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テラーノベル(Teller Novel)
Secret Lovers

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Pretend〈Black×Blue〉

♥

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2023年03月25日

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Side黒


今日もそっぽを向かれた。

撮影前の待ち時間、樹にかまってもらおうと「隣座っていい?」って訊いただけなのに。

「どーぞ」と言われたから座ると、「いや近えよ」と別のソファーに移った。

何なんだ、これは。

別に彼のツンツンは今に始まった事ではない。面倒くさいと言って離れられるのもしばしば。

だがこんなにデレがないのはおかしい。たまに膝に頭を載せて眠ったり、甘えたりしてくるのに。

でもなぜ俺から急に近づくようになったのか。

それは、樹のことが好きだから。

いつの間にかそう想っていて、いつ伝えるべきか迷っていた。

男同士というのもあるし、困惑するかもしれない。今の時代はそんなこと関係ないけれど。

だから「匂わせ」という形でアピールすることにした。

でも当の樹は塩対応。気づいているのかいないのか、やたら冷たい。

「なあ、いいだろ」

またそのソファーに座ろうとしても、「やめろって」と眉をひそめる。

どうしてそんなに嫌なのか、わからない。

好きな人なのに、わからない。

諦めたのか、スマホゲームに没頭しはじめた。

ほかのメンバーは特に気にしていない。意外とみんな鈍感なのかな、と思った。


スタッフさんが呼びに来てくれ、部屋を出る。今日はYouTubeの撮影だ。

いつもの定位置に立ち、緩い挨拶から始まる。

普段通りに進行役を務める樹を横目で見るが、こっちを見てはくれない。

少し寂しさを覚えたが、すぐさまジェシーのボケで笑いが溢れる。みんなの笑声が響いた。

また、ふと樹に視線を向ける。

彼の笑みは好きだ。綺麗な三日月型になる目も、可愛らしい。

そんな感情を読み取ってか、慎太郎が話しかけてくる。

「北斗ー、なにニヤニヤしてんだよ」

「してねーよ」と言いながら、慌てて口元を引き締める。

やっと長い前置きが終わり、ゲームに入る。

やっぱり6人でいるのは楽しくて、ずっと笑顔だった。もちろん樹も。

好きだな。

まだ本人にもメンバーにも言えそうにない想いが、胸の内で膨らんでいった。


続く

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コメント

1

ユーザー

ほくじゅり最高!! 続き楽しみにしてる!!

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