TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

青春

一覧ページ

「青春」のメインビジュアル

青春

1 - 第1話 君の隣は、落ち着くんや

♥

29

2025年06月25日

シェアするシェアする
報告する

春の午後、トレセン学園の裏庭には、少し遅めの桜が風に揺られていた。


「、、、ふぅ」


タマモクロスはベンチに腰を下ろし、ふぅっと息をついた。今日のトレーニングは長丁場だった。軽い疲れを感じるほどには、全力で走った。


「タマモ、ここにいたのか」


声に振り返ると、そこにはオグリキャップがいた。片手には、例のごとくパンを2つ。そのうち一つを、タマモにそっと差し出した。


「、、、はい、これ。君の好きなやつだったはずあっているか?」


「おおきにな、オグリ、よう覚えてくれてたなぁ」


タマモは嬉しそうに笑って、それを受け取った。ふたりは並んでベンチに座る。風が静かに吹き抜ける中で、パンの甘い香りと、木々のざわめきだけが辺りに落ちていた。


しばらく黙って食べたあと、タマモがぼつりとつぶやいた。


「、、、オグリ、最近ちょっと優しすぎるんちゃう?」


「そうか?」


「なんや、こうして隣に来てくれたり、好みのパン持ってきたり、、、心配してくれてるんやろ?」


オグリは少しだけ目を伏せた。桜の花びらが、彼女の銀の髪にひとひら落ちる。


「、、、君が、頑張ってるのを知っているから」


「、、、オグリ」


タマモは照れくさそうに笑って、オグリの肩にもたれた。


「うち、昔は誰かに頼るの、ちょっと苦手やった。でもな、、、オグリの隣はなんや落ち着くんよ」


オグリは少しだけ顔を赤らめたが、タマモの頭をそっと支えるように。


「、、、君の隣も、私にとって、、、大事な場所だ」


言葉がなくても、心がつながる―そんな春の午後だった。

loading

この作品はいかがでしたか?

29

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