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臣桜
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上野文
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小牧さんたちは、それぞれ大人組、子供(?)組に分かれて歩き始め、私たちもスマホのマップアプリ片手に歩き始める。
多分だけど、彼女たちはこうやって自由時間をもうける事で、私たちに気を遣ってくれているんじゃないだろうか、と感じた。
「この辺、何が美味しいでしょうね~。ご飯様は何でも美味しいですが」
「海鮮はもういったし、喰うなら伊勢うどんとかかな?」
「あー! いいですね! ご当地うどん。そうしましょう」
「内宮のおかげ横町でも、色々あるだろうから適度にな」
「任せてください! アカリンストマック、ブラックホール化を進めています」
「洒落になんねぇな」
「女は知らない所で変わっていくんですよ……」
「知らない所すぎるだろうが」
そんな話をしながら、私たちはお店を見つつうどん屋さんを目指す。
こぢんまりとした昔ながらのお店に入り、めかぶや山かけ、月見などは売り切れているようなので、シンプルな〝伊勢うどん〟を食べる事にした。
勿論、私は大盛りだ。
それでも尊さんの頼んだ普通の伊勢うどんは六〇〇円ぐらいで、大盛りでも千円だから、随分安く感じる。
高齢のご夫婦が営んでいるお店で、店内の雰囲気をじっくり見ていると、五分ほどしてうどんが提供された。
「わぁ~! 美味しそう!」
私は写真を撮ってからいざ、実食し始める。
「んン!」
太めの伊勢うどんはとても柔らかくて、フカフカと言っていい。
なのにちゃんと芯が残っているので、完全に柔らかうどんとも言えず、絶妙なゆで加減だ。
普通の薄味のおつゆのうどんというより、ぶっかけうどんとか、油そば的な感じと言ったら伝わりやすいんだろうか。
底のほうにやや濃い目のおつゆがあり、よく混ぜて食べる。
美味しくてペロッといけるので、大盛りでも足りないぐらいだ。
でも次なる食べ物様スタンプラリーが待っているので、余白を空けておかなければ。
「ごちそうさまでしたー!」
お礼を言ってお店を出たあと、私たちは付近のお店を回り、おやつのぱんじゅうを買い、中にあんこが入った平たい焼き餅、へんば餅と伊勢茶でティータイムにし、おにぎりみたいな三角形の、……今川焼きとか大判焼きとか言われる、ベイクドモチョチョな三方焼きも買った。
餡子、カスタード、チョコレートがあるなら三つともいくのが礼儀なので、ペロッと食べておく。
そして『山村みるくがっこう』で、長方形のプリンが串に刺さった山村ぷりんばーを食べ、瓶プリン、ソフトクリーム、店頭で瓶牛乳も飲ませてもらった。
「よう食ったな」
「……さすがに食べ過ぎですかね?」
心配になって尋ねると、尊さんはポケットからスッと胃腸薬を出す。
「いや、どんだけ食ってもいいんだけど、体は大丈夫か?」
「あっ、いえ、胃は丈夫なので全然いけます」
「まったく頼もしいよ、お前は」
食べたあとにトントンとジャンプすると、そのたびに尊さんは横を向いて笑っていた。
「恵がいたら、ドン引きした目で見ていたでしょうねぇ……」
「中村さんって結構、感情的な忖度をしないよな」
そう言われ、私は「あー……」と納得して頷く。
「もともと恵は〝女子仕草〟が得意じゃないんです。本心じゃないのに『そんな事ないよ~』って褒め合ったりとか。私もそういうのあまり得意じゃないので、馬が合ったんだと思います。……お互い本音で言っているからこそ、傷つける言葉は言わないし、第三者から見れば『えっ? 傷付かない?』っていう言葉でも、私たち二人の間では〝当たり前〟なんです。……そういう空気感になれるまで、やっぱりちょっと掛かりましたけどね。お互い常識人ではあるつもりなので、初手から知らない人にそっけない言葉をぶつけたら、諍いの元になるのは分かっているので」
「あー、なるほどな」
「尊さんはバランス取れてますよね」
「うーん……。一番安らげる場所である家が、針の筵だったから、どこへ行っても傷付かないように、当たり障りのない態度をとる癖がついているんだと思う。学生時代までは孤高ぶっていられたけど、社会人になったら篠宮に飼い殺しだからな。……ま、今は違うけど。それでも取引先相手がいたり、顧客がいる以上角の立つ態度はとれねぇよ」
「ですねー。……涼さんは凄い器用そう」
「奴はもともと姉妹に挟まれて、立ち回りが上手かったからな。空気を読むのも抜群に上手いし、学校でも誰かが居心地悪い思いをする話題だったら、パッと空気を変えてた。恩を着せたいんじゃなくて、無意識に〝みんな平和に〟って思ってるんだろう。良くも悪くも、『波風立たないのが一番いい』と思ってるし、あいつ自身争い事を好まないというか、面倒臭がるタイプだから、和ませ役が板に付いたんだろうな」
「なるほどー。なんか分かります」
私たちはそんな会話をしながら、ゆっくりと駐車場に向かう。
コメント
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みぅです🤍🥀 第859話、外宮参道のグルメ回、すごく贅沢な気分になりました…! 伊勢うどんに始まってぱんじゅう、へんば餅、三方焼きにプリンにソフトクリームまで…もうお腹いっぱい幸せ😭💕 しかも大盛り頼んだ上に「胃は丈夫」ってアッカリンスマイル強すぎる(笑) 尊さんの胃腸薬サッと出す優しさも、涼さんの無意識の和ませ力の分析も、この一行一行がキャラの関係性を深めてる感じがして好きです。 食べ歩きしながら交わす「空気の話」が、軽いのに重みがあってじんわり来ました🌙