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【前回のお話】
ショウマ「強く、ならないとね。」
ヴァレン「父さんの……仇だ!!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
絆斗がヴァレンに変身できるようになり、休みが明けた初日。
マミは在宅組のショウマと杏子に、雑用を任せて出かけた。
マミ「じゃあ頼むわね。留守番と仕事、しっかりやるのよ。」
ラキア「放ったらかすと後でダルいことになるからな。」
ガチャ…
杏子「……行っちまったな。」
ショウマ「じゃあ、早速始めようか、杏子。」
杏子「あぁ〜めんどくさい。」
杏子はサボり始める。
ショウマ「ちょっと杏子、ちゃんと働いてよ!!」
杏子「ショウマも一緒に食うかい?」
杏子はそう言ってたい焼きを差し出してくる。
ショウマ「も〜う…」
杏子「牛じゃねぇし…(_;)」
まどか「おはよー。」
仁美「おはようございます。」
絆斗「ちゃす。」
いつも通りの朝……だったハズが、まどかの肩にはキュウべぇが乗っていた。しかも憎い程の笑顔である。
絆斗「あっおまキュ…」
絆斗が喋ろうとするのをまどかが手で塞ぐ。
仁美「キュ?」
まどか「キュ…休憩したいな〜、って。」
仁美「なんだ、そうならそうと言ってくださいまし。(^^)」
まどか「ふ〜。」(ちょっと絆斗くん、何してるの!?)
絆斗(だってよ、一昨日アイツに酷いことされたんだぞ!?ってかいつからテレパシーで会話できるようになったんだよ。)
まどか(その酷いことって?)
絆斗(直に分かる。)
なんとまどかたち4人とキュウべぇは、いつの間にかテレパシーでも会話できるようになっていたのだ。(ショウマと杏子は範囲外)
キュウべぇ「おはよう、さやか。」
さやかもやって来た。
さやか(大丈夫なの、こんなトコロまで連れてきて!?)
絆斗(コイツの声は俺たちとマミさんにしか聞こえないらしいぜ。)
さやか(なら、いいけど…)
仁美「どうかしましたか?さやかさん。」
さやか「い、いや、別に!?アハハ…」
絆斗{……俺が変身できるようになったせいで、仁美との距離はどんどん離れていく…どうすりゃいいんだよ…!}
※ここから()はマミたちに聞こえるテレパシー、{}は心の中で思っている秘匿事項
さやか(やっぱソイツ、あたしたちにしか見えないんだ。)
絆斗(そうみたいだな。)
まどか(考えるだけで、話ができるみたいだよ。)
さやか(あ、あたしたちもう既にそんなマジカルな力が?💦)
まどか(ううん。今はキュウべぇが中継してくれてるみたい。)
絆斗(そうなのか…)
昼間の授業中でも、5人と1匹は、テレパシーを使って会話をしていた。
キュウべぇ(さやか、どうしてさっきあんなこと言ったんだい?)
まどか(どういうこと?)
絆斗(多分、なんでキュウべぇをコッチに連れてきたかってことだと思うぜ。)
さやか(言ったでしょ、この前のアイツ、このクラスの転校生だって。アンタ、命狙われてるんじゃないの?)
キュウべぇ(大丈夫だよ。むしろ学校の方が安全だと思うな。マミもいるし。)
まどか(でも、マミさんは3年生だから、クラスちょっと遠いよ?)
絆斗(それは……そうか。)
すると、3人と1匹のテレパシーを聞いていたマミが会話に割り込んでくる。
マミ(ご心配なく。話は聞こえてるわ。)
絆斗(……よかったな。2人とも。)
マミ(ちゃんと見守ってるから安心して。それにあの子だって、人前で襲って来るなんて真似はしないハズよ。)
絆斗(……確信はできねぇが、今はマミさんの言葉を信じるしかねぇ。)
すると、ほむらがまどかたちの教室に入ってくる。
さやか(げ……噂をすれば影。(_;))
マミ(来たの?)
