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彼と私は、高校生の時に付き合ってた。
初めての彼氏彼女で、お互いに奥手で……。なんていうか、彼は―――青い記憶として存在していたんだ。
お互い、進学先が違って離れ離れになってしまって消滅しちゃったけれど、私の中には、しっかりと気持ちは残ってたんだ。大人になって何をしているだろう? 元気なのかな? 毎日思い出しては会いたいと思っていた。
そんな買い物帰りの夕暮れの道。
「 なあ……菜穂?」
私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
トクン、と心臓が大きく音を立てる。
ゆっくりと振り返ると、あの時の笑顔のままの彼がスーツ姿でたっていたんだ。
「翔真……?」
「ああ。久しぶりだな」
「まさか、こんなところで……」
「ほんと!びっくりだな! 俺、営業マンやっててさ、エリアがこっちになったんだ。1週間前にここに来た。菜穂は? ここら辺に住んでるのか?」
「う、うん……」
心臓が暴れだして大変だった。顔が赤くなって。
「どした? なあ、ちょっと時間あるならお茶でも飲まないか?」
私、彼に誘われるまま、近くの喫茶店へと入った。