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#君話長いんだよね
永遠に寝たい
115
#ぺいんと愛され
Nera🍀︎❄🐈⬛
267
朝食を食べ終えた僕たちは、食堂を出た。
pn「ごちそうさまでした」
rd「ごちそうさまー」
ru「お粗末さまでした!」
みんながそれぞれ食器を片付けていく。
僕も自分の食器を持ち上げた。
pn「これ、どこに置けばいい?」
ru「そこに置いてくれれば大丈夫だよ」
pn「分かった」
言われた場所に食器を置く。
昨日までは何もかもが知らない場所だったのに、少しずつこの館での生活が分かってきた気がする。
そんなことを考えていると、後ろから声をかけられた。
rd「ぺいんと」
pn「ん?」
振り返ると、らっだぁが立っていた。
rd「このあと暇?」
pn「特に予定はないけど」
rd「じゃあ、館の周りでも見てみる?」
pn「館の周り?」
rd「うん。昨日は来たばっかりだったし、ちゃんと見てないでしょ?」
pn「確かに」
昨日はきたばっかということもあって、館の中を少し見て回ったくらいだった。
外がどうなっているのかは、ほとんど知らない。
pn「行ってみたい」
rd「じゃあ決まり」
ru「俺も行く!」
md「ボクモイク!!」
kn「じゃあ俺も」
kyo「ほんなら俺も行くか」
pn「みんな来るんだ」
rd「まあ、暇だからね」
kyo「お前はいつでも暇やろ」
rd「失礼だなぁ」
二人のやり取りに、思わず笑ってしまう。
こうして僕たちは、館の外へ出ることになった。
_____________________
外へ出ると、暖かな風が頬を撫でた。
朝の空気は少し冷たかったけれど、太陽が高くなってきた今は過ごしやすい。
館の周りには、木々が広がっている。
少し先には森も見える。
pn「……広いな」
ru「でしょ?」
pn「うん。昨日は暗くて全然分からなかった」
rd「この辺は結構静かなんだよ」
pn「人はあんまり来ないの?」
rd「ほとんど来ないね」
pn「そっか」
周囲を見渡す。
聞こえるのは鳥の鳴き声と、木々が風で揺れる音くらい。
静かで、落ち着く場所だった。
そのまま歩いていると、少し先に湖が見えてきた。
pn「湖?」
ru「そう。結構綺麗でしょ?」
pn「うん」
湖の水面には青空が映っている。
僕は湖の近くまで歩いていき、水面を覗き込んだ。
そこには自分の顔が映っていた。
pn「……」
少し癖のある髪。
見慣れた自分の顔。
そして、首元から覗くペンダント。
僕は無意識にそれへ触れた。
このペンダント。
pn「……」
ペンダントを握る。
すると、ほんの一瞬。
水面に映った自分の姿が歪んだ。
pn「……え?」
水面に映っていたのは、今の自分ではなかった。
もっと小さい。
幼い頃の自分。
その隣に――誰かがいる。
pn「……!」
思わず顔を上げた。
けれど、目の前にはいつもの湖しかない。
もう一度、水面を見る。
そこに映っているのは、今の自分だけだった。
pn「……気のせい?」
rd「ぺいんと?」
pn「うわっ!」
突然声をかけられて、僕は飛び上がった。
rd「ご、ごめん。そんな驚く?」
pn「いや……ちょっと考え事してて」
rd「そう?」
らっだぁが僕の隣に立つ。
そして、何も言わずに湖を眺めた。
僕も同じように水面を見る。
風が吹くたびに、水面がゆっくりと揺れている。
さっきまで見えていたものは、もうどこにもない。
ただ、青い空と僕の姿が映っているだけだった。
しばらく二人で湖を眺める。
静かな時間だった。
僕はふと、さっきのことを思い出す。
幼い自分。
そして、その隣にいた誰か。
顔は見えなかった。
けれど、あの声だけは妙に鮮明に残っている。
『大丈夫だから』
pn「……」
どうして、あの声を聞くと安心するんだろう。
そんなことを考えていると、隣から声がした。
rd「ここ、結構綺麗だよね」
pn「うん」
rd「俺、ここ好きなんだよね」
pn「そうなんだ」
rd「静かだし。何か考えたいときとか、よく来る」
pn「……分かるかも」
また少しの沈黙が落ちる。
僕は自分の胸元に触れた。
指先に、ペンダントの冷たい感触が伝わってくる。
そして、ふと口を開いた。
pn「ねえ、らっだぁ」
rd「ん?」
pn「魔法使いってさ、やっぱり魔法が使えると便利なのかな」
rd「まあ、便利じゃない?」
pn「そっか……」
僕は自分の手を見る。
魔法使いなのに、僕には魔力がない。
だから、魔法を使うこともできない。