まどか(は、はい…)
ラキア(だりぃな。)
さやか(気にすんなまどか。アイツが何かしてきたら、あたしがぶっ飛ばしてやるからさ。マミさんも付いてるんだし。)
マミ(そうよ。美樹さんはともかく、私がついているんだから大丈夫。安心して。)
絆斗(……マミさん、そんなにさやかが頼りないんですか??(^_^;)ってかさっきからお前(ラキアのこと)誰なんだよ!)
ラキア(……答えてもどうにもならないだろ。)
絆斗((´Д`)ハァ…面倒くせぇ。)
昼休みは、まどか、さやか、絆斗、キュウべぇの3人と1匹で、屋上に行って昼飯を食べていた。
絆斗は、母・早恵の作る久しぶりの手づくり弁当に涙していた。
さやか「まどか、絆斗、願い事決まった?……絆斗??」
絆斗「……何でもねぇ、続けろ。」
さやか「まどかは?」
まどか「私は、まだ……さやかちゃんは?」
さやか「あたしもまだ。何だかなー、幾らでも思いつくと思ったんだけどなー。」
絆斗「……ホントか?」
さやか「うん。欲しいものもやりたいことも、いっぱいあるけどさー…命がけってトコロで、やっぱ引っかかっちゃうんだよね。そうまでするほどのモンじゃねーよなーって。」
絆斗は休日の出来事を思い出す。母だけではなく、父も亡くしたこと。それがグラニュートの仕業だと知って、もう後がなかったこと。幸果が運命を共にしたこと。そして、覚悟を決めてグラニュートを倒したこと。その経験がある絆斗にとって、今のさやかの言葉は、一言一句が重く響いていた。だが、ここにいる自分も覚悟を決めた身。もう引き返すことはできないのだ。
キュウべぇ「意外だなぁ。大抵の子は二つ返事なんだけど。」
まどか「そうなの?」
キュウべぇ「そうだよ。君たちぐらいの年頃の女の子なんて、それこそ自分だけの夢で押し潰されそうなモノだと思うけど。」
ソレを聞いて、さやかは呑気になる。
さやか「まぁきっと、あたしたちがバカなんだよ。幸せバカ…別に珍しくはないハズだよ。命と引き換えにしてでも叶えたい望みって。そういうの抱えてる人は、世の中に大勢いるんじゃないかな。だから、それが見つからないあたしたちって、その程度の不幸しか知らないってことじゃん。恵まれすぎてバカになっちゃってんだよ。」
絆斗「数日前までは……俺も…その仲間……だった……ゴメン、2人とも。俺、昼飯はやっぱ別のトコロで食べてくるわ。」
絆斗は涙ながらに告げる。悲壮感に耐えきれなくなっていたのだ。
さやか「あっそう。(・・;)……なんで、あたしたちなのかな。不公平だと思わない?こういうチャンス、本当に欲しいと思ってる人は他にいるハズなのにね。」
例えば、前の絆斗のように。
すると、絆斗とすれ違いざまに足音がする。その真っ黒な髪は、まさしく暁美ほむらのモノであった。
さやか「まどか、下がって。」
そしてテレパシーが響いてくる。
マミ(大丈夫。)
見ると、塔の中から、マミが黄色く光るソウルジェムを持ってコチラを見つめている。
絆斗は軽く頷くと、ヴァレンバスターを取りに教室へ戻る。
さやか「昨日の続きかよ?」
ほむら「いいえ、そのつもりはないわ。ソイツが鹿目まどかと接触する前にケリをつけたかったけど、今更もうソレも手遅れだし。」
するとほむらは、今度はまどかに視線を向ける。
ほむら「で、どうするの?貴女も魔法少女になるつもり??」
まどか「わ、私は…」
キュウべぇ「僕は強制はしてないよ。まどかたちも今、迷っているトコロだ。」
