一先ずはまたこの園内の探索を再開する事し、この幼稚園に対して探りを入れていく。
「それにしても、此処‥ほんとに広過ぎる‥何処かにこの園内の地図でも貼られてないかな、迷子になりそう‥」探索するのは良いが、あの研究員に言われたように迷子にならないようにしたい、その為に彼女は探索をしながら施設内の全体地図がないかを同時進行で探す事に。それに、この幼稚園は普通じゃないという違和感を少しずつ実感してきたレイラ。その違和感とは…彼女以外の園児や他の職員が一切見当たらない事だ。
幼稚園だというのにこの奇妙な点。それに無駄に広大な敷地内も、全てが不思議で満ちているこの空間。と、レイラは探索を続けていると、今度はまた違ったものを発見した。「?、何これ……、バンバン幼稚園…なんだろう、なんか壁に描かれてる‥?、もしかして此処のマスコット‥なのかな‥バンバンに‥ハピープティ‥?、あ‥この子達の名前‥何処かで見たような‥ 」レイラはとある事を思い出した。部屋で読んだ資料の一つ、【ケースレポート】に綴られていた名前と一致した。という事は、この壁画に描かれてるこのマスコット達がバンバン幼稚園のマスコットキャラクター達である事が判明。「あのケースレポートっていう奴に書かれてた名前と一緒‥それにわざわざこの壁画があるって事は‥本当にこの幼稚園に‥この子達が居るって事‥?怖くなってきた‥」レイラは此処に未知のこのモンスター達が存在しているという事が、現実味帯びているのを実感し始め、しかも忘れてはならない事は彼女はまだ幼い子供である事、だからこそ未知なる存在に対する恐怖心を敏感に感じている。未知の存在のマスコット達が果たして味方なのか、敵なのか‥。
「考えても、怖がってて も何も変わらないよね‥だからこそ進んでみなくちゃ」レイラは決心し、進んでいく。意を決して進み、次に見えてきた空間は事務室のような場所で、テーブルに、パソコン‥椅子と事務作業的な事を行う場所だという事が分かる。そんな所のようだ。「何だろ‥此処、何だか此処は凄く整頓されてる」レイラはその場所に入り、辺りを見渡す。恐らく此処の主にこの幼稚園の職員が出入りする場所…と分かるように資料が机の上に大量に散乱していた。
と、あまり立ち入ったらダメな雰囲気がしたので、あまり此処は探索せず、次の場所へ。と言っても、先へ進んでも似たような景色があって本当に進んでいるのかな‥?そう思ってしまいそうな程に同じ景色が延々と広がっている。
「あ、またなんか見えてきた‥わあ〜!大きなテレビ‥?何か見れるのかな‥、ん?えっと‥何々‥、この大型モニターで見れる映像はバンバン幼稚園の過ごし方や守り事等をアナウンスするものとなっております、従業員や此処で過ごされるお子様はこの案内アナウンスを必ずご覧下さい‥か、これ私も‥見た方が良いんだよね‥、とりあえず見てみようっと」レイラは音声ビデオアナウンスを見る為に電源を入れるのだが、此処にもカードキーが必要のようで映像を見る為にカードキーを探す、おっとその必要はないようだ。これを差して下さいと言わんばかりにカードキーケースに丁寧に入られてあり、それを抜き取って挿入。
「あ、始まるかな」レイラはそう言って近くに座れそうなベンチがあった為に、そこに座って始まるであろう映像を見る。
「バンバン幼稚園へようこそ、このビデオはこの幼稚園で快適に過ごして頂く為のマニュアル音声ビデオです。此処には沢山のマスコット達がいます、しかしマスコット達との触れ合いの際接し方を間違えますと怪我の恐れがあります、マスコット達との触れ合いの際の怪我や負傷の保証は致しませんので予めご了承ください、また各フロアやエリアにあるドアの開閉の際は対応したカードキーを必ずご使用をお願いします………… 」とそれから延々と音声ビデオは流れ、最後に「以上の注意点を守って楽しいバンバン幼稚園での楽しい一時をお過ごし下さい」と締め括られて、ビデオは終了した。