それは昔から分かっていることだった。
分かっている。
何度も自分に言い聞かせてきた。
けれど。
pn「……ちょっと羨ましいな」
rd「魔法が使えるのが?」
pn「うん」
少しだけ笑う。
pn「僕も一度くらい、使ってみたかった」
rd「そっか」
らっだぁはそれだけ言って、湖の方を見た。
何かを考えているようだった。
そして、突然立ち上がる。
pn「?」
rd「じゃあ、そんな魔法の使えないぺいんとに、いいもの見せてあげる」
pn「いいもの?」
rd「うん」
らっだぁは近くに咲いていた小さな花の前にしゃがみ込む。
そして、そっと手を伸ばした。
rd「“ブルーム”」
指先から淡い光が生まれる。
それは小さな光の粒になって、ゆっくりと花へ降り注いだ。
すると。
閉じていた花びらが、一枚。
また一枚と、ゆっくり開いていく。
最後には、花の中心から柔らかな光がこぼれた。
pn「……すごい」
思わず声が漏れる。
rd「でしょ?」
らっだぁは嬉しそうに笑った。
僕は花から目を離せなかった。
綺麗だった。
ただ花を咲かせただけ。
それなのに、どうしてこんなにも心が動かされるんだろう。
pn「……魔法って、すごいね」
rd「うん」
らっだぁは花を見ながら、静かに口を開いた。
rd「俺はさ」
pn「?」
rd「魔法って、誰かを傷つけるためだけのものじゃないと思うんだよね」
pn「……」
rd「こうやって花を咲かせたり」
咲いた花を見つめる。
rd「誰かを笑わせたり」
そして、僕を見る。
rd「誰かを安心させたり」
その言葉に、胸が少しだけ揺れた。
rd「そういうことができるのも、魔法なんじゃないかなって」
pn「……」
rd「でもさ」
らっだぁは少しだけ笑った。
rd「それって、魔法がなくてもできると思わない?」
pn「……え?」
rd「花を咲かせることはできなくても」
らっだぁは僕の目をまっすぐ見る。
rd「誰かを笑わせることはできる」
pn「……」
rd「誰かを安心させることだってできる」
その言葉が、胸の奥にゆっくり染み込んでいく。
rd「ぺいんとは、もうできてるよ」
pn「僕が……?」
rd「うん」
少し照れたように笑って、らっだぁは続ける。
rd「昨日も今日も、俺たちと話して笑ってたでしょ」
pn「……」
rd「それだけでも十分だよ」
僕は何も言えなかった。
魔法が使えない。
そのことが、ずっと自分の中で小さな引っかかりになっていた。
魔法使いなのに。
魔力がない。
何もできない。
そう思っていた。
でも。
魔法が使えなくても。
誰かを笑わせることならできる。
誰かのそばにいることならできる。
そんな当たり前のことを、今まで考えたこともなかった。
rd「だから、大丈夫」
その言葉を聞いた瞬間。
胸の奥が、大きく揺れた。
『大丈夫だから』
pn「……っ」
頭の中に、あの声が響いた。
一瞬で景色が遠のく。
暗い場所。
小さな自分。
誰かの手。
そして――
『俺がいるから』
pn「……」
息が詰まる。
同じ言葉。
同じ声。
なのに、今聞いたらっだぁの声とは違う。
違うはずなのに。
なぜか重なって聞こえた。
pn「……」
目を開ける。
目の前には、らっだぁがいる。
pn「……らっだぁ」
rd「ん?」
pn「……いや、なんでもない」
rd「そう?」
らっだぁは不思議そうに僕を見る。
僕も、らっだぁを見る。
どうしてだろう。
昨日初めて会ったばかりなのに。
この人の声を聞いていると、妙に懐かしい。
胸の奥が、ずっと前からこの声を知っていると言っている。
まるで――
ずっと昔から、僕のそばにいた人みたいに。
pn「……」
そんなはずはない。
僕たちが会ったのは昨日が初めてだ。
少なくとも、僕の記憶では。
それなのに。
rd「……ぺいんと?」
pn「……うん?」
rd「どうしたの?」
pn「……なんでもないよ」
そう答えて笑う。
けれど、胸の奥に残った違和感は消えなかった。
むしろ。
さっきまでより、ずっと大きくなっていた。
コメント
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第6話読んだよ!湖のシーンでペンダントに触れたときに過去の記憶?がフラッシュバックするところがすごく気になった…「大丈夫だから」って同じ言葉が重なる演出がじわじわくるね。らっだぁが魔法で花を咲かせるシーンはすごく綺麗で、戦闘じゃない魔法の使い方にぺいんとが心動かされてるのが伝わってきた。俺も「魔法がなくても誰かを笑わせられる」って言葉にちょっとグッときたわ。続き楽しみにしてる🔥