さやか「どっちにしろ、アンタにとやかく言われる筋合いはないわよ。」
するとほむらは、一緒視線を降ろしてから、また顔を上げた。
ほむら「昨日の話、覚えてる?」
まどか「う、うん…」
ほむら「なら良いわ。忠告が無駄にならないよう、祈ってる。」
ほむらはそう言って立ち去ろうとする。とその時。
まどか「貴女は、どんな願い事をして魔法少女になったの!?」
その瞬間、ほむらの顔色が変わる。怒り、絶望、悲しみ……ありとあらゆるマイナス感情が入り交じったような表情を見せるも、すぐに元に戻る。
そしてそのまま立ち去って行った。すれ違いざまに絆斗がバスターを持って帰ってくる。絆斗は後ろにほむらが通りすがって行ったのを見て驚いていた。
絆斗「お、お前ら……一体何があったんだ?💦」
辛木田絆斗は、歩きながらコーラを飲んでいた。スマホで待ち合わせ場所を確認する。
絆斗「もうすぐか…」
顔を上げると、目の前のベンチに座ってホットドッグを食べていたマミがいた。
マミ「早かったわね。鹿目さんたちは、まだ来てないわよ。」
絆斗「俺の方が早かった、ってワケですか…」
マミ「じゃあ、鹿目さんたちが来るまで、雑談でもしてましょうか。」
絆斗「あ、ハイ…」
暫くして、漸くまどかとさやかも来た。放課後、少し用事があったようだ。
さやか「すんませ〜ん!!」
マミ「お疲れさま。さて、それじゃあ、魔法少女体験コース第1弾、行ってみましょうか。準備はいい?」
さやか「準備になってるか分からないけど、持って来ました!!」
さやかは金属バットを持って来た。
さやか「何もないよりかはマシだと思って。」
マミ「まぁ、そういう覚悟でいてくれるのは助かるわ。辛木田くんは?」
絆斗「俺はコレです。」
絆斗は専用の銃…ヴァレンバスターを取り出す。
さやか「え、何ソレ…銃!?」
絆斗「コイツの性能は後で分かる。まどかは?」
まどか「え?えっと、私は…」
まどかが取り出したのは、何かのノートだった。
絆斗「ん、ノート?」
まどか「取り敢えず衣装だけでも考えておこうと思って…」
絆斗「……ハハハハハwww🤣」
さやか「ギャハハハハハwww😆」
マミ「フフフフフwww😂」
絆斗「やっぱりまどかのキャラは変わんねぇな。」
まどか「ひ、酷いよぉ!」
絆斗「冗談だよ。」
まどか「……💢」
しかしマミは即座にまどかの殺気を感じ取る。
マミ「ま、まぁ、意気込みとしては十分ね。」
さやか「こりゃあ参った。アンタには負けるわ。」
絆斗「んじゃあ、そろそろ行くか。」
マミ「これが昨日の魔女が残していった魔力の痕跡。基本的に、魔女探しは足頼みよ。こうしてソウルジェムが捉える魔女の気配を辿っていくワケ。」
さやか「意外と、地味ですね…」
魔法少女たちは、ソウルジェムの光で、魔女の存在や距離を知っているのだ。
やがて薄暗いショッピングモールの近くまで来ても、光の明るさは変わらない。
絆斗「見つかんないですね…」
マミ「取り逃してから一晩経っているからね。足跡も薄くなっているわ。」
とその時、レジ袋を持ってコチラへ歩いてくるショウマと杏子を見つける。
ショウマ「あ、マミさん。」
マミ「佐倉さん、ショウマくん。仕事は捗ってる?」
ショウマ「ハイ、何とか…」
杏子「魔女ならアッチにいたぜ、マミ。」
マミ「ありがとう。先にラキアが帰ってるハズだから、家で何かしら出して貰えると思うわ。まぁ、本人にその気があるなら、ね。」