その中には中々衝撃的な言葉も含まれてあって、此処が普通の幼稚園ではない事を改めて余計に自覚させられた瞬間だった。「なんか、本当に怖くなってきたな‥人も、誰もいないし‥」好奇心に満ちた彼女でも、此処に本当に存在しているであろう何かが人間ではない怪物の可能性を踏まえると、恐怖心の方が圧倒的に前向きな感情を追い越してくる。
この幼稚園は不思議や異常さが目立つ。「怖くても‥きっと私の‥お友達になってくれる人が見付かるかもしれないなら‥進んでみなきゃね‥」ビクビクなりながらも前に進む。そうしていると「……?、何か‥気配がするような‥誰か居るの‥?」レイラは立ち止まって後ろを振り向く。でも、そこには誰も居なかった。
「あ‥あれ…?誰も居ない、今何か気配したんだけどな‥あ、もうそろそろ、部屋に戻ろうかな、結構探索して進んできたし、迷子になる前に早く戻ろっかな」とくるっと前を向いて部屋に向かって戻ろうと歩き始めたその時、後ろからまた視線と気配を感じ、そっと後ろを振り向く。「おや‥?、これはこれは‥見た事がない、しかも子供ですか‥ヒヒっ、何とも可愛らしいお嬢さんですね〜」と言ってきたのはまだ見知らぬ‥まさか目の前に立っている謎のモンスターらしき存在が‥、「え…?えっと‥ええ‥!?、ま……まさか、貴方は……此処のマスコット…なの‥?、え‥しかも、しゃ‥喋れてる‥?何で‥?」彼女は未知のモンスター、まあ言わずもがなジバニウムモンスターである事は間違いない。ケースレポートに一応一通り目を通しては居たが、まさかジバニウムモンスターが実際に存在して、その上人語を喋れるときた、そんなのパニックにならない訳がない。でも、この雰囲気的に彼は敵ではないように思えるが、このジバニウムモンスターは‥?
「え……えっと、え‥貴方は‥誰‥?」レイラはポカンとしたまま、質問した。「私ですか‥?私は宮廷道化師名をビターギグルと言います、ああ‥それと一部からはジェスターとも呼ばれています」目の前の立っているジバニウムモンスターはそう自己紹介をした。ビターギグル‥彼は緑と紫色の二色で分かれている異色の姿で、ケースレポートは未だ不明だが、この幼稚園のジバニウムモンスター一覧表というケースレポートとは別枠の冊子に確かに彼の名前もあった。宮廷道化師という異名を持つジバニウムモンスター。しかし、実は彼を含め数体の詳細がわかっていないモンスターが居るみたいで、勿論その為にゲノム情報さえも不明。
「そうなんだ‥えっと私はレイラ‥宜しくね」彼女は緊張しながらもビターギグルにそう自己紹介をした。「可愛い名前ですね〜、そういえば何故貴女は此処へ‥?見たところ、貴女は子供‥ですよね〜」ギグルは何故子供がこんな幼稚園に一人で此処に居る事に疑問を持ち、質問を投げかけた。
「私は‥突然此処に連れて来られて‥それに私は‥もう此処から出ちゃ駄目って‥」そうレイラはビターギグルが聞いた質問に対して答えた。
「成程‥突然此処に‥ですか、それは何か裏で良くないことを企んでるに違いない、子供一人だけ攫って、此処に永住させるなんて、そうだ。今から自室の方へ戻るのですよね‥?なら、私も着いていって良いですか‥?」ビターギグルはそう提案してきた。彼女にとっても一人でずっとあの部屋で過ごすのも退屈で仕方がない、折角なら一緒に来て欲しいと思い、「う、うん‥じゃあ一緒に行こ!」レイラはギグルに対して答えた。
「それに私‥今まで誰とも友達になれた事がなかったから‥今も一人も友達‥居ない、話して笑い合えるような友達も‥」「そうだったのですか‥、まあ少なくとも此処でなら退屈はしないでしょうからそこは安心して良いですよ、そういう事もきっと解消されます、それか‥どうしても何事にも面白さを感じなくなった時は私がジョークを言って貴女の心と気持ちを笑顔にして差し上げますよ、なんせ私は宮廷道化師、誰かに笑ってもらえれば、それだけで私は幸せなのです」ギグルは何だかウキウキしたな気分でそう言った。とにかく、彼女は一旦ビターギグルと一緒と共に自室へ戻ろうと、一歩を踏み出す。
と、此処でまた次なるマスコットモンスターが現れた、「おや?君か、今日から此処に永住する事になったという子供は……それに宮廷道化師も一緒なんて珍しい組み合わせだね」次にやってきたのは‥今度は赤い体の色をしていて、それに二本の角にパーティハットを被っているまるで鬼か、悪魔か、そんな類の容姿をしているマスコットモンスターのようだ。
