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小さい頃からおれは裕福とは言えないがごく普通の家庭の生まれだった。が、
それは外から見たらで中から見れば反吐が出るほど臭いものだった。
親父は酒の飲んだくれ
母親は1年に数回しか返ってこないゴミ
近所のおっさんやおばさんらの目線が合ったら挨拶するだけで評判があがる。
世の中楽なもんだな。こう見えて信じ難いと思うが俺には前世の記憶がある。
話したら長くなるし、いいことなんて1つしか無かったから話さない。それくらい大切ないい思い出なのだから。
今日この日は母親が帰ってくる日らしい。親父がスマホの画面を見ながら気持ち悪い笑みを浮かべおれに話してきた。クソ気色悪いんだよ話しかけんなと心の中で言い「よかったね」とにっこりしながら言うと親父が「お前は本当にいい息子に育ったなぁ。」とか何とか言ってきた。気持ち悪くて気持ち悪くて、そこから離れたくて俺は外に出てコンビニに寄りトイレで吐いた。胃の中が空っぽになるまで吐いた。くっせェんだよ糞ジジイ気晴らしにブラブラと公園の周りを歩きベンチに座った。疲れた。
兄ちゃんがいない世界がこんなにつまらない物だとは思ってもいなかった。
この世界に前世の兄貴がいるかは知らないがまだ探すにはおれの年齢的に幼すぎて難しいからまだ動かない。この世界にいなくても探し続ける。きっとどこかにいると信じて___
「あいたいな、」
『なあ お前が竜胆だよな?』
後ろから昔から.昔からずっと聞いてきた声がし震えながらも後ろを振り向くとそこには兄ちゃんがいた。
「…だれ」
兄ちゃんの顔が見れない。何故おれの名前を知っているのか、何故ここにいるのかよりもこの世界に片割れがいるという事実が衝撃でおれは兄ちゃんのことをしらないふりをする。
正直言ってしまえば見つけないで欲しかった。見つけ出してくれても声はかけないで欲しかった。ほっておいてほしかった。また辛い思いをするから。おれだったらそうする。でも、兄ちゃんだもんなあ__
『灰谷蘭 お前の兄貴だよ。』
なんで、なんで_
「蘭……..おれと同じお花の名前だね。そうだよ。俺が”竜胆”。」
『お前今日から俺と暮らせ。金でもなんでもやる。お願いだからもう1回兄ちゃ….兄ちゃんって呼んでくれない?』
兄ちゃんはいつも勝手だ。昔からの癖は治ってない。焦ったらおれの事をお前呼びすることも必死すぎて笑顔が少し歪んでいるところも、本当に__
変わってないなぁ
「兄ちゃんがおれと一緒に暮らしたいって言うならくらしてやるよ」
ニヤけが止まらない。昔と変わらない兄貴を今このおれはこの目で見ている。この事実だけがおれを満たしてくれる。おれに話しかけたんだから
一生離さないよ