「クソッ!」
すまない先生は剣で、Mr.ブラックは電磁砲が形を変えた盾で、その他の生徒も各々の方法で毒の矢を防ぐ。しかし、その防御も鉄壁ではないし、いつかはどちらかが負ける。
「……くっ……」
ついに致命的せめぎ合いに決着がついた。すまない先生が矢を防ぎ損ね、腕に一発矢を喰らってしまったのだ。すまない先生がフラフラとよろめき床に倒れ込んだ。
「すまない先生!……っ……痺れ毒ですか……」
致死性は無くとも今この状況で戦闘要員が減るのはかなりのマイナスだ。盾を半球状のバリアに組み換え、傷から流れた血を片っ端から色んな薬物検査にかける。しかしどれにも引っかからない。
(……人工的に合成された毒ですか……)
これでは持ち合わせの解毒剤は効かないし即席で作るにしても、何を原料にしているのか分からないため迂闊に作れない。
(……先生を庇いながらこの矢の雨を掻い潜るのは流石に難しい……どうしたら……)
その時、矢の雨が止んだ。ディスペンサーの数はえげつないので矢が尽きたわけでなく、誰かが意図的に止めたのだろう。
(……矢が止まった……?)
ブラックはバリアを解除し、電磁砲に戻す。他に矢を喰らったメンバーはいないらしいのですまない先生を背負いながら早足に次のエリアへと足を運んだ。
「まずは一人……最初に最大戦力のMr.すまないを戦闘不能に出来たのは大きかったな」
トアールはずっと高みの見物を決め込んでいた。実際は監視カメラを介しているものの、見る側としては非常に面白いものである。
「さーてと、次の部屋のトラップはどれだったっけなー?」
トアールは心底楽しそうに遠隔装置を探しているが、そんなトアールを見てリデルは頭を抱えてしまった。
(次の部屋のトラップは遠隔装置いらないのですが……)
数秒探してその事に気付いたのかポンと手を打つと再び玉座に腰掛けて監視映像に目を落とした。少ししてトアールはリデルの方に目を向けると『さっきの事は黙っておいてね』というように人差し指を唇に当てて、恥ずかしげに微笑んだ。
ギィィィ……
「次はここですか……っ!」
目の前にあるのは踏むと爆発する、感圧板の列だ。それを見て一目で理解する。
(高速で走り抜けなければならないタイプですか……)
そしてそこで相手の狙いを悟った。ここですまない先生とブラックを置き去りにさせる気なのだ。普段のブラックならこの程度簡単だが、今はすまない先生を背負っている。とは言え他のメンバーに預けても結果は同じ、誰かが行けないという状況が生まれるだけだ。だからと言ってここにすまない先生だけを置き去りにするなどは言語道断である。
(どうにか……どうにか、全員が突破できる方法は無いのでしょうか)
ブラックはひとつの方法を思い出した。パソコンを取り出し何かを打ち込みEnterキーを押す。しばらくすると何かが飛んで来た。ブラックが開発したブラックイーグルだ。
「電波が届いて良かったです……」
ブラックはすまない先生をブラックイーグルに任せ、自分は感圧板の並ぶTNTトラップを駆け抜けた。
「皆さんも早く来てください!」
さっきまでどうやってすまない先生を連れて行くか、悩んでいたのが嘘のような切り替えの速さに苦笑して、他のメンバーもTNT ranに挑んだ。
コメント
4件
やった!ありがとー!楽しみにしてたんだよねこの作品! ブラックイーグル万能だな…ほんと すまない先生大丈夫?!生きてる?!痺れ毒は厳しいって… 皆が無事なことを祈る
Wow…..言葉にできない..... というか、すまない先生が行動不能に!?
おおおお!すご!好きぃ!