「え‥また知らないヒト‥というかモンスターが来た‥っていうか、貴方も言葉‥話せるの」レイラは怖がりながらもそう質問した。素性も何もかもよく知らない存在が次々と来たのだから、彼女がパニック状態、この状況を理解出来ないのにも頷ける。
「ああ、彼もそうだけど俺もゲノム素材の中に【ヒト】が入ってるからね、これが入ってるのはどれも知能がしっかりした人が多いから、だからこうして言語も流暢に話せる」とマスコットモンスターはそう言った。「そ、そうなんだ‥えっと、そういえば名前は‥何て言うの?」彼女はビターギグルを見た後だからか、あまり恐れなくなり慣れてきて、敵意を向けられて居る訳ではなさそう‥というのが伝わったのか、寧ろ此処に居るマスコットモンスターの事についてもっと知りたい!、そんな幼い子供ならではの好奇心が揺さぶられ、ワクワクと活き活きとした瞳と姿勢でそう言ったレイラ。
「俺か?ああ‥この幼稚園と同じさ」と彼はそう言った。何故直接名乗らないで遠回しに答えさせようと振ったのか、そこがあまりよく分からないが。「えっと、えっ‥此処は……あ!もしかしてバンバン?」と彼女はそう答えた。「ああ、それと別に俺はウスマン・アダムとも名乗れるね」バンバンはそう答えた。ウスマン・アダム‥?とは一体誰の事なのだろう、とバンバンは「道化師の声が聞こえてたから、ちょっと話を聴いてたんだけど君は今から自分の部屋に戻るんだったかな?」バンバンは再度確認するように彼女へ問いかけた。「あ、うん。迷って部屋に戻れなくなる前に一旦部屋に戻ろうかなって、そしたらギグルと出会って、そこから二人で部屋に戻ろうとしてたとこなの、でも何で?」とレイラは何故このような質問を聞いてきたのかに対して疑問を抱き、首を傾げて逆にバンバンへ質問を返した。
「実は俺達の…此処に居るモンスターファミリー専用の部屋があるんだけど、寂しいならそこで一緒に過ごしてみないかと思ってね」バンバンは言った。
バンバンによれば、この幼稚園に存在するマスコットモンスター達が集う大部屋があるとの事でそこに来てみないかとの誘い。今から部屋に戻っても部屋には自分とビターギグルの二人、それだとあまりにも寂しい、それに彼女はまだ幼い子供。寂しさに慣れてなんかない、友達や一緒に居て居心地の良い存在さえ、彼女にはまだ出来た事がない。
そう思うと、大勢がいるであろうその場所に行った方が寂しさも紛れ、忘れられるだろうと思う一方で、他のまだ見知らぬ此処のマスコットモンスターに対しての多少の不安や恐怖感もあるのが事実。
「えっ……と、どうしようかな、じゃ…じゃあそこに行ってみたいな」レイラは少し怯えたような姿勢でバンバンに言った。今この場に居るモンスタービターギグルとバンバンは何となく敵ではないということが分かったから少しは信用もできるが、それ以外のマスコットモンスターにはまだ遭遇もしていない為に敵か味方かの判断もできない、だからこそ怖いという気持ちが浮かび上がる。と、バンバンは一気に話を変え、こう言い出した、
「それと‥実は奴らがひっそりとまた新たなジバニウムを開発しているようだ。君を此処に幽閉したのには何か裏がありそうな気がするよ」バンバンはそう言って、ビターギグルが「新たなジバニウム開発……?聞き覚えがないです、それは誰からの情報です‥?」と尋ねるも、バンバンも実のところはあまり知らないらしい。
「そういえば、軽く見たくらいだからあまりよく覚えてないけど‥なんかバンバン達ってケースナンバー?があるんだよね?なんか皆んなとは違う桁のナンバーの子達の名前も載ってたような気がする…もしかしてその子達の事かな」「存在はあの資料でまあ知ってはいると思うけど、どうやら我々よりも更に凶暴なケースが比較的多いみたいで、それも上手く事を運べていないようだ‥ まあ俺が新型ジバニウムと思われる物質について分かってるのはこれくらいだ、でも何時かはその新たなジバニウムの実験に君が使われる時が来てしまうかもね、あまり想像もしたくないが‥」バンバンは言葉の最後に何やら不穏な事を告げた。そうなってくると、益々此処に彼女を連れてきた理由が、ただ此処で永住させる為ではなく、この先実験で被験体にするのを見越して逃がさない為、その為の口実を作って彼女にそう言いつけた、としか今は考えられない。
