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#記憶喪失
視点:愛染優里
(あれ?なんで私生きて…確か亜樹に殺されたはずじゃ…ていうかここどこ?真っ白で、変な場所…)
そう口にして、あるいは思ったのかもしれない。だが変わらぬ事実はなぜか意識があり真っ白な場所にいるということだ。
(おかしいおかしい、なんで意識あるの?確実に殺されて…)
そこまで思った瞬間、遠くから何かの足音が聞こえた。
カツン、カツン、優里は思わず体を、いや、意識をそちらの方に向けた。
「こんにちは、愛染優里様。私、判決人と申します。」
(何この変なの…)
「何この変なの、そう思いましたね?」
びくっと体を、意識を震わせた。
(な、なんで…)
「人智を超えた存在だからです。あなた方の言葉にすれば、神様、と言ったところでしょうか。」
(か、神様?)
「はい、それで、これから貴女は天国へ行くか地獄へ行くか、はたまた現世|現世(うつしよ)へ戻るか。」
(つまり、生き返れるかもってことですか?)
「仰る通り。ですがそれは生前の行いによって左右されます。」
(そう、なんですか…)
「なにも悲観することはありません。それとも怯えるほど、生前、罪を重ねた記憶があると?」
(は、はい。)
亜樹に対しての暴力には多少なりとも罪悪感を覚えているようだった。今更もう遅いが。
「そうですか。ですがその罪の内容によって左右されます。仰ってみてください。」
(親友を、幼馴染を、まるでサンドバックみたいに、殴って、蹴って、歪ませて、挙げ句の果て、その前で自慰行為を行って…)
「なるほど、貴女はそれに罪悪感を抱いていますか?」
(…はい。)
「そうですか。では問います、貴女は現世へ戻りたいですか?それともこのまま地獄へ送られますか?」
(げ、現世に戻りたいです!)
「わかりました。帰しましょう。」
(!本当ですか!?)
「えぇ、ですが制約があります。」
(な、なんでしょう?)
少し寒気がした。体がないのに。
「その傷つけた人物の夢を叶えなさい。それが貴女を現世へ帰す制約です。」
(夢…?)
「では、頑張ってください。一年以内に達成できなかった場合、問答無用で地獄へ送ります。」
その言葉を聞いた瞬間、目が開いた。体もある。声も出せる。そして眼前には見慣れた天井。
そのとき、視界の右端で何かが動く気配がした。
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