森の中はいつも通り、風になびく葉たちが
「ザワザワ」と音を立てた。
森は静かで寝るのにいいんだよな。
落ちてくる葉は地面に落ちても美しさを絶やさず、それでもどこか果敢なさがあった。
夕方になり、カトは今夜に寝る場所を探した。
すると、木々の間から空がよく見える場所があった。
カトはそこで寝ることにした。
しかし、夜になっても星は見えなかった。
星・・・出てこないかな・・・。
そんな日が何日も続き、カトは元気をなくしてしまった。
「何もしたくない・・・ゆっくり寝たい・・・けどパライダ行きたい・・・。」
カトは元気がないままなんとなくで歩き続けた。
朝も昼も夜も、空を見上げる気力さえ出てこないまま、とぼとぼと歩き続けた。
そんなある日の夜、いつも通り歩いていれば、どこからか強い風がカトの目をつぶらせた。
寒い。
肌寒い風は吹き続け、カトの周りで遊んでいる。
「ビュービュー」となる風の音が耳元で鳴り響いた。
「空を見てみて、綺麗な星がある。明日は頑張れそうだね。」
そんな優しい女の人の声が聞こえた気がした。
カトは夜空を見上げた。
やっと見れた、星。
星を見たカトには元気が戻っていき、周りのほんのり甘くほんのり湿ったような優しい香りに気づかされた。
「久々に見れる星ってすごい嬉しいよね。」
うん。
でも見れない日はやっぱり悲しい。
「そうだね。悲しい分、やっと見れた星は今までで1番綺麗に見える。カトの1番の思い出って何?」
僕が初めて見た夜空かな。
あのときが1番星がキラキラしてて、星の数が数えきれないぐらいたくさんあった。
「そういえば、カトは月好きじゃないの?」
月は・・・何か好きになれないな。
見守られてる感じはあるけど、でもなんか変な感じがする。
「そうなんだ。私は好きだよ、月。見てるとなんか心が温まる感じ?見ててほっとするような安心感があると思うな。」
ねぇ、君って誰なの?
前も話したよね。
姿は見えないのに声が聞こえるってどういうことなの?
「私はね、スラっていうの。カトに言えるのはそれぐらいかな。じゃあね、パライダで流星群見れるといいね。」
風はすっかり止み、スラの声が聞こえなくなると、静かな夜がカトを迎えた。
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