ショウマ「アハハ…ありがとうございます、マミさん。先に帰ってますね。」
マミ「宜しく、頼むわね。」
ショウマ、杏子とすれ違った後、マミたちは魔女探しを再開する。
まどか「あの時、直ぐに追いかけられていたら…」
マミ「気にしなくていいの。仕留められたかもしれないけど、アナタたちを放っておいてまで優先することじゃなかったわ。」
絆斗「……ありがとう、ございます。」
さやか「うん、やっぱりマミさんは正義の味方だ!それに引き換え何だあの転校生は!?」
マミ「まぁ、あの子のことはともかく、今は昨日の魔女を見つけないと。犠牲者が出てからでは取り返しがつかないわ。」
絆斗「犠牲者……?」
さやか「魔女のいそうなトコロに目星とかはないんですか?」
マミ「魔女の呪いの影響で、割と多いのは交通事故や傷害事件よね。だから大きな道路や喧嘩が起きそうな歓楽街は、優先的にチェックしないと。後は、自殺に向いていそうな人気のない場所、それから病院とかに取り憑かれると最悪よ。ただでさえ弱っている人たちから生命力が吸い取られるから、目も当てられないことになる。」
絆斗「マジすか…」
とある廃ビルの裏まで来たトコロで、ソウルジェムの光が今までで一番強くなっていた。
マミ「間違いない、ここよ。」
絆斗「あ、マミさん、アレ!!」
全員が一斉に上を見上げると、会社員らしき女性が屋上から落下自殺を図っていた。
絆斗「危な…」
時すでに遅し。もう死の直前だった。
だが、マミが瞬時に変身してその女性を優しく受け止める。女性は気絶していた。
女性の首には、変な紋章があった。
マミ「魔女の口づけ…やっぱりね。」
絆斗「何すか、ソレ?」
マミ「魔女のターゲットとなった人に現れる印よ。これを受けた人は、さっきみたいな……自滅行為に走る。」
絆斗「……一般人を巻き込んで、最終的に殺すって点は、グラニュートと同じか。」
まどか「そ、その人は…?」
マミ「大丈夫、気を失っているだけ。行くわよ!」
4人は廃ビルの中へ入る。そこには、等身大の、魔女の口づけと同じマークが。4人は順番にその中に入った。
その中は、この前と同じ結界が広がっていた。
マミ「今日こそ逃がさないわよ…!」
マミは不敵な笑みを浮かべながら、さやかのバットを変化させる。
マミ「気休めだけど、これで身を守る程度の役には立つわ。絶対に私の側を離れないで!!」
さやか「は、はい!!」
一方、現実世界では、ほむらが紋章の跡を見つめていた。
絆斗「さぁ、コイツの出番だ!」
絆斗はヴァレンバスターと、事前にキュウべぇから貰ったチョコドンゴチゾウを取り出す。
『チョコ!』『SETチョコ! SETチョコ!』
クラックジャッキを閉じる。
『Wow! Wowwow!!』
絆斗「変身!」
トリガーを引いて、変身。
『チョコドン! パキパキ!!』
まどか「凄い……絆斗くんまで変身するなんて……!」
さやか「アンタ変身できたなら早く言いなさいよ!!」
絆斗→ヴァレン「アハハ、悪ぃ悪ぃ。んじゃ、ちょっくら暴れるか!!」
結界の中には、この前のカイゼル髭や、オバケのようなカラダに蝶の羽がついた使い魔(以下「蝶の羽」と略)がいた。だが、マミやヴァレンが銃撃でそれらを悉く殲滅する。まどかやさやかはとても心強かった。
さやか「わわ、来んな!」
マミ「どう?怖い、3人とも??」
さやか「な、何てことねーって!!」
ヴァレン「楽勝だな!!」
まどか(怖い……でも……!!)
