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街の灯りが薄く揺れる夜、私は窓からあなたを見ていた。向こう側の公園で、あなたは友達と笑い合っている。
私の胸は、どうしようもなくざわついた。
「どうして……私じゃだめなの?」
小さな声で呟く。指先は震えていた。
あの笑顔は私だけのもののはずなのに、他の誰かに向けられている――許せなかった。
翌日、学校であなたが誰かと話しているのを見た。
目の奥の光がぎらりと変わる。
放課後、私は教室の隅に座り、あなたの筆箱に小さな紙を忍ばせた。
そこにはただ一言――
「私だけのあなたでいてね」
あなたは笑って、それを拾った。でも、その笑顔が私をもっと狂わせる。
夜になると、私はあなたの家の前に立ち、窓の光を見つめた。
誰もいないのに、心臓がどきどきする。
あなたの生活のすべてを知りたい――ただそれだけ。
ある日、友達があなたに声をかけて笑った。
私は耐えられなかった。
翌朝、机の上に友達の写真が散らばっていた。
角が切り取られ、目が赤いペンで塗り潰されている。
その中には、あなたの写真が一番大きく、真ん中に置かれていた。
「これで、私だけのあなた……」
あなたはまだ気づいていない。
でも、いつか私の気持ちを理解してくれるだろう。
それまで、私はずっと見守る。
あなたが笑えば、私も笑う。
あなたが泣けば、私も泣く。
そして、あなたが振り向いた瞬間――私の世界は、あなたで満たされる。
暗闇の中で、私は微笑む。
刃物の冷たい感触を指先で確かめながら。
「ねぇ、私だけを見て」
その夜、あなたの部屋の窓は少しだけ開いていた。
私はそっと中に入る。
もう、誰にも邪魔はさせない。
――私とあなただけの世界で、生きていくのだから。