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「ん・・・」
「おはよ、よく眠れた?」
はてさてどうしたものだろうか。私は悟に眠る前、帰っていいと言ったはずなのだが・・・。むしろなんかヒートアップしている気もする。鳥の巣のごとくブランケットや毛布、布団がかかっており、上半身しか動かせない。
「悟」
「ん?なになに?」
「この状況はなんだ?」
「この状況って、ベッド?」
無言でうなずくと、あーそれね、みたいな感じで悟が説明をはじめた。
「だって真希さ、自分で布団取ったくせに寒い寒いって言って丸まるんだよ?かわいいけど風邪ひいたら困るし、すぐ布団取っちゃうからこうなったってわけ」
「・・・」
反論のしようがない。確かに途中なんか寒いなー、ぐらいの気持ちはあったかもしれない。いや、絶対あった。絶対。
「動けねえ」
「せっかくかけたのに!?取っちゃうの?」
「動けないのは不自由だろ」
「しょーがない。どこ行きたい?」
「喉乾いた」
「まったくもう・・・」
悟は布団を軽くのけて、私の腰と膝裏に手を回す。
「ちょ・・っ」
これはいわゆるお姫様抱っこというやつでは?
いやいやちょっと待て。なんだこの状況は。違う違う、何かの間違いだ。うん、そう。間違ってる。悟が私をこう、抱えてるのは、ないから!ない!絶対!ないから!夢だから!
「まーきー?ぼーっとしてるー?」
夢じゃなかった!!!
おでこに手を当てられている。このシチュエーションは恋人同士がやるものなんじゃないだろうか。教師と生徒がやっていいことじゃない。
「お腹痛い?あ、でもしゃべれないほど痛いんだったらしゃべらないで」
「しゃべれるけど」
「ほんと?よかった~。どう?まだどっか辛いとこある?」
頭痛が少しだけするような気もするけれど、このくらいは大丈夫だ。
「もう大丈夫だ」
「・・・嘘吐いた」
「吐いてねーし」
「吐いたよ。わかる。僕わかるから」
だから教えて、と優しい声で言われる。
「・・・ちょっとだけ、頭痛い」
「ほんとにちょっと?」
「ほんとに!」
「ならいいよ。はい、水」
「ん、ありがと」
布団は暑かったし、悟の気遣うような視線はうざったらしかったけど、その空間は心地よかった。
理由はわからないし、予想はつくけど、まだ知りたくない。
それまでは悟を頼っていこう。
stay tuned.