キュウべぇ「頑張って!!もうすぐ結界の最深部だ!!」
ヴァレン「じゃあもうひと踏ん張りだな…てかおまいつからいたんだよ!!」
キュウべぇ「杏子たちについて行ったんだ。君たちがすれ違ったときに、乗り換えたのさ。」
ヴァレン「……全く、呆れたヤツだ。」
ヴァレンはバスターを振り回し、使い魔を倒しながら言った。
と同時に、使い魔の後ろの、無数の扉が次々と開け放たれていき、遂に魔女本体の姿が垣間見えた。
ヴァレン「アイツがボスか……ボス戦にはうってつけの広い空間だな!!」
薔薇園の魔女。性質は不信。なによりも薔薇が大事。その力の全ては美しい薔薇のために。結界に迷い込んだ人間の生命力を奪い薔薇に分け与えているが、人間に結界内を踏み荒らされることは大嫌い。
さやか「うわっ……グロ……!!」
その魔女の見た目は、薔薇園の中に佇む、ドロドロの頭に薔薇が沢山付いた、蝶の羽を生やした『バケモノ』だったのだ。
ヴァレン「俺が想像してたのは、もっと「絶世の美女」みたいなヤツだったんだけどな…」
まどか「あんなのと…戦うんですか?」
マミ「大丈夫。負けるモンですか。辛木田くん、貴方は使い魔を中心にお願いするわね!」
ヴァレン「分かりました!!」
マミはさやかのバットでリボンの壁を作り、まどかとさやかを保護した。
マミとヴァレンは着地と同時に使い魔を一掃する。
ヴァレン「あり?」
すると魔女が2人に気づき、コチラを見つめてきた。
ヴァレン「あっ、やっべぇー…怒らせちまったパターンかコレ。まぁでも、やるしかねぇ!!」
ヴァレンはバスターを構える。マミもスカートの中からマスケット銃を2丁召喚する。
拮抗状態を破ったのは魔女だった。巨大な椅子を2人に向けて打ってくるが、上手く躱し、逆に集中砲火を浴びせる。
マミは消耗品のマスケット銃を地面に大量召喚し、1丁ずつ消費していく戦法、ヴァレンは一発一発の威力が弱いので連射で応戦していく。
だが、薔薇園の魔女も負けず劣らず、殆どの弾を回避していく。ソレにムカつくヴァレン。
ヴァレン「避けんな!コッチは集中してんだ!!💢」
すると、ヴァレンが怒っている間に、大量の使い魔がマミの足元に…だが横から援護射撃が割り込んできた。マミが銃撃の飛んできた方を見ると、ヴァレンがバスターを構えていた。
ヴァレン「マミさん言っただろ?使い魔は任せたって!」
マミ「ありがとう辛木田くん。コッチも行くわよ!!」
すると使い魔は集合して蔦のようなモノになり、マミを巻いて吊るし上げる。更に、マミを壁に叩きつけることまでした。抵抗して撃った銃弾も虚しく地面にのめり込むだけ―ヴァレンはマミを助けるためその使い魔たちに連射する。
ヴァレン「どけ!マミさんの邪魔をするな!!」
しかしマミはヴァレンたちに不敵な笑みを浮かべる。
マミ「大丈夫。未来の後輩たちに、あんまりカッコ悪いトコロ見せられないものね。」
すると、外れて地面にめり込んでいる銃弾から黄色いリボンが出てくる。コレを発動させるため、わざと外した銃弾だったのだ。そして地面の薔薇を散らしてから、魔女の体をそのリボンで縛る。魔女や使い魔は気が動転してしまったようだ。
マミ「惜しかったわね。」
ヴァレン「すげぇ…じゃなくて、一緒に決めましょう、マミさん!!」
マミ「ええ!」
ヴァレンはバスターのクラックジャッキを開く。するとバスターの先端にエネルギーが溜まっていく。マミは巨大なマスケット銃を召喚し、魔女に狙いを定める。
ヴァレンがバスターのクラックジャッキを閉じると、溜まったエネルギーがチョコの球に変化する。ヴァレンはその照準を魔女に合わせる。
