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2 - 第2話 桜より、きみに見とれていた

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2025年06月26日

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春の陽気に誘われて、トレセン学園では年に1度のお花見会が開かれた。


そんな賑やかな中―少しだけ離れた場所に、二人の姿があった。


「こっち、人少ないな。オグリ、ええ場所をつけてくれたなぁ」


「、、、桜がよく見える、静かな場所を探したかったんだ。タマモと一緒に、ゆっくり見たくて」


タマモクロスの頬がふわっと赤らむ。桜の下、レジャーシートの上に座るふたり。腰に置かれたお弁当には、タマモの手作りおにぎりが並んでいる。


「ほんま、うちのことよく見ててくれるんやな、、、そない言われたら、なんや照れるわ」


「、、、私も、君といると嬉しい気持ちになる。だから自然と、目が行ってしまうんだ」


白銀の髪と、ふわふわの白い耳に、ひとひらの花びらがひっつく。


「、、、あ」タマモがそっと指を伸ばして、オグリの耳の花びらを取る。


その距離、指先がふれるほどに近い。2人の目が合う。


「、、、きれいやな桜」


「、、、ああ。けど、、、」オグリがふと目を逸らし、少し照れくさそうに言葉を続けた。


「タマモの方が、、、きれい、だと思った」


一瞬、枕黙。タマモの顔がばっと真っ赤のなる。


「なっ、、、な、なにゆうてんの、ほんまにもうっ、、、!そ、そない直球で言われたら、、、」


その中で、ふたりはほんの数秒だけ、黙って顔を見合わせた。


けれど―どちらも、そっと笑い合う。


「、、、オグリ、うち、今すっごい幸せやで」


「私もだ。、、、ずっと、こうしていたい」


春の、日差しの中、静かに、ゆっくりと育っていく想い。ふたりの桜は、今まさに咲き始めたばかりだった。

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