「でも…此処に永住させた事と、その新たなジバニウム…?が私に何の関係があるの?私が…使われる‥?」レイラはぽかーんとしているようだ。「それは‥何れ研究員の口から告げられる事になる筈さ、……さ、話が長くなりすぎた、では沢山の友達が待ってる場所へ行こう」バンバンはそう言って進もうとするが、もう一つ‥今度はビターギグルに言いたい事があるようで、「そういえば、何故君がこの地上階に居る?君はあの【王国】の者の筈だろう?まさか、保安官から警告されたが、結局王国から出禁を食らったか?」バンバンはそう尋ねた。バンバンの口からまた不思議な単語が飛び出てきた、この幼稚園に……【王国】‥??。
「ええ、女王様を笑わせるなという掟を我慢できないなら、暫くは追放すると追い出されましたよ、私は仮にも宮廷道化師なのですよ…!?、ジョークを言って笑って貰えるのが私にとっての何よりの幸せなのに、これでは存在するなと言われたのと同意義です‥!!」ビターギグルは宮廷道化師としての存在意義を否定された、そう感じ追い出された事に対して相当怒っているようだ。ジョークを言って皆んなwpを笑顔にするのが彼に与えられた役割なのに、その女王とやらはその逆で笑わせたらいけない、こんな矛盾の現実、嫌と感じる他ないだろう。
「宮廷道化師の別名を授けられた君からすると、まあそうだろうね、それに念のためにたまに保安官が見に来るようだから、この地上階でゆっくりすると良い」バンバンはビターギグルにそう言った後にまた歩き始め、バンバンファミリーが居るという部屋に向けて更に歩みを進める。その先に待っているのは一体どんなマスコットモンスターなのか、敵なのか‥味方なのか。
「そうだ、まだ伝えていない事があった、君はこの幼稚園に置いてあるドローン、使った事はあるか?此処は基本的に部屋や移動する時はカードキードローンが必須で、それらを上手く駆使して開閉もするからね」バンバンは言った。
ドローン……確かにあの大型モニターで見た音声案内でそのような説明があったような覚えがある。此処の従業員や職員は勿論、園児も必要に応じて使用する事があり、この幼稚園ではカードキー、ドローン共に必需品だ。
「ドローン‥?、まだ見かけた事はないかも、でも大きなテレビモニターで見た案内でその事も言ってた、けどそのドローンがどこにあるのかが分からなくて‥」「ドローンなら今向かってるあの部屋にも置いてあったと思うから触って見ると良い、子供の君なら直ぐに気に入る筈さ」バンバンはそう言って案内を続け、歩く事数分後‥何やら、看板らしき文字が見えてきた、そこには『バンバンファミリー』との文字が。
この文言からして此処が、バンバンが言っていたこの幼稚園のマスコットモンスター専用の部屋というのは恐らく此処の事で間違いないだろう。「此処が…そうなの…?」レイラは大きいドアを目の前に下から見上げるように眺める。「そうだよ。此処が俺達の居場所さ」バンバンはいつの間にやら所持していたカードキーを使ってその部屋のロックを解除し、遂に目の前の部屋のドアが開かれ、「さあ、入って良いよ。今日から君はこの幼稚園の仲間入りだよ」バンバンが言って案内するも、レイラは恐怖心や、やはり未知なるマスコットモンスターに会う事に躊躇いと恐怖心に駆られ、前へ進もうにも怖くなって進めない。そんな彼女を見兼ね、ビターギグルが傍に来て、「行きましょう、大丈夫ですよ!一緒に居ますからね!」レイラを安心させるように声をかけ、その言葉に嬉しくなってレイラはビターギグルに抱きつき、「ありがとう、ギグル!」抱きついた瞬間に不思議な感触が彼女に伝わった。そうして、漸く遂に此処に居る他のマスコットモンスター達との面会の瞬間が近づいてきた。
この先には一体どんなマスコットモンスター達が待ち受けているのだろう……