ヴァレン「トドメだ!」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
『チョーコードーン!!』
チョコの球とマスケット銃の銃弾が同時に魔女に直撃すると、魔女は粒子となって消えた。
ヴァレン「ふぅ…💦」
さやか「か、勝ったの…?」
まどか「凄い…」
すると結界は消滅し、元の廃ビルの風景に。マミは近くに落ちていた黒い卵のようなモノを拾う。
マミ「これがグリーフシード。魔女の卵よ。」
さやか「た、卵?」
マミ「運が良ければ、時々魔女が持っていることがあるの。」
ヴァレン「んなん、持ってて大丈夫なんすか?」
キュウべぇ「大丈夫。その状態では安全だよ。むしろ役に立つ貴重なモノだ。」
すると、マミが自身のソウルジェムをみんなに見せる。
マミ「私のソウルジェム、ゆうべよりちょっと色が濁ってるでしょ?」
ヴァレン「あホントだ。」
マミ「でも、グリーフシードを使えば、ほら。」
すると、ソウルジェムの濁りがみるみるグリーフシードへ吸い込まれていくではないか。コレは刮目しないと勿体ない。
マミ「ね?」
ヴァレン「マジか……残念ながら俺たち仮面ライダーにはそんな機能ないんだよな〜…」
マミ「これで消耗した私の魔力も元通り。前に話した魔女退治の報酬ってのが、コレ。」
ヴァレン「……なるほど。でもそのグリーフシード、どことなくソウルジェムに形が似ているような…」
さやか「絆斗、ソコは突っ込んだら負けだよ。(_;)」
ヴァレン「アハハ、悪ぃ悪ぃ。」
するとマミは、グリーフシードを暗闇の中へ放り投げる。その先から出てきたのは……黒髪の魔法少女、紛うことなき暁美ほむらだった。
さやか「あ、アンタ!!」
マミ「あと一度くらいは使える筈よ。貴女にあげるわ、暁美ほむらさん。」
だが、ほむらは黙ったままである。
マミ「それとも、人と分け合うんじゃ不服かしら。丸ごと自分のモノにしたかった?」
すると、ほむらは何を思ったのか、無言でグリーフシードをマミに投げ返す。
ほむら「貴女の獲物よ。貴女だけのモノにすればいい。」
マミ「そう…ソレが貴女の答えね。」
すると突然、一行とほむらの間に、張り詰めた空気が流れる。一歩でも動けば、それは戦闘開始を意味する。
ヴァレンも念のためバスターを構える…が、ほむらは何も言わず立ち去っていった。
さやか「くー!やっぱ感じ悪いヤツ!!」
まどか「……みんな、仲良くできないのかな…」
マミ「……お互いに、そう思えれば、ね…」
ヴァレン「やっぱ人間関係って、難しいんだな…」
一行はさっき魔女の口づけを受けていた女性のもとへ向かった。
ヴァレン→絆斗「大丈夫、すか…?」
女性「ここは……アレ、私は!?」
すると、女性はさっきまで自分が何をしていたのか思い出し、嘆いた。
女性「や、やだ……!私、何で……!?そんな、どうしてあんな事!!?」
絆斗「ちょっ、落ち着いてください!」
どうやら、口づけを受けている間も、意識は残っているようだ。
マミ「もう大丈夫です。ちょっと悪い夢を見てただけですよ。」
マミの言葉を聞いた瞬間、女性はその柔らかな腕に泣き崩れた。まどかたちも安堵する。
絆斗「はぁ、良かった…でも、どうしてマミさんは魔法少女として戦っているんだろう…マミさんの願い事って、何だったんだろう…??」
そしてその夜も、絆斗は眠ることができなかった。それは、さっきモヤモヤした疑問がもう一つ残っていたからだ。
絆斗「どうして、グリーフシードはあんなにも形がソウルジェムに似てるんだろう…?」
この時絆斗たちはまだ知らなかった。その秘密に隠された、魔法少女の残酷すぎる運命を…
第7話「薔薇園、チョコに侵されり。」