テラーノベル
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嘔吐表現があります。
約2,500文字あります。
〚研磨side〛
「んっ……」
朝、腹痛で目が覚めた。
最悪すぎる目覚めだ。
まさか目覚ましよりも前に起きるなんて……
「最悪……」
めちゃくちゃ酷いわけでもない微妙な腹痛のせいで、二度寝も無理そうだ。
キリキリ、ずーんッ…って感じの痛み、分かる人は分かるでしょ。
ゲームをする気にもなれなかった俺は、仕方なく学校の準備をしだした。
準備を終わらせてぼーっとしていると、いつも通りの時間に チャイムが鳴った。
ボーっとしながら待つと、いつも通りの足音が近づいてくる。
“ガチャ”
「研磨ァ、起きろー」
ドアが開くのと同時に、聞き慣れた気だるげな声が飛んでくる。
「うるさい、クロ。もう起きてる」
「おっ、珍し。飯は?」
「食欲ないからいい、」
「そういうわけにはいかねぇだろ。ゼリー持ってくるわ。その間に寝癖直しとけよ。」
「ん、」
クロが部屋から出た隙に、念の為腹痛薬をポケットに忍ばせておく。
多分、ストレスとか疲労とかからくる腹痛だと思う。
今までで何回もあったから、慣れてるんだけどね。
でも、なんとなく今回は、嫌な予感がするから。
俺、悪い勘だけは絶対当たるし。
ちょうど寝癖を直し終わったところに、クロが蒟◯ゼリーを持って来た。
ゼリーを受け取って、休もうか迷いながらも荷物を持って部屋を出る。
まぁ、最悪保健室行けば良いし。
今日は朝練もないから大丈夫でしょ。
そんな事を考えながら、クロと一緒に通学路を歩いた。
“キーンコーンカーンコーン”
「孤爪くん。次部活だけど、まだ休んでく?」
6時間目が終わってHR開始のチャイムが鳴る。
実は、少し腹痛が酷くなったのと授業がめんどくさかったから、昼休みから保健室で休んでいたんだよね。
「大分楽になったので、部活は行きます…」
「そう?お大事にね。」
「…はい、」
まだ少し痛いけど、朝よりも軽いから大丈夫でしょ。
俺は、のそのそと体育館へ向かった。
「おっ、珍しいな。研磨が早いなんて」
「やっくん…クロは?」
「黒尾なら日直だから少し遅れるぞ」
「そう…」
「よっし!先行ってるな!研磨も早くしろよ〜?」
「うん、」
“バタンッ”
「ふぅ………」
着替えが終わっても、まだ誰かが来る気配はない。
今のうちに念の為、薬を飲んでおこう。
さっきよりも痛みが酷くなっているのは、気の所為だよね。
〚黒尾side〛
「それじゃあ5分後から外周5周な、」
「「アッス!」」
部活を始めてから早1時間。
指示を出し終えた俺は、キョロキョロと研磨を探した。
なんとなく顔色が悪かった気がしてな。
朝から少し元気がなかったし…
少し歩くと、見慣れたプリン頭が視界に入る。
(おっ、いたいた)
「研磨ァー」
「……なに、クロ」
「お前、体調悪いんじゃないか?」
「別に…そんなこと無いけど…」
「……なら、良いんだが…」
やっぱり、少し様子がおかしい気がするな…
俺は、もやもやを覚えながらも、外周の時間が迫っていたため、それを隅に追いやった。
「はぁッはぁッ……おつかれ〜、今から15分休憩な、」
「「アッスッ……!」」
外周から戻って休憩に入る。
水分補給もそこそこに、俺は再び研磨を探した。
走ってる時めちゃくちゃ顔色悪かったし、時々腹押さえてた気がするんだよな。
腹痛かはさておいても、体調は崩してるだろう。
倒れる前に、なんとか休ませたいが……
「なぁ、やっくん。研磨知らないか?」
「研磨ならトイレ行くって言ってたぞ」
「サンキュー。ちょっと行ってくるわ」
「行くってどこに…って、おい!黒尾!?」
研磨の居場所を聞いた途端。
俺は、やっくんが叫んでるのを無視して、走り出した。
まずは、一階のトイレを探そう。
(待ってろよ、研磨……!)
〚研磨side〛
「はぁッはぁッ…ぅ゙、」
走り終わってすぐ、俺はトイレに向かった。
治まっていた思っていた腹痛が一気に復活してきて、吐き気もする。
(走らなければ良かった……)
クロに言おうかも迷ったけど、めんどくさかったしそんな余裕なかったから、なにも伝えていない。
「ゔッ…」
(やばっ…は、くッ……!)
「げほッ、ぉ゙え゙ッ……はぁッはぁッ…ゔぇッ…!」
体の奥から苦いものが迫り上がってくる。
(く、るしッ……)
「__まァ!研磨ァ!どこだー!」
一人で吐き気に耐えていると、声が聞こえてきた。
(やばっ、クロ、来るっ!)
“ガタンッ”
「研磨っ!って………」
「く、ろ…っ?……お゙ぇッ…けほッ…」
「辛いよなぁ……落ち着いてな。苦しいの出しちゃえ」
クロが、背中を擦ってくれる。
やめてって思う気持ちと、少しだけうれしい気持ちが混ざって、ぐちゃぐちゃになる。
(もー無理……泣そ、ッ……)
「はぁッ、はぁッ……」
「もう大丈夫そうか?ちょっと待ってろ。水持ってくるな」
「ん………」
疲れた……にがい……気持ち悪い……
こんなんなら、休んどけば良かった……
「研磨。ほれ、水。うがいして、ちゃんと飲めよ。飲めそうなら薬もな、」
「……気づいてたの?」
「ん?あぁ、薄々だけどな。お前、無理はするなとあれほど!」
「……ごめん…」
説教がめんどくさかったのもあるけど……
クロが、悲しそうな、不安そうな顔をしていた。
今回は、さすがに反省かな…
「!………はぁ……まぁ、研磨が無事なら良いんだ…」
「うん……」
「この後どうする?保健室行っとくか?」
「いや、吐いたらスッキリしたし、体育館行く。さすがに見学させてもらうけど」
「りょーかい。それじゃあ行こうぜ、」
「ちょっと、待ってよクロ」
クロには内緒だけど、正直、クロが来てくれて、すごく安心した。
ありがとね、クロ。
んー、びみょー。
また時間があったらリベンジします!
♡やコメント、お待ちしていまーす!
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