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今回は病気?パロです!



それでは設定どうぞ!




赤(女) 先天性色覚異常


水(男) 特に異常なし


白(女) メニエール病


桃(男) 特に異常なし


青(女) 自閉症、サヴァン症候群


黒(男) 特に異常なし




第一話







『春の光、夜の音』





プロローグ



春の柔らかな陽射しが、校庭の桜を照らしている。風に揺れる花びらは、まるでそれぞれの想いを乗せて舞い踊っているかのようだった。




――1組目:青と水――


 青は静かにスケッチブックをめくっていた。校舎裏のベンチ、彼女のお気に入りの場所。数字や音の連なり、色彩の構造、それらが彼女の中で意味を持ち、形になって現れる。


 「また、すごいの描いてるね」


 水が微笑んで隣に腰かける。彼は彼女の特異な感覚を否定しない。むしろ、敬意と好奇心を持って接していた。


 「……この色、数字でいうと何番?」  「512……でも、今日は少し違う。花びらが、音に聞こえる」


 青の言葉に、水は頷いた。彼女の世界は、普通とは違う。けれど、そこには美しさがあり、誰よりも繊細な心が宿っていた。


 「じゃあ、僕も君の音を聞きたい。教えてくれない?」


 青は少しだけ目を伏せてから、そっと笑った。それは、ごく稀にしか見せない、彼女なりの愛情の証だった。






――2組目:赤と桃――


 放課後、美術室に差し込む光の中で、赤は絵具を混ぜていた。彼女にとって、世界は「色」で分けられるものではなかった。赤と緑の区別は曖昧で、他の人が見ている風景と自分のそれが異なることを、彼女は小さい頃から知っていた。



  「これ……変かな?」


 桃がそっと背後から声をかけた。赤の描いた風景画は、空が少し緑がかって見えた。けれど、桃はそれを否定しない。


 「全然。むしろ赤らしいって思う。俺には見えない世界を、君は持ってる」


 赤は少し戸惑った顔をしてから、静かに頷いた。


 「でも、時々怖くなるの。私だけ違うんじゃないかって」  


「違うから素敵なんだ。君の色、俺に教えてよ」


 その言葉に、赤はほんのり頬を染めた。彼の瞳の中に、自分が「受け入れられている」と実感できたから。


――3組目:白と黒――


 音楽室の隅、白は椅子に座っていた。今日もめまいがして、授業を早退していた。耳鳴りはやわらいだが、まだ少し揺れている感覚が残る。


 「大丈夫か?」


 黒がドアを開けて入ってきた。彼は白の状態をよく理解していた。白がメニエール病と診断されたのは去年の冬。それ以来、彼はずっと寄り添ってきた。


 「……うん。でも、今日はちょっときつかったな」


 黒は彼女の隣にしゃがみ、そっと手を握った。


 

「無理しなくてええ。俺は、しょうが静かに笑ってくれればそれでいいから」


 白は、微笑んだ。その笑顔が黒にとって何よりの癒しだった。彼の言葉は、彼女の不安をやさしく包み込む。





――交錯する日々――




 ある日、三組は偶然、図書室で出会った。互いのことは知っていたが、ここまで近くに座るのは初めてだった。


 「……ねえ、私たち、ちょっと変わってると思う?」と赤がぽつりと言った。


 「ううん、むしろ、それぞれが違うからこそ面白い」と青が即答した。


 「違いって、怖いけど……でも、君たちがいるから平気やな」と白も続けた。


 水、桃、黒の三人は、それぞれの彼女を見て頷いた。病気や障がいは確かに壁を生む。でも、それを受け入れ、理解しようとする姿勢が、新しい絆を生んでいく。


 その日、三組は少しだけ深く繋がった。手を取り合うわけでも、大げさな言葉を交わすでもなく、ただ静かに、同じ時間を分かち合った。





――そして春の終わりに――




 卒業を控えたある日、校庭の桜は満開だった。青は水に、赤は桃に、白は黒に、それぞれの「これから」を語った。




 「君となら、きっと大丈夫」  「色なんて関係ない、君が大切」  「耳が聞こえなくても、心は届いてる」



 彼らの言葉は、決して特別なものではない。ただ、誰かを思う気持ちがそこにあった。それだけで、未来は少しだけ優しくなる。


 風に舞う桜の花びらが、三組の上にふわりと降り積もっていく。


 これは、そんな静かであたたかな、恋の記録である。








第一話:「数字の花びら」


 青が校舎裏のベンチに座る午後、風は静かに春の匂いを運んでいた。スケッチブックの上では、彼女の内面世界が少しずつ形をとっていく。彼女にとって描くという行為は、言葉の代わりであり、自分を理解するための儀式でもある。


 そこに、水が現れた。やわらかな笑みを浮かべて、彼女の隣に腰かける。


 「こんにちは、今日の絵は何?」


 青は返事をしない。けれど、スケッチブックを水のほうに傾けて見せる。それは、淡いピンクと薄紫の層が幾何学的に重なった構図だった。花びらの舞いを数字と色の音で表現していた。


 「……これは、どう読めばいい?」


 青は口を開いた。「色は、音に近い。これは“ドレミソ”」


 水は絵をじっと見つめたあと、スケッチブックの端を指さした。「ここの緑、音で言うと?」


 「ラ……でも、ちょっとだけ濁ってる」


 その答えに、水は小さく笑った。「濁ったラか。なんか、雨が降る前みたいな気分だな」


 青の指がぴくりと動き、スケッチブックの余白に細かな数字を走らせた。


 「そう……君の声、今、321Hz」


 水は目を見開いた。「それ、測ってるの?」


 「感じるの。音が形で見える」


 言葉はたどたどしく、けれど真っ直ぐだった。青の瞳は、どこか遠い景色を見ていた。


 「じゃあ、僕の“好き”って声も、形にできる?」


 ふいに水が言った。


 青は驚いたように彼を見たあと、少しだけ目を伏せ、そして小さな声で「……できる」と答えた。


 その日、青の描いたスケッチには、桜の花びらが音符のように並び、中央にだけ濃い青の線が一本引かれていた。


 水がその意味を聞いたとき、青は首を横に振った。「これはまだ、秘密」


 春の風が、ふたりの前髪をそっと揺らす。言葉は少なくても、想いは確かにそこにあった。








(次回予告) 第二話:「緑の空、赤の瞳」 ―色を見失う少女・赤と、彼女の色を受け止める桃の対話―






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コメント

10

ユーザー

初コメ失礼しますッ_玲衣ちゃんの宣伝から来ましたッ_!作品の感じ(?)めっちゃ好きですッ_! これからもがんばって下さいッ_!

ユーザー

うわ〜いいね〜学校の準備しながら凛音ちゃんの神作を見るのは最高だ〜

ユーザー

うへへえっへへ(((怖いですねこいつ 病気パロって美味しいね(?)

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