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11.14

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11.14

1 - 11.14

♥

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2024年11月13日

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「仁人さんってリーダーさんじゃないですか」

「んぁ?あぁ」

「リーダーさんってどんな感じなんですか?」

「なに?潤ってリーダーだっけ?」

「違いますよ〜俺はだだの最年長っです!」

「じゃ、聞くな。どーもこーもねぇよ」


仁人と潤の会話が聞こえてきて咄嗟に近くにあった柱に身を隠す。

盗み聞きはよくねぇとは思うけど、仁人の想いは聞いてみたい。


「知っときたいんすよ!リーダーの心得的な?…最年長として」


最後のセリフだけ潤から普段聞くことのないような真剣な声が響く。


「…リーダーらしいことなんてしてねぇし、あてになんねぇぞ」

「はい!」


声だけできらきらと輝く笑顔を仁人に向けているのがわかる。

なんだかんだ言いながら潤のことを気に入ってる仁人は潤を無碍には扱わない。


「つってもな…ほんっとになんもしてないのよな……」


んなことねぇだろ。


「だってさ、M!LK10周年よ。今更、あいつら引っ張ってるとかないのよ。だって、実際さ、M!LK引っ張ってんのって勇斗じゃん」


俺?


「M!LK有名にするんだって、M!LKでドーム立ちたいって先陣切ってくの。すげぇーなって思うのよ。俺は想ってても言えないタイプだからさ。勇斗が鼓舞してくれてるからM!LKの士気が上がってるってすげぇ感じてるし、ありがたいなって思ってる。ま、無茶もするし、背負いすぎてんなってのはあるけど」


だから、お前が俺のブレーキなんだろ。

ブレーキバカ。


「佐野さん、んなところでなにしてん」


背後から急に声をかけられて心臓が飛び出るほどビビりながら振り返るとそこには太智がいて。


「しっ!静かにしろ」

「なんやなんや。なに面白そうなことしよん」


いつものにやにや顔をしながら太智が近づいてくる。

で、俺の視線の先を見て。


「吉田さんやん」

「静かにしとけ」


太智を黙らせて、仁人に視線を戻す。


「んでさ、太智。いや、塩﨑さん。彼もほんとにすごいよ」


太智が自分の顔を指さしながら俺?とアピールしてくるのを無視して仁人の話に耳を傾ける。


「普段だったら、絶対言わない。本人には絶対言わない。潤も内緒な?」

「はい」


「内緒な」の声が優しすぎて、太智と顔を見合わせる。


「彼はM!LKの中でも1番エンターテイナーなのよ。1番アイドルなのは勇斗だと思ってるけど、M!LKの基盤で、核で、芯は塩さんだね。M!LKが一番輝けるステージを毎度、すっごいの。んで、俺らも楽しいけど、み!るきーずの楽しいも幸せもおいていかない。太智の作るステージに立ててるのが幸運なくらい。あいつは、ほんとにすごい」


こんなに流暢に自分について話す仁人を見るのは初めてだと太智は目をまん丸にする。


「はやちゃん、だいちゃんなにしてるん」

「そろそろ、時間だよ」


舜太と柔太朗の声に太智と二人で全力でしーっと唇に指をあてる。


「なによ?よっしー見てない?」


二人で潤と仁人の方を指さす。


「いんじゃん。よしだ……」


仁人に声をかけようとする柔太朗の口を急いで塞ぐ。


「なんよなんよ。お二人さん、そんな慌てて」


また、二人で唇に指をあててしーっとする。


「佐野さんと太智、二人とグループ続けれてよかったってまっじで思ってるし、柔太朗と舜太が入ってきてくれて、あーまだまだM!LK捨てたもんじゃねぇなってのも思えた」


仁人の声に四人とも静かに聞き耳を立てる。


「柔太朗ってさ、ほんとは熱い奴だよな。んで、負けず嫌い。クールな感じ出してるのに」

「そうなんすか?」

「なんで、お前んが知ってんだろ!」


潤と二人で笑う仁人。


「それが、M!LKにとってはいいアクセントになってんのかなとか思ったり。あと、柔太朗の作る衣装、いいのよ。まじで。全部。結構個人の好みってか、似あうに重きをおいて作ってくれてるなって。ライブってだけでテンション上がるけど、衣装でさらに一段階ギアが上がる感じ」


柔太朗の口角が上がってニマニマ顔。


「舜太は元気!」

「…っぇ…」


仁人の一言に舜太の心の声がもれる。


「元気っつても、空元気とか無駄な元気じゃなくて、ほんとにハッピーって感じでさ。M!LKになかった明るさ。言葉にするのは難しいけど、心まであったかくなる感じ。俺は結構、舜太の明るさに救われてたりするな。舜太の凄さって、明るいだけじゃなくて、あれで頭いいんだぜ?あいつの努力、すっごいよ」


あんま、仁人から聞くことのないメンバーへの想い。


「だからさ、思うのよ。リーダーなんて名ばかりで支えられてんのは俺ばっかだって。なんか、返せてんのかなーって。でも、それでも、俺は、この五人でステージに立ちたいって思ってるからここにいる。結局リーダーらしいことなんてなにもできてないけど」


んなことねぇよ。ばか。

いますぐ、後ろから頭ひっぱたいてそう言ってやりたい。


「いや~いいリーダーさんすねー仁人さん」

「は?潤、お前、話聞いてたか?」

「聞いてました。聞いてました。僕にはわかりました!仁人さんはいいリーダーさんです!」


なぜか一番自信満々に言い切る潤に四人で噴き出す。


「俺は、お前がわからんわ」


仁人は自分で気づいてないだけ、いや、気づきたくないだけで、いいリーダーでいい先輩だよ。

仁人が自分で自分を認められないなら、いくらでも俺たちがそばにいてお前はすごいって言ってやる。

口に出さねぇだけで俺たちメンバーのことが大好きな仁人が「楽しい」って思えるドーム目指そうぜ。

M!LKなら、この五人ならできる。

仁人がリーダーのこのM!LKでドーム立とう。




END

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コメント

2

ユーザー

うわ、さいこうすぎます、🥹🥹 あとおかえりなさい!!🙂‍↕️🙂‍↕️

ユーザー

言葉にならない程愛おしい…🥹🩵

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